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今月の言葉:2018年12月

南無阿弥陀佛 いまを生きる

Today and every day, live calmly in reliance on Amida Buddha――Namu Amida Buddha.

 わたくしの師匠であり父でもある先代住職は、お説教師でした。全国各地で声に出してお念仏をおとなえする大切さを説いて回っていました。その父が亡くなったのは、今から12年前のことです。食道がんが原因でした。ある日突然、かすれ声になり、原因を調べているうちに病状が悪化、治療を進めてはいたものの、最終的には声が出せなくなるまでになってしまいました。声が出なくなる前、病室に行くと、「仕方がない、ホンマやったらすぐに死んでいたかもしれない。だけど、この程度で済んでいるから、最期の準備がしっかりとできる」
 そう言っては、お念仏をとなえ、入退院を繰り返しながら、午前の気分の良いうちは病室でもお寺でも、熱心に写経をしていました。また、檀家さんの家にお参りに行ったときには、先に送った人たちのお位牌の前で、「もうすぐ行くからな」と、最後の挨拶もして回っていました。
 法然上人のお言葉に「転重軽受てんじゅうきょうじゅ」というものがあります。阿弥陀さまはお念仏をとなえている人の、重く受けるはずだった病気を転じて、軽くしてくださるという意味です。もっとも、「重い」か「軽い」かはある意味主観的な問題です。思ったよりも「軽い」と受けとめられる、そして前向きになれる、そうした功徳くどくをいただけるのがお念仏ということなのでしょう。
 お念仏をとなえていれば、臨終の際、阿弥陀さまは必ず私たちを極楽浄土へと導いてくださいます。だから悲喜こもごも、この世のことはありのままに受け止め、精いっぱい「いまを生きる」のです。
 今年は災害の多い年でした。「平成30年豪雪」「大阪北部地震」「平成30年7月豪雨」「北海道胆振いぶり東部地震」夏の「猛暑」、さらには数多くの台風上陸による被害など。
 「災害は忘れたころにやってくる」といわれますが、忘れる間もなく次々と襲ってくるような一年でした。しかし、自然に対して文句を言っても、どうなるものでもありません。被災した方には心からお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方への供養を込めてお念仏をおとなえしつつ、前を向き、仏まかせの生活をしていただければ、と思うものです。
 今年も残すところあとわずかになりました。どうぞ、普段からしっかりとお念仏をとなえ、来るべきときのために、ともに精いっぱい「いまを生きる」ようにしましょう。
(大阪府守口市 来迎寺 白川雅宏)

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