浄土宗 浄土宗暦 今月の言葉
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1997年 4月


バブル景気に踊り、その後長く深い平成不況のただ中にある日本。今、私たちのまわりには「夢」という言葉と縁遠い人々がなんと多いことでしょう。
漠然とした不安におびえ、疲れ切った顔で一時の享楽にふける大人たち。どうせ何をやっても先が見えているとシラケる若者。「おやじ狩り」や「援助交際」に走り、どこが悪いんだと開き直る少年 少女。ますます陰湿化する「いじめ」のただ中にいる中学生たち……。
しかし、暗い話ばかりではありません。まわりをよく見て下さい。目線高く、いつも遠くを見据えている人はいませんか。どんな場所にいても、いきいきと輝いて見える人はいませんか。きっといるは ずです。
そういう人たちは必ず夢を持っています。その夢はそれぞれ違いますが、それを信じ、それに向かっていつも努力しています。
友人のT氏は、もともとからだが弱く、子供の頃から馬で草原を走るのが夢だったそうです。四十歳過ぎてからこの夢を果たそうと一念発起、まわりの冷笑にもめげずに乗馬に励み、またジョギングやフェンシングなどで体力と俊敏性を養いました。
そして今では自他ともに認める上級者となり、思う存分草原を駆け抜けています。夢はふくらみ、今彼は流鏑馬(やぶさめ)の射手をめざしてトレーニングを積んでいます。彼と会うたびに、その輝きがまぶしく感じます。
また知人の講談師・悟道軒圓玉(ごどうけん・えんぎょく)さんは、交通事故で瀕死の重傷を負い、重い記憶障害と運動障害を負うという逆境にありながら、「もう一度高座に上がり講談をやりたい」という夢を捨てず、筆舌に尽くしがたい努力の結果、ついにそれを果たしました。
これについては、以前に『浄土宗新聞』でも取り上げましたので、ご記憶の方もあるでしょう。今、圓玉さんは、聞く人に感動を与えながら、また同じ障害を持つ人たちに、大いなる勇気と励ましを与え続けています。
さて、あなたはどうでしょう。夢を持ち、夢を信じて、輝いていますか。
あなたが目線高く、かなたをめざしていきいきと輝けば、少しずつですがあなたのまわりも変わっていきます。そしてこの息苦しい、夢の見えない社会はきっと変わっていくはずです。その発信源はあなたなのです。

(東京都江東区・勢至院 細田芳光)
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