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浄土宗の法話【2013年3月1日】

東日本大震災、その時

   平成23年3月11日午後2時47分、その時私は天童市内のホテルの二階コンベンションホールにおりました。当日は山形教区の詠唱奉納大会が開催され、奉詠半ばを過ぎたときです。突然建物がグワッと揺れだし、思わず壁に手をついて体の揺れを止めようとしました。もちろんそれで収まるわけもなく、天井のシャンデリアは大きく振れて飾りがぶつかり合い、細かい破片が雪のように降って来ました。参加の皆さんはいち早く逃げようと階段に向かって走り出す人、その場にうずくまってしまう人、悲鳴を上げながら荷物をもちだそうとする人。主催者の一人である私は、講員の皆さんを置き去りにして逃げだすことはできません。かつてこのホテルの設計者(私の寺の檀家さんである)から聞いていた「震度七にも耐えられる」という言葉を思い起こして、この揺れがどの程度なのかも考えず、また太平洋岸の大きな被害の状況を知る由もなく「このホテルは大丈夫です、倒れません。」と大声で叫んでいました。

   揺れの続く中、聞こえてきたのは誰が唱え始めたのでしょうか、「南無阿弥陀仏」のお念仏。その声はひとりまた一人と増えていき、大きなお念仏の輪となって行きました。

   幾遍唱えたことでしょう。揺れが収まりホテルの方の誘導によって一階のロビーに集まり人員確認をする中に、一旦外に逃れた人も吹雪を避けてホテルに戻ってきました。停電によって暖房が切れ、また大揺れが来てもすぐ戸外に逃げられるようにと正面のガラス戸が解放されていますので寒さは募る一方です。みんなで身を寄せ合って、お互いの無事を喜び合いました。

   その時口々に交わされた言葉です。
   「あのお念仏は誰が唱えてくれたのかねえ。」
   「あのお念仏は有り難かったねえ。お念仏の声を聞き自分もお称えしたら、不思議と気持ちが落ち着いて揺れが収まるのを待つことができた。」
   ある方はしみじみとおっしゃいました。
   「もしホテルが倒れていたら、阿弥陀さまはお迎えに来てくれたろうかねえ。」

   法然上人は『往生浄土用心』七(臨終来迎)に、次のように述べておられます。

   人の死の縁はかねて思うにもかない候わず。にわかに大路みちにて、終わる事も候。又大小便利のところにて死ぬる人も候。(中略)左様にて死に候とも、日ごろの念佛申して極楽へ参る心だにも候ひとならば、息の断えん時に、阿弥陀・観音・勢至来たり迎え給うべしと信じおぼしめすべきにて候也。

   詠唱を通して、真摯にお念仏を称えてこられた吉水講講員の方々。その功積もったあかしが、見事に花開いたときでありました。

合掌

山形県天童市 來運寺 東谷 信昭