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今月の言葉:2019年06月

ひとつひとつ いのち輝く

Your life, my life, and all lives are radiantly important.

 私たち人間は、十月十日とつきとおか母親のお腹の中で育ち、この世にいのちを受けます。現代では医療が発達し、かなりの早産であっても多くの小さないのちが無事に誕生し育っています。しかし医療が発達したとはいえ、産む母親も産まれてくる赤ちゃんも命懸けに変わりはありません。
 あるお母さまが娘さんの出産に立ち会った時の話です。待合室で待っていると無事に産まれたとの知らせ。出産までの間、一時は娘さんの体調が思わしくなく「母胎優先で」とお医者さんからも言われていただけに、その悦びに「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……」自然とお念仏が出てきました。すると看護師さんが「お母さん、大丈夫ですよ。赤ちゃんは無事です。元気ですよ」と声を掛けました。お母さまいわく「看護師さん何か勘違いしてたのよね。私は無事に産まれたこと、ただおかげさまという気持ちに自然とお念仏が出てきただけなのに」と笑ったそうです。
 私たちのいのちの源は、父と母と必ず2人。その父と母にも必ず両親がいて4人、そのまた両親で8人、10代遡ると1024人、20代遡ると100万人を超えます。連綿と続くいのちのつながりがあって今、私たちのいのちがあるのです。もしそのなかの一人でも欠けたなら、今ここに私は存在しないことになります。更にはそれらのいのちが互いに助け合い、深く関わり繋がっています。だからこそ自らのいのちを大切にすることはもちろん、他人のいのちも大切にしなければいけません。
 今の自分があるのは、多くのいのちを使わせてもらっていることでもあると思います。「使命」という言葉は「命を使う」と書きます。
 以前、当山で長年、世話人を務めてくださった方がいました。木の剪定、冬間近になればこもを巻き、竹垣を作るなど、境内けいだいの手入れをほぼ一人でしてくれました。朝は夜明けとともにいらっしゃり、ご高齢にもかかわらず「今の自分」が出来ることをその方らしく丁寧に手掛けてくださいました。私はその方を見て「使命」とは世間で注目されるような大きなことでなくても「今の自分」が出来ることをすることだと感じました。
 阿弥陀さまは、お念仏をとなえたすべての者を極楽浄土へ迎え入れてくださいます。今の私たちができることはお念仏をとなえることです。阿弥陀さまを信じ、極楽浄土へ思いをせ、お念仏をおとなえしてまいりましょう。

 (埼玉県久喜市 深廣寺 石垣正順)

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