浄土宗 浄土宗暦 今月の言葉
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1999年 1月


 大学在学中、総本山知恩院の「おてつぎこども奉仕団」の指導員を経験する機会に恵まれました。以来、自坊をはじめ各地のご寺院のこども会に参加をさせていただいています。
 こども会では、「ともしびの集い」というプログラムがあります。
 夜の帳(とばり)が降りると、本堂は照明を落とされ闇に閉ざされます。ただ、み仏の宝前のともしびだけが少し揺れながら灯されています。
 そこに子供たちが、神妙な面もちで、各自ロウソクを立てた燭台を持って入堂します。本堂を一周して輪を作ると、代表者はみ仏の前に進み、ともしびを自分のロウソクに分けて頂きます。輪に戻ると隣の友達にみ仏のともしびを分ける、おてつぎをしてゆきます。
 ともしびは次から次へとおてつぎされて、やがて子供たちに沿って大きな輪を成し、暗闇の本堂を明るくやさしく満たすのです。
 入堂した子供たちは、隣の友達さえ判別できない闇の中で、不安の表情でいっぱいです。
 しかし闇の中に、ひとつ輝く、み仏のともしびを見つけるのです。そして自分のロウソクにそのともしびを頂きます。ともしびは、次第に一人一人を明るく照らし出します。瞳の奥に静かにともしびを灯すとき、子供たちの表情は安堵と微笑みに包まれます。そしてその姿は輝いて見えるのです。
 「阿弥陀如来の光明は、あまねく十方の世界を照らして、我ら念仏の衆生を摂取して捨て給わず」
 闇に閉ざされた本堂は、まさに混沌とした濁世(じょくせ)、この娑婆世界です。そしてこの娑婆世界で煩悩具足の凡夫である私たちは悩み、もがき、苦しんでいます。
 しかしみ仏はその大慈悲の心で、いまこの瞬間瞬間も無限の光“無量光”で、私たちを照らし続けてくださいます。私たちにお念仏というともしびを灯してくださいます。
 私たちは今この時、み仏のともしびに照らされていることを自覚し、その光を身心に浴びながら、自らがともしびとなり輝くのです。極楽浄土に生まれ往くその時まで、一生懸命、精一杯。この娑婆世界を光り輝きながら、生き抜いてゆきたいものです。
 そして子供たちに、隣人に、有縁無縁の人々に、ともしびを、お念仏をおてつぎして、大きな大きな法輪(ほうりん)を作ってゆく。それが21世紀を迎える私たちの使命ではないでしょうか。

(長野県三郷村・瑠璃光寺 關恒明)
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