教化資料

布教に役立つ道詠歌(二)

 説教・講演などの話材の中に和歌・俳句等を折り込んでお話しすると、聴衆の方でメモをされている姿を見ることがあります。また事後に控え室に訪ねてこられて確認をされるケースもしばしばあります。
 短い文言に深い思いの込められている道詠歌は、布教教化の有効な手立てとなります。
 導入の冒頭にとり入れると季節感などその場の雰囲気を和やかにしますし、ゆっくりと二度繰り返すことで、なお記憶に残るものとなります。
 ただし、散逸にならぬように一席で多数の道詠歌の挿入は注意を要します。
 伝承の中で多少の文言の異なるものもありますのでご了承下さい。
 参考となる文献として、平成十一年に編纂された総本山知恩院布教師会発行道詠集録「ことばの華」の活用を推奨します。


◎無常に関わる道詠歌

○ひとり来て ひとりぬ世や 秋の風
野島無量子
○ついにゆく 道とはかねて ききしかど 昨日きょうとは 思わざりしを
在原業平
○露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速なにわのことは 夢のまた夢
豊臣秀吉
○時計る 車にかけし わが寿いのち きちりぎちりと ちぢまりてゆく
詠み人知らず
○はらはらと 無常を告げる 落ち葉かな
詠み人知らず
○きのう見し 人はと問わば 今はなし あすはわが身を 人に問われん
詠み人知らず
○草の葉の 露にこの身を くらぶれば 風のままなる 命なりけり
他阿
○此をせん 彼もせんと 思えども 為し果てぬ間に 年は暮けり
詠み人知らず
○咲く花は 散るも散らぬも やがて散る
詠み人知らず
○たち上る 煙につけて 思うかな いつ又我を 人のく見む
詠み人知らず
はかなさを 身にみ思う このたびの えにしの深き 人の逝きては
詠み人知らず
○一葉づつ ほろりほろりと 紅葉の 残りすくなに なりにけるかな
蓮月
待ったなし やり直しなしに 木の葉散る
詠み人知らず
○世の中に わが物とては なかれけり 身をさえ土に 返すべければ
詠み人知らず
○若いとて 末をはるかに 思うなよ 無常の風は 時をきらわじ
詠み人知らず
○世の中の 娘が嫁と 花咲いて かかあとしぼんで ばばと散りゆく
詠み人知らず
○あさましや 思えば日々の 別れかな 昨日の今日に またも逢われず
沢庵
○明日ありと 思うこころの 仇桜あだざくら 夜半よわに嵐の 吹かぬものかは
親鸞
○あわれとて 見送る我も やがて又 あわれと人に 送らるる身ぞ
福田行誡
○あわれなり 老木若木も 山ざくら おくれさきだち 花はのこらじ
平経正
○いつまでも あると思うな 親と金 ないと思うな 病い災難
詠み人知らず
○いままでは 人のことかと 思いしに わしが死ぬとは こいつぁたまらぬ
曾呂利新左衛門

このページのトップへ▲
  浄土宗布教師会
〒605-0062 京都市東山区林下町400-8 浄土宗宗務庁 教学局内
TEL075-525-2200 FAX:075-531-5105