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浄土宗の法話【2012年12月1日】

人生の関所

    今から300年ほど前のことである。箱根の関所を前に、一人の旅の僧が草むらでうずくまっている。どうしたことか、腹をいためているのではない。この僧の名は勝誉専冏。13歳の時、尾張国一色村西方寺(現・円成寺)において出家、16歳の時に江戸に下り、増上寺で学んだ。27歳の時、学業を終え一人前の僧の身と成り、尾張に帰る道すがらの出来事であった。

    「ああ、困った、困った。ここまで来て何という事だ」

    通行手形を忘れてきたのである。当時、幕府は江戸防衛のため、「入り鉄砲に出女」で代表されるように、関所の出入りをねずみ一匹さえ通さぬように、厳しく取り締まっていた。だから、手形のない者が関所を通れるはずもない。途方に暮れた僧は、詮方せんかたなく石に腰掛け、関所を通る人々をぼんやりと眺めていた。そこでは士農工商、老若男女を問わず厳しい調べが行われている。しばらくすると、駕籠かごに乗った高貴な女性が関所に着いた。もちろん、その女性も例外ではない。駕籠から降りて手形を見せ、厳しい取り調べが行われた上で、ようやく関所を通ることができた。しかし、よくよく見ていると、その女性が乗ってきた駕籠の駕籠かきたちはその取り調べの間、傍らで腰かけてタバコをくゆらせ待っているだけである。なんの取り調べを受ける事もない。さて、その女性の取り調べが終わるや否や、何事もなかったかのようにキセルの灰をポンポンと落とした。そうして、駕籠を担いでエイホエイホのかけ声とともに関所を超えていったのである。その姿を見たこの僧は、「これだ」思わず手を打った。そして、次に駕籠に乗った武士を見ると、すぐさま身に着けていた衣をすべて脱ぎ捨てて、ふんどしひとつにねじり鉢巻きをした。駕籠かきに紛れてエイホエイホのかけ声とともに無事、関所を超えることができたのである。これによりこの僧は一つの悟りを得たという。つまり、今まで身につけてきた智慧や学問という衣を脱ぎ捨てて、駕籠かきがいうエイホエイホのかけ声の如く、愚鈍の身となって申す南無阿弥陀佛のお念仏こそが生死の関所通る事が出来うる本願念仏の手形であると。僧はこの後、その名を雲介子関通(当時、駕籠かきは雲介と呼ばれていた。また関所を通ったので関通)と改め、念仏三昧の日々を送る。説法一万三千余座、剃度の僧尼千五百余人、戒を授けた者三万余人、日課誓約授与者一千万人、寺院の創建・再建16か寺、著書三十一部八十余卷という偉業を成し遂げたのである。 

    我々もこの関通上人の悟りの如く、南無阿弥陀仏の声とともに人生の関所を超えていきたいものである。                                                  合掌

大阪府岸和田市 正覚寺 阪口 祐彦