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今月の言葉:2019年09月

まごころの おすそわけ

We should pass on to others all the kindness we receive.

 「お気をつけて」、「またお会いしましょう」せわしく過ぎる日々の中でちょっとした言葉をかけていただいて、うれしくなった経験はありませんか。
 私は、ふとした時に「お先にどうぞ」、「こちらへどうぞ」とちょっとしたお気遣いをいただくと、ほっとする瞬間があります。少しの思いやりが、人の心をとてもあたたかくするようです。
 もし、誰もが思いやりあふれる行動を取れるならば、これ以上に素晴らしいことはないと思います。常に互いが互いを尊重し、争いごとも起こらない、理想的な状況が目の前に広がっていたら、私たちはどんなに幸せでしょうか。
 法然上人のお言葉に「かまえて善人ぜんにんにしてしかも念仏をも修すべし。これを真実に仏教にしたがう者というなり」というものがあります。ここで法然上人は、極楽浄土への往生を願ってお念仏をおとなえすることが何よりも重要だけれども、お念仏をおとなえする人はなるべくい行いを積み重ねられるような者であろうとして、その上でお念仏にはげむ必要があると述べています。そして、そのような心持ちでお念仏をおとなえする人は、仏さまの御教おおしえにまことに沿う者であるとおっしゃっているのです。
 例えば『雑宝蔵経ぞうほうぞうきょう』というお経には「無財むざい七施しちせ」といって、①優しい眼差しを持つこと、②穏やかな表情で接すること、③和やかな口調で話すこと、④労を惜しまずに手助けすること、⑤気持ちに寄り添うこと、⑥座る場所を譲ること、⑦居場所を提供することが大切であると説かれています。そのような身ぶりや言葉つきや心構え、言い換えれば思いやりの実践が大切であることは誰しもが納得するところです。
 私たちは、人を思いやる行動が大切であると理解していても、なかなかそれを実践できないものです。意を決して取り組んだとしても、意に反してありがた迷惑になってしまうことさえあります。しかし、たとえ満足に行えないとしても、法然上人がお示しのように善い行いの実践を心がけることが大切なのです。
 善いことをすると阿弥陀さまは喜んでくださいますが、悪いことをすれば阿弥陀さまは悲しみます。阿弥陀さまの御心みこころに適いますよう、共にお念仏をおとなえし、思いやりの心をもって日々一歩ずつ過ごしながら、用心して「まごころ」を「おすそわけ」していけるような私たちでありたいものです。
 (茨城県古河市 西光寺 春本龍彬)

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