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浄土宗の法話【2013年4月15日】

今日の一日(ひとひ)を編む

   通勤の電車で、2両目の最前列へ座りました。しばらくして2つ目の駅に着いたとき、運転士がドアを開けて客室へ入ってこられました。何が起こったのかと心配していました。

   すると、運転士は一番前のドアで外向に立っておられた女性に「どうぞ、こちらへ」と声をかけ優先座席へと案内されました。

   20歳前後の外国の人で、左手にハンドバッグ、右手に白い杖を持っておられたのです。

   席に着かれると、白い杖は30cmほどに折りたたみバッグにしまわれました。

   そして、バッグから20cm×15cmほどに編まれた収縮性のありそうな毛糸の編み地を出されました。

   左手の親指にゆったりと毛糸をかけ、右手に持っている棒針を器用に動かしながら毛糸を編みはじめたのです。

   1段編みあがると、目の取り方がまちがえていないか、左の指先で数を取り2段目へと移っていきました。しばらくしてから、私はその手さばきの見事さに思わず見とれている自分に気が付きました。

   彼女は心のなかで何か歌を口ずさんでいるのか、唇がリズムよく、かすかに動いていました。その上、微笑みをうかべて編んでおられるその神々しいお姿は、どこかの美術館で見たヨーロッパの絵画のように美しく感じられました。

   「人が幸せに生きる」とは、ひとときを丁寧に心静かに落ち着いて生きること。
   「人が美しく生きる」とは、自己を見つめて謙虚に生きること。
   「人がゆたかに生きる」とは、持てるちからと能力を精いっぱいに使うこと。

   そのような光景に出会い、さりげない姿の中で、かけがえのない命が幸せに編まれてゆく一瞬に深く感動いたしました。

   いつの日だったか、縁側で陽の光を受け、「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、、、」とお念仏を申しながら編み物をしておられたおばあちゃんの姿が重なって思い出されました。そのお姿は真に、満たされた時の流れの中に如来の光明をいただいておられるように感じました。

   編み物をしている女性もこのおばあちゃんも共に真実を見る眼をもって、すばらしい生き方をされておられると私は確信しております。さて、あなたの「人生」という編み物は如何ですか。もつれた時はお念仏を申すことが一番です。

   私も「今日の一日」をありがたく、南無阿弥陀仏の中にすごさせていただきました。

南無阿弥陀仏   合掌

奈良県吉野郡 佛眼寺 勝部 正雄