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今月の言葉:2017年12月

前を見ながら 足元忘れず

Cherish today as you look forward to tomorrow.

 はきものを そろえると 心もそろう
 心がそろうと はきものもそろう
 ぬぐときに そろえておくと
 はくときに 心がみだれない
 だれかが みだしておいたら
 だまって そろえておいてあげよう
 そうすればきっと
 世界中の 人の心も そろうでしょう

小学生のころ、私のお寺の本堂そばにあるお手洗いの壁にこんな詩が掛けられていることに気づきました。そのお手洗いは、普段は使っていないのですが、詩を目にする機会は何度かあったはずでした。しかし、私はそれに目もくれず、それこそ履物を脱ぎっぱなしにしていたのです。詩に気づいてからは、幼心に「あ、履物は揃えておかないと」と思うようになりました。分かりやすい、とてもよい詩だと今でも感じています。
 この詩は曹洞宗の僧侶・藤本幸邦師によるもので、「自分の足元をよく見なさい・自分の行いをよく見なさい」という意味の禅宗のことば「脚下照顧」をもとにされたそうです。禅宗だけでなく、諸宗のお寺のお手洗いや玄関の近くに掲示していることも多いこの詩。見かけたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 私は浄土宗僧侶。お念仏をとなえれば、煩悩にまみれた私たちも必ず極楽浄土に救い取るとの阿弥陀仏の誓い、そのために日々お念仏を継続しましょうという法然上人の教えを伝える立場です。しかし、自分の行いをよくよく振り返り、お念仏をとなえる生活が十分できているかといえば、必ずしもそうとはいえません。そこで、まずは自身が日々お念仏をとなえ続けなければ、と考えるようにしています。
 冒頭の詩のとおり、自分の足元を整えられるようになると、他人の履物を黙って揃えられるようになる。これが積み重なって世界中の人の心も揃うでしょう、というように、自分自身が「南無阿弥陀仏」とお念仏をとなえることが肝心です。継続していれば、自身の命が終わるときに阿弥陀仏に極楽浄土へ連れていっていただけるだけでなく、他人にもお念仏が伝わっていくのだと思っています。
 早いもので今年も残りひと月ほど。来年を見据えるのにはよい頃合いです。目標に向かって前を見ることは大切ですが、それだけではなく、まずは今日一日をしっかり生きていかねばならないと思います。日々お念仏をおとなえしてまいりましょう。
(奈良県高取町 如来寺 的場裕信)

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