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浄土宗の法話【2014年12月15日】

真の目的

 今年こそ 今年こそとて 暮れにけり
 決意していたことを実現できず、今年もまた暮れようとしている、という経験はないでしょうか。この年も残すところあとわずかとなりましたが、これがじつは人生のたそがれであったらいかがでしょう。「今年こそは」などと悠長なことを言ってはおられません。もとより先のことは誰にもわからないのです。
 何事も失敗しないように準備や用意することを「転ばぬ先の杖」と言います。
 最近は「終活」(人生の終わりのための活動)という言葉がはやっています。生前のうちに自分の葬儀やお墓などの準備をしたり、財産相続の計画をするといった話題がよく聞かれます。もちろんそうした形式的なことも大切ですが、生き死にを通して「これで大丈夫」という確かな信仰の杖を持っておかないと、いざという時にあわてて転んでしまっては大変です。
 法然上人は、「生けらば念仏の功つもり、死なば浄土へ参りなん。とてもかくてもこの身には思いわずらうことぞなきと思いぬれば、死生ともにわずらいなし」(生きている間にお念仏を称えれば功徳は積もるし、死後は必ず浄土へ生まれる。どちらにしてもこの身には何の心配もないと思えば、生き死には共に安心である)と常に申されました。この南無阿弥陀仏のお念仏こそ、誰もが必ず救われていく信仰の杖であり、いついかなることが起ころうとも、安心して人生の山坂道を歩み続けることのできる力強い金剛杖なのです。
 法然上人の伝記のなかに、鎌倉幕府の執権・北条時頼公が、智明上人から杖をゆずり受けたというお話があります。
 智明上人は、上野国(群馬県)の御家人でしたが、法然上人に帰依し、おそばで六年ほど修行をされました。郷里に戻られてからも念仏者として尊ばれ、多くの人を出家に導いた人です。その徳を慕った時頼公も上人をたずね教えを受けられました。
 ある日、時頼公のもとに一本の杖とお手紙が届きました。
 「私は念仏の行者として、西方極楽浄土に往生したいと心から願っています。栗という文字は、西の木と書きます。あなたを念仏者として親しく思っておりますので、多年所持してきた栗の杖を贈ります。年老いた今は歩くことも不自由で、用をなしません。あなたはいつも西方に心を寄せておられますので、この杖を差し上げるのにふさわしい方です。どうぞこの杖を用いて、浄土へお行きになってください」とあります。
 これを喜ばれた時頼公は、次の和歌を添えてお礼の返事を出されました。
  老いらくの 行く末かねて 思ふには つくづくうれし 西の木のつえ
 常々のお念仏によって、浄土へのあこがれをもつお二人のやりとりは、何ともすがすがしい尊さがあります。まさに「死生ともにわずらいなし」です。私たちもお念仏にはげんで、こうした心で人生を歩みたいものです。
 先日、ある念仏者の米寿のお祝いに、このエピソードとともに栗の杖を贈りました。数日後お礼の電話があり、「西の木の杖をありがとう」と大変よろこんでいただきました。

合掌

佐賀教区 円福寺 黒谷眞了