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浄土宗の法話【2016年7月15日】

大地の歌

 生は暗く、死もまた暗い。
 マーラーの交響曲に『大地の歌』というものがあります。二人の独唱による声楽を伴い六つの楽章で構成されるこの曲は、所謂いわゆるクラシック音楽に極めてうとい私が知っているほど有名なので多くの方がご存知だと思います。そして、その第一楽章『大地の哀愁に寄せる酒の歌』では「生は暗く、死もまた暗い」と言うフレーズが繰り返されることもよく知られています。
 私がこの曲を知ったのは二十代半ばくらいだったでしょうか。それまでの人生経験で少し厭世的えんせいてきな人生観が形成されていたため何か胸に響くものがあり、爾来じらい頭の中で度々リフレインするフレーズになりました。
 それから数年、広告会社、サイパンでのダイビング屋を経た後に仏縁があり僧侶となったのですが、その間にもさまざまな悩ましい出来事があり、以前から抱えていた厭世的な人生観がまた少しだけ進んでいたように思います。
 「はじめには我が身のほどを信じ、後には仏の願を信ずるなり。」
これは法然上人が深心じんしんについてお示しくださっているご法語です。深く信じる心である深心には二種類あり、まずは我が身のほど、つまり私たちの立場を信じ、その上で阿弥陀さまの本願を深く信じるのです、とあります。
 私たちの立場、つまり私たちは何者であるのか。仏教の考えでは六道輪廻といい、上から天・人・修羅・畜生・餓鬼・地獄、この中で過去・現在・未来にわたって生まれ変わり死に変わりを繰り返し、縁あって今生では人間界に生まれたのが私たちです。なぜ未来も含まれるかと言うと、私たちは無意識のうちにちょっとした怒りや悪口、小さな嘘などの仏教における罪を重ねているからです。いくら罪を犯さないようにしよう、煩悩を断とうと努力してもしきれないのもまた私たちなのです。
 だからこそ阿弥陀さまは本願をお立てになった。そして本願を心から信じ、ひたすらにお念仏をお称えする我々を六道輪廻の生死から必ず極楽浄土へと救い摂ってくださるのです。
 私がこのご法語を学び我が身のほどを思い知り、そして念仏信仰へと至った時、それまで抱えていた厭世的な人生観、そして様々な感情や思いが胸の奥にすとんと落ちるような気がしてずいぶんと安心しました。確かに生は暗く、死もまた暗い。しかし、その暗さの中に射す一筋の光が阿弥陀さまの本願なのです。
 その阿弥陀さまの本願を信じて、ともどもにお念仏をおとなえいたしましょう。

至心合掌

群馬教区 太田組 哀愍寺 新井直人