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今月の言葉:2018年11月

ぬくもりに やすらぐ

Bestow peace-bringing warmth on everyone.

 まもなく本格的な冬がやってきますね。朝起きるとき、布団の中のぬくもりから出るのがどうしても億劫おっくうになり、あと3分、5分…とついつい時が過ぎてしまいます。
 皆さんは「ぬくもり」と聞いて何を連想されるでしょうか? 私はまず「木のぬくもり」を思い出します。家具を取り扱う店に入ると、無垢材を使った家具の宣伝文句として「あたたかみ」とか「ぬくもり」あるいは「やすらぎ」というフレーズを頻繁に目にすると思います。なぜ、木=あたたかいというイメージが浸透しているのでしょうか。それは熱伝導率や色味が関係しているように思います。
 木の熱伝導率は金属などに比べると低いため、外気が冷たいときも、触った時にぬくもりを感じやすいのです。さらに木材は暖色といわれる色で、金属などの寒色といわれる色より体感温度(心理的な温度差)が約3度ほど温かく感じるそうです。この温度差がぬくもりとして、やすらぎ感を与えてくれるのかもしれませんね。木にぬくもりを感じるのは〝見て、触れる〟ことができるからでしょう。
 さて、浄土宗がよりどころとする『観無量寿経かんむりょうじゅきょう』というお経には「阿弥陀仏から放たれる光明こうみょう(心の迷いを破る光)はあらゆる世界を照らして念仏をとなえる私たちを救いとって捨てることがない」と説かれています。
 阿弥陀さまは私たちがとなえるお念仏の声を聞いてくださり、その姿をご覧になり、見守ってくださっているといわれます。つまりお念仏を通して阿弥陀さまとの距離を近づけることができるというわけです。
 「南無阿弥陀仏」とお念仏をとなえるとなんだか心がやすらいだ、落ち着いた、という経験はありませんか。阿弥陀さまの光明が私たちの心を照らし、やすらぎを与えてくださっているのです。個人的な見解ですが、お念仏をとなえる人は心なしか心の穏やかな方が多いような気がしますし、周りの人を和やかにすると思います。
 そうして阿弥陀さまと心を通わせた暁には、阿弥陀さまの極楽浄土へくことができるのです。
 せわしない現代を生きるなかで、ぬくもりや、やすらぎを感じることが少なくなってしまった私たち。木のように目で見て、手で触れることはできないけれど、それよりもはるかにあたたかくやさしい阿弥陀さまのぬくもりを、お念仏をとなえつつ心で感じとり、穏やかな日々を過ごしたいものです。
  (名古屋市 正行寺 祖父江良匡)

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