今「どんな息」してる?

私たちはハッとしたりホッとしたりため息をついたりと、無意識のうちに様々な呼吸と共に日々の生活を送っています。
酸素を吸って二酸化炭素を吐き出すガス交換は生きる上で必要不可欠。ですが、それだけではなくもっともっと深いところで、呼吸は身体と心に密接に関わり合っていると感じています。

ヨガを始めてから呼吸の大切さを知り、今している自分の呼吸を観察するということが習慣になってきました。
当たり前ですが、走ったり、身体のどこかが痛い時は呼吸が荒くなります。そして身体だけでなく心の状態によっても呼吸は変化するものだということを知りました。
焦ったりイライラしている時の呼吸、やる気がない時の呼吸、のんびりした平和な気持ちの時の呼吸。よく観察してみるとスピードやリズム、吸う息と吐く息の長さなど違いがあるのに気付きます。

先日、久しぶりに都内で車を運転し、少々緊張していました。そんな時に歩行者が急に車道にはみ出し、それを避けようとハンドルを切ったところ対向車にぶつかりそうになり大変危ない思いをしました。幸い事故にはならずその場を離れたのですが、心が激しく乱れ、危険な歩行者への怒りと、対向車への申し訳ない気持ちとが入り混じり、心臓がバクバクと激しく脈打っていました。そして呼吸をほとんどしていないことに気づいたのです。慌てて深呼吸をして落ち着こうとしたのですが、初めは息を吐くことがうまく出来ず、5分ほど続けてやっとスムーズに吐けるようになりました。そして同時に気持ちも落ち着きを取り戻していました。

吸う息と吐く息が同じ長さになるようにゆったりと4秒吸って4秒吐く。たったこれだけのことですが、数分行えばどんなに感情的になっていたとしても、少し穏やかな気持ちになります。そして感情を抑えきれず誤った行動をとってしまい後から後悔するといったことが少なくなった気がします。

「自らの心」と書いて「息」。
私たちの心を映し出す、今この瞬間の息。いつも穏やかで、なが〜い息、でありたいものです。

(2020年11月16日 ガッソ有香 / 浄土宗僧侶・ヨガインストラクター)