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今月の言葉:2018年08月

極楽浄土に思いを馳せる

Try to remember those who are now in the Pure Land.

 6月18日午前7時58分、大阪北部を震源とする地震が発生しました。私の住んでいる京都府南部でも非常に強い揺れを感じ、多くの被害がでました。私は地震発生直後、ご本尊の阿弥陀さまのことが気になり、すぐに様子を確認しに行きました。すると、いつも正面を向いている、重さ100キロを超える阿弥陀さまのお顔が下を向き、今にも首から折れて落ちそうなお姿になっていました。私は、大変ショックを受け、しばらくその場に立ちすくんでしまいました。そんな時、総代さんや近所のお檀家さんが、お寺を心配し次々に駆けつけてくださり、阿弥陀さまのお顔を拝まれるなり、驚き、涙を浮かべる方もおられました。お檀家さんと相談して、まず一番に阿弥陀さまを修復することが決まって、専門家の力を借り、なんとか元のお姿に戻すことができました。
 修復が終わった後、元通りになられた阿弥陀さまの前で、お檀家さんと一緒にお念仏をとなえました。皆さん安堵あんどの表情で、「よかった、よかった」と泣いて喜んでくださいました。そんな姿を見て、普段から極楽浄土や阿弥陀さまに想いをせてくださっている、ということに改めて気付き、大変嬉しく感銘を受けました。
 では、その極楽浄土とはどんな所なのでしょうか? 以前、お檀家さんに「極楽浄土は、楽の極みと書くくらいだから、きっと楽しいことが満ちあふれているのですよね」と質問を受けました。『阿弥陀経』にも、「もろもろの苦しみあることなく、ただもろもろの楽のみをうく、故に極楽と名づく」と説かれていますから、そのように想像しても不思議ではありません。しかしここでいう「楽」とは、欲望を満たす意味での「快楽」ではありません。我々人間の価値観を超えた心からの安らぎを実感できる場所なのです。
 そのような場所だから、「仏となることを目指し修行するにはとっておきの場所」といえるのです。その極楽に往生したなら、「浄土十楽じょうどじゅうらく」といって、阿弥陀さまから直接説法を受けられる「見仏聞法けんぶつもんぼうの楽」、縁のあった人を極楽浄土に往生させることの出来る「引接結縁いんじょうけちえんの楽」といった、十の楽しみを感じながら、すでに往生された方々と共に修行を積み、煩悩ぼんのうにまみれた私たちがいつかは仏さまとなることができる。そのような世界が、阿弥陀さまがご用意くださった極楽浄土です。極楽浄土にしっかりと想いを馳せながらお念仏をとなえてまいりましょう。
(京都府城陽市 常光庵 叢 健太)

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