浄土宗 浄土宗暦 今月の言葉
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2003年 1月


 私の住まう寺の境内に「青少年育成野外活動広場」という場所があります。キャンプやバーベキュー、それに公民館の環境講座など、地域の方々に無償で使っていただいています。
 元は竹やぶと雑木の繁る場所だったのですが、スカウトのリーダーや有志の方とともに、約10年がかりで整備した広場です。
 ところで、この広場の整備中、若いリーダーが「やはり自然はいいですね。空気が違いますね。木々の中にいると心まで浄化されますね」と話してくれました。
 まさにその通りなのです。木は多くの生物にとって必要な酸素を出してくれると同時に、自浄作用を行っているのです。だから森や山に入っていくと、とても清々しい気分になるのです。
 そんなとき私は、法然上人が庭の草木を見て「これら草木が一所懸命生きている姿は、阿弥陀さまの慈悲のお姿そのものである。私の目の前に広がる世界は南無阿弥陀仏の声に満ち溢れている」とお弟子さまに語られたこと、そして、仏教を開いたお釈迦さまの「大自然は常に真実を語っている。その真実の声を聞くかどうかは、われわれ自身である」との言葉を思い出していました。
 すでにご存じのように阿弥陀さまは、宇宙大自然の命を表す仏さまです。そして、日々われわれの前に水や光、空気となり、大自然の現象となって現れ働いてくださっています。だから、私たちは、自然と共に生活をし、自然の心を知り、自然の中で生かされていることに気付き感謝することが必要なのです。人間が中心ではない、人間のために自然があるのではない、われわれ人間も自然の一部なのです。だから、南無阿弥陀仏と宇宙自然に感謝をすることが大事なのです。自然を克服するとか自然と闘うなどという観念は全く間違った思いなのです。
 20世紀は科学の発達のもと、人間生活の便利さのみを追求し、その結果、開発という名の自然破壊が横行し、世界中で環境問題が吹き出しました。21世紀は心の時代だといわれながら、現実はどうでしょうか。テレビなどで「地球にわれわれの愛の手を差し伸べよう」といった言葉をよく耳にしますが、これとても人間の思い上がった考えだと思われます。本当の意味で自然と向き合っていないからです。
 広場を若者と整備しながら「今年こそ真の意味で自然との共生が全世界で叫ばれること」を念じました。

(滋賀県草津市・西方寺 牧達玄)
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