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浄土宗の法話【2013年12月15日】

切れない蜘蛛の糸

   もうすぐ三回忌の年が終わろうとしています。当山・浄土寺は先の東日本大震災の津波によって本堂を含め、全ての建物が全壊・流失となりました。

   当時私は東京のお寺に勤務しており、あの地震に遭ったのはお寺の用で買い物に行って帰る途中でありました。私は車を運転していましたが、突然強い揺れを感じました。その揺れはしばらく続き、揺れが止むと高層ビルから多くの人が、溢れ出てきました。その光景を未だに鮮明に思い出します。

   私がお寺に戻ってしばらく過ぎた頃でしょうか。偶然ついていたテレビにどこか見慣れた景色が映っていました。その景色とはそれこそ浄土寺の近所の橋周辺でありました。そして次の瞬間、その橋周辺にあった民家や倉庫があの地震で生じた津波によって流されはじめたのです。そしてほぼ同時に、当山のある仙台市若林区荒浜に「200人~300人の遺体を確認」と報道されました。

   自分の家族、そして地元に残っている友人の安否が気になった私は、少しでも時間があるときは必ず地元の誰かの携帯に電話を掛けました。外は夜になってしまいましたが、私の母親の携帯につながり幸いにも私の家族は無事でありました。しかし地元の現状は凄惨を極めるものでありました。

   数日後に私は急遽仙台に戻り、津波によって図らずもその生涯を終えてしまわれた方々の御弔いをさせていただきました。これまでにない殺伐とした雰囲気の中で、住職と共に遺体が安置されている葬祭会館を回り、毎日10件ほどの枕経を勤めました。それでも次々と遺体の身元が確認され、途切れることなく4月下旬まで毎日枕経の依頼が来ました。最後には津波で亡くなった方は合計で135件となってしまいました。

         「露の身は ここかしこにて 消えぬとも 心は同じ 華の台(うてな)ぞ」

   法然上人はこのような御歌を残しておられます。ここでいう「露の身」とは、我々人間は毎日平穏無事に生きていても、実は朝露のように儚いものであるということを示している訳ですが、震災によって亡くなられた方は、自らの生涯がまさかここで終わりを迎えるとは誰一人として思ってもいなかったことは間違いありません。当に朝露のように我々の命が、本当は儚いものということを知らしめした事件でありました。しかし、その枕経や出棺の際に御遺族や御親族の方と一緒に南無阿弥陀佛のお念佛をお称えしていましたが、この時、御家族は何を思ってお念佛を申していたのでしょうか。そこにはやはり「また極楽浄土で会いましょう」という思いが込められていたのではないでしょうか。

   阿弥陀様はお念佛をお称えした者を必ず救い摂ると約束されております。そして勿論後にお念佛によって送り出した我々も救い摂って下さります。お念佛を称えていれば必ずまた西方極楽浄土で再会できるのです。

   三回忌を過ぎても我々の未来はまだ先が見えてはいません。それでも日々復興に向けて進んでおります。お浄土での再会が約束されている以上必ずや復興を遂げ、先にお浄土へ行かれた方々へ胸を張って報告できるように今後もさらに励んでいかねばならないと思います。

南無阿弥陀佛

仙台市若林区 浄土寺 中澤良宣