もう、今日はオフだ!

いよいよ師走の月となりました。
この師走という言葉は、師(僧侶)が先祖供養のため忙しく走り回っていたというルーツを持つようです。現代でもお寺は地域の方々と密接にかかわりあっていますので、法務のほかに年末年始のあいさつなどが続き、奔走具合は昔も今もあまり変わらないかもしれません。

今年を振り返ると、自粛期間やテレワークの推奨などもあり、家にいる時間が多かったかと思います。しかし先行きの見えない状況の中で体はゆっくりしているのに、心はどこかそわそわ。まるで心だけ師走のようにせわしく走り続けているよう…。この体と心のギャップが「不安」となり、生きづらさを覚える原因になっているのかもしれません。

この不安や悩みに対する一人ひとりの問いに答えたのがお釈迦さまです。まるでその人の症状に合わせた処方箋の様に。このエッセイのサイト内にも「こころがちょっとかるくなるブッダのことば」としてその教えの一端をいただくことができますが、お釈迦さまは悩める人を前に「がんばれ、がんばれ!」とエールを送るのではなく、「いま不安なあなたは、どういう状態なのか自身で考えてみては?」と、一度立ち止まって、俯瞰的なものの見方でリスタートを切るよう促していると受け取ることができます。

現代においては「走り続けること」が美徳の様に捉えられることも多々あります。もちろん仕事や受験などがんばって走り続けなければならない場面もあるでしょう。それでも休息は必要です。たとえばマラソンのトップアスリートは高いパフォーマンスを発揮するために練習の合間に「どう休息をとるか」に重点を置くものです。

改めてこれをお釈迦さまの言葉と重ね合わせるならば、「走り続ける」ではなく、「走り出し続ける」ことが大切なのではないでしょうか。あっぷあっぷの状態ではよいパフォーマンスを発揮できないどころか、あなた自身を見失ってしまうことにも。あくまで次の一歩を踏み出すための休息を。

そういえばあの有名なお坊さんもこんなことをおっしゃっていました。

あわてないあわてない、一休みひとやすみ。

(2020年12月1日 服部祐淳 / 長野・安養寺)