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今月の言葉

2013年 1月
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―it’s all in the first step.―

   元日の朝の空気が好きだ。厳寒の中、息を白く吐き、身を震わせながら新しく始まる1年を思う。
   大学を卒業してから、1年の節目というものに疎くなってしまった。学生の頃は、4月になれば新しい出逢いとともに学年が上がり、8月になれば夏休みが始まり、12月になれば冬休み、そして、3月には別れの季節を迎えていた。しかし、そういった学期の節目から離れると、1年の節目を感じられるのは正月くらいになってしまう。だからこそ、元旦は私にとって特別な朝なのである。もしかするとこの朝に身を震わせるのは、寒さだけのせいではないのかもしれない。
   僧侶になってから8年が過ぎた。その間に夫になり、父親にもなった。1歳と半年になろうとする息子もそろそろ喋りそうな気配である。喋り出せば、いろいろな言葉を覚えるだろう。
   昨年9月に「死の体験旅行」という名のワークショップに参加した。終末期医療に携わる医療者向けのワークショップであるが、ぜひ僧侶向けにと真宗高田派の浦上哲也師が主催したものだ。癌が見つかり、進行していき最期に息を引き取るまでの仮想プロセスを体験する。その間、自分であらかじめカードに記入した計20枚の自分の大切なものを各ステージで数枚ずつ捨てていく。仕事、趣味、財産、そして家族……。
   最後に参加者同士で感想を述べる。そこでは、様々なことが語られた。特に僧侶同士ということもあり、自分にとっての信仰が話題の中心となった。最後に残ったカードが信仰や仏教という僧侶も少なくなかった。
   しかし、私のカードには「信仰」や「お念仏」と記されたカードは最初から20枚の中になかった。それらが自分にとって大切ではないということではない。どんな病魔に侵されようが息の続く最期までお念仏は自分と共にある、だから捨てることなどないと記入しなかったのである。私の口から南無阿弥陀仏が出なくなる時は、私が死ぬ時である。
   さて、まもなく話し始める息子に父として教えてやれる最高の言葉はなんだろうか。晴れの日も雨の日も、嬉しいときも怒れるときも哀しいときも楽しいときもともにある言葉がいい。そして人生の最初から最期まで携えていける言葉がいい。そんなことを考えると、答えは一つしかない。「なむあみだぶつ」
   息子の口からこの声がこぼれてくる日が楽しみでならない。今始まる1年が希望と喜びに満ちている。

 
(栃木県宇都宮市 光琳寺 井上広法)
  始めなければ 始まらない
     
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