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~地域コミュニティーとお寺の未来を考える~

共生・地域文化大賞の総括シンポジウムを開催!!

宗祖法然上人800年大遠忌記念事業として、平成19年に「共生・地域文化大賞」を創設し、地域の社会課題の解決に取り組むNPOの表彰や、お寺とNPOとの協働による事業への助成を通じて、日々大きく変化する今日の社会情勢における宗教やお寺の役割を見直し、これからのお寺・僧侶の在り方を模索してきました。

そして、本大賞が今年度をもち大遠忌事業として一区切りを迎えますことから、主催側と過去の受賞団体、僧侶、さらに研究者を交えて、創設からこれまでの経過や成果などを振り返り、地域コミュニティーとお寺の未来について、それぞれの立場から討論を行うシンポジウムを開催しました。

本シンポジウムを通じて、「地域の社会課題の解決」「地域や家族の絆の復興」「地域社会の活性化」等にむけて、地域を構成する一員であるお寺・僧侶ができること、また、その可能性について考えました。

日 時 平成24年2月11日(土・祝) 13:30 ~16:20(終了)
会 場 佛教大学「常照ホール」
〒603-8301 京都市北区紫野北花ノ坊町96 成徳常照館5F
対象
本テーマに興味のある僧侶及びNPO関係者、学生、一般の方など
定員 350名
参加費 無料
日 程
13:30 開会
13:40 ① 特別講話/「縁と共生(仮題)」
浄土門主 伊藤唯眞猊下
14:00 ② 基調報告/「共生・地域文化大賞の取り組みについて」
14:25 ③ パネル討論/「共生・地域文化大賞の総括とお寺の未来」
  パネラー:
            堀田 力氏(さわやか福祉財団理事長
                  /法然上人をたたえる会会員
                  /共生・地域文化大賞選考委員長)
            奥田知志氏(北九州ホームレス支援機構理事長
                  /第3回共生・地域文化大賞受賞団体)
            小谷みどり氏(第一生命経済研究所主任研究員)
コーディネーター:
            秋田光彦 師(浄土宗僧侶
                  /共生・地域文化大賞運営委員長)
16:20 閉会

主催:浄土宗
共催:朝日新聞社
後援:財団法人全日本仏教会
協力:佛教大学


きずなシンポ「地域コミュニティーとお寺の未来」
~共生・地域文化大賞を総括して~

きずなシンポ「地域コミュニティーとお寺の未来」~共生・地域文化大賞を総括して~

立春を過ぎたとはいえ、まだまだ冬本番の平成24年2月11日。佛教大学の常照ホールを会場に、きずなシンポ「地域コミュニティーとお寺の未来」(主催:浄土宗、共催:朝日新聞社、後援:(財)全日本仏教会、協力:佛教大学)を開催しました。

これは、大遠忌記念事業として設立した「共生・地域文化大賞」が今年度で終了することから、これまでの成果を明らかにし、これからの地域社会の中で、お寺や僧侶の役割を改めて考えようと企画・開催したシンポジウムです。当日は、NPO関係者や僧侶をはじめ、一般の方およそ300名が集まりました。

「無縁の人はいない!」 「絶縁社会に宗派を超えた寺縁を!」
―伊藤唯眞猊下・特別講話―

挨拶をする豊岡宗務総長挨拶をする豊岡宗務総長

シンポジウムでは、はじめに豊岡鐐尓宗務総長が開会の挨拶を述べ、その後、浄土門主伊藤唯眞猊下から、「人間にしかできないこと~合掌のこころで~」と題した特別講話をいただきました。

伊藤猊下は、講話の中で、「無縁社会という言葉が使われているが、そもそも無縁の人はいない。縁はあるがそれが絶たれている、いわば絶縁社会ではないか」「縁とは、人をして人たらしめているもの。それが血縁であることから血縁社会、地縁であることから地縁社会と呼んでいたが、今やそれが崩壊しつつある」と、仏教の観点から現代の社会状況について言及。そして、「日本家屋には一見不要なようだが、“縁側”というものがある」「“縁側”では隣のおばあさんがやって来て一緒に陽だまりで話をする、子どもたちが遊ぶ、隣の奥さんが前掛けの下に、作った食べ物を隠しながら、これ食べてねと言って持ってきてくれて、ありがとうと言ってそれをいただく」「お盆には壇を設け、食べ物を供えて無縁仏を迎えた場でもあった。そういう意味で縁側は、隣と隣とを結びつける場、この世とあの世とを結ぶ場、いわば生活ののりしろであった」「新しい形の家屋に、この“縁側”がなくなったことで、意思疎通、温かな交流が少なくなった」と、“縁側”が果たしてきた役割を強調されました。

縁について語られる伊藤猊下縁について語られる伊藤猊下

また、「血縁や地縁がだんだんと薄くなっていく中、今後どのような縁が人をして人たらしめていくのか。それはともに同じ志をもって集まる“志縁”である」「志縁で結びついているボランティア団体やNPOなどが、絶縁化する状況にある人を縁のある社会に引き出している」と説明。そして、「唐招提寺の招提という言葉はお寺を意味し、律僧の鑑真のように、四方から来る人、唐からくる人をとどめる所であった。お寺は本来開かれた場所でお寺の縁、寺縁というものがあった」ことを引き合いに、絶縁化する人々に対して、宗教・宗派を超えて、自利利他やヒューマニズムといった共通の精神を基にした連携のもと、支援される側とおなじ目線に立って働きかけることの重要性を説かれ、これができれば社会の一条の光になると締めくくられました。

パネル討論
お寺の役割や可能性について議論

お寺の役割や可能性について議論

伊藤猊下の特別講話の後、武田和清大遠忌事務局長から、「共生・地域文化大賞」の創設経緯と五年の歩みを紹介して、後半のパネル討論へ。

「地域コミュニティーとお寺の未来」と題し、同大賞の運営委員長を務めた、浄土宗僧侶で大阪教区大蓮寺住職・應典院代表の秋田光彦さんの進行により、さわやか福祉財団理事長の堀田力さん、北九州ホームレス支援機構理事長で牧師の奥田知志さん、ひとさじの会事務局長・浄土宗僧侶の吉水岳彦さん、そして第一生命経済研究所主任研究員の小谷みどりさんらをパネラーに迎え、これからの地域におけるお寺の役割や可能性について活発な議論が交わされました。

共生・地域文化大賞の意義

堀田力さん堀田力さん/共生・地域文化大賞で選考委員長を務めた

冒頭、浄土宗が「共生・地域文化大賞」を実施した意義について、5年間選考委員長を務めた堀田さんが、「教義による死後の救いの役割を果たす一方で、助け合い、共生(ともいき)、人と人との交わりの中で生活を創りだしていくという、“共助”の活動に目を向けたこと。そして、お寺が共助の活動にもっと参加するように、NPOとの協働を推し進めることで、その広がりが見えてきたことに意義がある」と総括されました。

その後、奥田さん、吉水さんが、それぞれの団体の活動内容を紹介。本大賞を通じて、ネットワークが広がったり、浄土宗がホームレス支援に光をあてたことが非常に大きな一歩であったことなども話されました。

二人の活動紹介を受けて小谷さんからは、「こんな活動をされているお寺さんはごくわずかで、しかも、お坊さんでなければできない活動が他にあるはず。お寺に何をしに行きたいかという調査をしたことがあるが、圧倒的に多かったのは法話を聞きたいというもの。しかし何を言っているのか法話の内容がわからないお坊さんが多い。まずはそういった課題に取り組むことがお寺の公共性につながるのでは」と問題提起をされました。

お寺・僧侶にあるものとは

奥田知志さん奥田知志さん/第3回で大賞を受賞

奥田さんは、実家が浄土宗の檀家であることを紹介しながら、キリスト教の牧師という立場からみたお寺について、「キリスト教は日本において歴史が浅い。世襲の良し悪しはあるにしても、古くから地域に根差しているお寺が羨ましい。お寺が持っている社会資源、可能性をどう使うか、今真剣に考えないともったいない」「私の原風景として持っているお寺はアウトリーチ。お寺に行かなくても毎月家にお経を読みに来てくれた。困窮者支援の中で一番難しいのは、まずどこでその人に出会えるか。まさに今、福祉の世界でなされているお宅を訪問するアウトリーチ型をお寺は普段されているので、例えば困窮者のファーストコンタクトをお坊さんがなされ、それを専門のNPOや社会資源につなげていくという重層的な仕組みができれば、お寺には無限の可能性がある」と発言。

吉水さんは、「ホームレスの方におにぎりを配るのは、確かにお坊さんじゃなくてもできる。でも、困窮者支援をしているNPOの方たちが驚いたことだが、お坊さんが一緒に回ると、非常に多くのことを話してくれる。これはお寺・僧侶に漠然とした安心感を持っているから。これは先人が積み上げてくださったこと」「東日本大震災の被災地に行ったNPOの多くは避難所に入りたくても入れなかった。情報を引き出そうとしても、あなた誰?から話を始めなければいけない。でも私は現地にたくさんのつながりをもつお坊さんと一緒にいったおかげで、牡鹿半島の小規模避難所を数多く発見し、お話を聞くことができた」「そういったご縁を溜めている場所がお寺であって、いまの社会にないと言われる“共助”の、まだ生きている部分を引き出すきっかけになるのがお坊さんだと感じた」と経験談を語られました。

そして堀田さんは、僧侶を含む宗教者にしかできないこととして、「教義・儀式による鎮魂」「場を活かした共助の基礎作り」の2点を挙げると、秋田さんは「お寺が持つ場をどのように活かせばいいか。お寺はけっして貸しスペースではない。場を開放することと、そこにどうやってお寺・僧侶としての活動や出来事を盛り込んでいくのか、その一つの取り組みが、“協働”にあるのかもしれない」と感想を述べられました。

協働とは

吉水岳彦さん吉水岳彦さん/第3回で助成事業に採択されたNPOと協働

秋田さんが、「協働といってもそんなにうまくいかないのではないか。これまでご自身の周辺で協働の思い違いや失敗したケースはありますか」と吉水さん、奥田さんに尋ねると、吉水さんは、「お前たちのやることはおれたちと同じだ。だからおれたちの言うとおりにやれと言われたことがあったがとんでもない。協働はあくまでも相手と対等の立場において成り立つもの」、奥田さんは「伊藤門主のお話にもあったが、縁とは自己認識。私とあなたという基本的な出会いがあって、そこから協働が始まっていく。しかし、目的達成のために協働の名のもとで他者利用が始まると、“私とあなた”という関係が、“私とソレ”というモノとの関係に置き換わってしまう」と、そして、「ある会社の社長さんが、そろそろ引退の年だから最近趣味のサークルに一生懸命行って色んな友達をつくっている、これは老後のためのリスクヘッジ(危機回避)だとおっしゃった。震災後には、いざという時に一人では困るということで結婚ブームになった。よくわかる話だけれど、リスクヘッジのためだけに絆を想定しているのは大間違いで、絆を結ぶとこちらが傷つく面がある。共に生きること、協働することはお互いが傷つくということ。協働にはその覚悟が必要だ」と続けられました。

葬式仏教について

小谷みどりさん小谷みどりさん/終末医療から葬送までの問題を研究

議論の内容は葬式仏教に移り、震災被災地で宗教者が果たしてきた役割について理解が示される一方で、小谷さんは、「二年ぐらい前に葬式不要論が流行った。震災以降も葬式はいらない、しないという方は減っていない。それは僧侶にも問題がある。一般的なお葬式では、どなたが亡くなろうが、どんな亡くなられ方をされようが、似たような法話をされるお坊さんが多い。亡くなった人のことを知らないというケースがすごく増えている」「お坊さんとは、人を安心のうちに死なせる、死の恐怖を軽減させる、そして残された人たちの悲しみを静めるためのプロだと思うが、例えば、ガンを告知されたときにお坊さんに相談に行こうという人はいない。もう間もなくという時でもお寺に連絡する人はほとんどいない。今のあり方では葬式仏教にもなっていない。本当の葬式仏教というのは、人の命や死にとことん向き合う仏教だ」と指摘。

奥田さんは、キリスト教と仏教の日常の活動スタンスの違いを簡単に示しながら、「日常が勝負。これからの仏教の葬式を考えるときには日常のケアがグリーフケアにつながるという日常性が大事で、お葬式だけを問うてもだめではないか」と発言すると、吉水さんは、「どうしても怠惰になりがちな部分が自分自身にもすごくあるが、他者の苦に向き合うことが、僧侶としての自己に問いや学びをもたらす。だから僧侶はもっと他者の苦にかかわり向き合うべきだ」とこれまでの経験で得た思いを自戒の念を込めて話され、秋田さんが、「社会活動をしているお坊さんは良い葬式をする。それは、いのちの尊さと直面しながら、過去から自分たちが蓄えてきた葬式仏教の実力を感知するから。現場から教わることはたくさんある」と補足されました。

お寺の可能性、未来について

秋田光彦さん秋田光彦さん/共生・地域文化大賞を企画、運営委員長を務めた

秋田さんから、各パネラーに「お寺の可能性とは何か、お寺に未来はあるでしょうか」と投げかけられると、小谷さんは、お坊さんの悪口を言ったけれど、お坊さんが大好きなんですと前置きされたうえで、「昔のお坊さんは賢かった。知恵袋、地域の顔役だった。お坊さんほどやりがいのある仕事はない。もっと自覚をもたないと未来はない」、吉水さんは、「いろんなご縁を溜めていたり、つながりの場にもなる、恵まれた環境がお寺にはある。お坊さんがそのハードを動かせるだけのソフトになりうるためには、苦しい、つらいだけなでなく、いろんな声を聞けるように精進していくことが大事」、奥田さんは、「お寺が今だんだんと大変な状況になってきたから、社会活動をして付加価値をつけるというのではなく、もともとお寺とはこうだったんだという本分を持つことが大事」「これからの対人援助の場面では、哲学や宗教的思想はものすごく大事になってくる。そういう意味で一緒に勉強会をしたい」とそれぞれの思いが述べられました。また、堀田さんは、お寺・僧侶に期待することとして、「死を恐れる、苦しんでいる本人の魂や、大切な方を亡くされた、悲しみにくれ力を失っている人の魂を本分である宗教活動で救うこと」「地域の助け合いの力を生み出す場として、お寺を開放し、共生の活動を推し進めること」を挙げられました。

討論会

そして秋田さんは、「お寺は地域における“こころの縁側”“共生の縁側”のようなものになれるのではないか。そのための回路、道筋としてNPOとの協働や、様々な協働がある。お寺にはまだまだ隠された才能があるので、これからのお寺の未来に是非力を貸してほしい」と話し、最後に、武田大遠忌事務局長が壇上にあがり、浄土宗寺院が地域の対話と交流の場=お寺「共生堂」になっていくように、包括法人として下支えをしていきたいと、ポスト大遠忌の取り組み方針を述べ、シンポジウムが締めくくられました。


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