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差別戒名物故者追善法要及び人権研修会開催
 
 平成十九年度の「差別戒名物故者追善法要は、去る六月六日、北陸地方教化センターの協力のもと、福井教区泉通寺を会場として厳修した。
 この法要は、宗門として差別戒名を付与してきた過ちを反省・懺悔するとともに、差別戒名物故者諸精霊に対する追善回向を念ずることを目的として毎年開催している。
 追善法要に併せて、同日正午より一時間の別時会を勤めた。これは、本宗が法然上人のご命日である二十五日を「世界平和念仏の日」と制定したことを実践するために、昨年度より勤めているものであり、二百個の木魚を用意して参加者全員で平和を願うお念仏を唱えた。
 当日会場には、部落解放同盟中央本部をはじめとして、福井県連合会及び各府県連合会、また全日本仏教会並びに「同宗連」などの各方面から来賓を迎え、浄土宗からは総大本山執事長、宗議会議員、全国の教区長・教化団長、同和推進審議会委員、同和問題啓発講師、教区同和推進委員長、寺庭婦人会役員、全国浄土宗青年会等宗内役職者、さらには福井教区内の教師及び寺庭婦人など、総勢約百八十人が参列した。
 法要に先立ち、仲田 直浄土宗人権同和啓発講師・前佛教大学教育学研究科教授より「平等へのめざめ」―差別戒名問題が求めていること―と題した講演が行われた。
 その要旨は、@差別戒名問題が問われる点、A部落解放運動が求めてきたこと、B「同和対策審議会」答申が求めてきたこと、Cいま仏教徒に求められること、の四点について、資料を元に説明しながら過去の取り組みを振り返り、総括として反省、成果及び提起がなされ、最後に今後の人権同和問題に対して本宗が取り組むべき課題が述べられた。
 休憩の後、稲岡康純宗務総長を導師に、福井教区内寺院関係者を式衆として差別戒名物故者追善法要が始まり、参列者一同物故者諸精霊への追善回向を念じた。
 法要終了にあたり、まず稲岡宗務総長より主催者の挨拶を行った。続いて来賓を代表して、部落解放同盟中央本部の西島藤彦書記次長からご挨拶をいただき、最後に北陸地方強化センター委員長渡邊俊雄師より、法要に参加した方々へのねぎらいの言葉を受けて閉式した。
 翌日六月七日は、浄土宗人権研修会(宗議会議員人権研修会併催)を、ユアーズホテル福井を会場に開催した。
 今回は、李 美葉氏(NPO法人 多民族共生人権教育センター理事長)を講師に招き、「ちがいは豊かさ」と題した講演をいただいた。 
 李 美葉氏の経歴は、在日2.5世(父1世、母2世)で、1991年、自身の子どもへの被差別体験から京都にて「在日保護者会」を結成。
 2000年「NPO法人多民族共生人権教育センター」設立に関わる。2003年「NPO法人多民族共生人権教育センター」理事長に就任。元京都市外国籍市民施策懇話会委員・NPO法人多民族共生人権教育センター理事長・現大阪府大東市擁護施策推進審議会委員・現財団法人アジア・太平洋人権情報センター評議員等を歴任。
 また、一市民として日本社会と在日社会の人権意識向上をめざして活動を続けている。
 李 先生の講演は、これまでの知識や実体験をもとにしたお話しで、大変興味深い内容であった。
 浄土宗では、これからも在日外国人の人権・差別問題に対し、取り組みを進めていく計画である。

「差別戒名物故者追善法要」
○表白
 謹み敬って西方願王阿弥陀如来 大恩教主釈迦牟尼佛 六方恒沙証誠諸佛 別しては差別戒名物故者諸精霊の宝前に白して申さく。
 夫れ惟みるに 今生において受け難き人身を受けると雖えども 凡夫の身 生死の大海に沈淪し 未だ迷路を脱することを得ず。
 然るに 幸いなるかな阿弥陀佛の大悲誓願 平等利生の摂取の益に遭い 宗祖法然上人の但信口称の教行 専修念佛の法門に遭いてその光被を蒙るなり。
 しかりと雖も 無明の闇にさまよいて 本覚の路に迷うこと久し。然る間世俗の差別に馴染み これを容認加担し 差別戒名を授与する大罪を犯し 図らざる大過を重ぬ。誠にもって摂取不捨の願意平等往生の祖意に背く。
 茲においてわれら至誠の志を合わせ 大いに懺悔滅罪し奉らんとす。願わくは諸霊の冥福を薦めんがために北陸地方教化センターの協力を得 福井教区泉通寺において浄土宗差別戒名物故者追善法会を厳修す。 
 諸精霊 我等が志願を納受したまい 無為の浄土にて安らかならんことを。

維時 平成十九年六月六日
浄土宗宗務総長  岳誉康純

敬白