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浄土宗の法話【2014年8月15日】

蝉の雪を知らざるが如し

    記録的な猛暑も陰りを見せ始めました。蝉の鳴き声も些か心細くなったような気がいたします。蝉は数年もの間地中で生きて、僅か一週間ほどでその生涯を終えます。中には十年以上、地中で幼虫として生きるものもあるそうです。地中にはモグラなど天敵もいて、成虫となるまでにも幾多の試練があるのです。人間の一生と比較すると、あまりにも儚い一生であり少し虚しい気持ちになるのは、私だけではないでしょう。
    「いま死ぬる ようにはみえぬ 蝉の声」
    その儚い命を懸命に生きて、命終わる間際まで、命尽きるその影を我々に知らされることはありません。

    「蝉の雪を知らざるが如し」と言う言葉を御存じでしょうか?蝉は夏間にしか生きておりませんので、雪は知らないはずです。雪を見たことも感じたことも無いでしょう。原典には、「睹(み)ざるところを以て、人を信ぜざるは、蝉の雪を知らざるが如し」とあります。つまり、雪を自分が見たり聞いたりしたことがないからと言って、その人の言うことを信じないのは、蝉が夏の間しか生きない為に、雪を知らず、雪の存在を信じないのに似ていると言うことです。これは、言うまでもなく見聞の狭い事の譬でありますが、しかし雪は確かにこの地に存在するのです。

    浄土宗のみ教えは、三本の矢に譬える事が出来るでしょう。一本目は極楽浄土、二本目は阿弥陀仏、そして、三本目は阿弥陀仏の御名を声に出してお称えする、南無阿弥陀仏のお念仏に納まります。誰でもが、いつでも、そしてどのような処にいようとも、ただこの私をお救い頂く仏様は、阿弥陀仏一仏であり、その御名を心の底からお慕い申し上げ、お称えするお念仏一行によって、西方の極楽浄土へとお導き頂く教えであります。

    「極楽世界なんて」とか、心無い言葉を耳にすることがありますが、同じ人間として蝉以上の虚しさを感じます。「行ったことがない」、「見たことがない」からと言って、極楽浄土の存在を、阿弥陀様の本願力、そしてお念仏の力を否定する事は、まるで「蝉の雪を知らざるが如し」ではないでしょうか。我々は人間です。犬や猫では、ありません。まして蝉ではないはずです。人間は、人を信じる事が出来ます。教えを信じることが出来るはずです。

    「疑いながらも念仏申せ」とか、「念仏申したら分かる」とは、元祖法然上人の御言葉。あらゆる衆生を救済する為に、心血を注ぎ辿りつかれたお念仏の御教えを、素直に信じさせて頂きたいものです。正に蝉が命尽きる間際まで、啼いて、啼き尽くして一生を終えるが如く、生涯命尽きるまで、お念仏に精進してまいりたいと思います。元祖法然上人を信じ、今こそ共々に、お念仏信仰の矢を束ね、日々の生活を進めて参りましょう。

滋賀教区 西福寺 稲岡 純史