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今月の言葉:2017年08月

日々精進 ご先祖さまに守られて

The best way to thank our ancestors is to live each day earnestly.

 盂蘭盆会を迎える8月、今年もあの日がやってきました。あれから72年目―、終戦記念日です。
 この季節になると、8月2日に17回忌を迎える祖母のこと、昭和19年5月にビルマ(現ミャンマー)で戦死した祖父のことが頭に浮かびます。もちろん私は祖父に会ったことはなく、ビルマを訪れたこともありませんが、遠いかの地のどこかに祖父が眠っている、と考えると身近な存在に思えてきます。
 私が中学1年生の夏休み、祖母に言われた一言は今でも忘れられません。
「おじいちゃんからだよ」
 その言葉とともにセピア色の封筒を差し出されました。表には細く薄くなったペン字で「まだ見ぬ孫へ」と記されていました。開けてみると中に入っていたのは、折り目のないきれいな一枚の百円札。
 それがどういう意味なのかわかるはずもなく、祖母も何も言いませんでした。ただ「もう生きてふるさとへ帰ることはないだろう」と祖父は切なく思ったのかもしれません。戦死したのは、父が数えでわずか7歳のとき。孫である私のことを思った行動には、いのちがつながってほしい、という願いがあったのではないでしょうか。静寂の中でしきりに鳴くセミの声だけがいまも耳に残っています。
 戦没者は、お檀家さんの中にもたくさんいらっしゃいます。お盆には、当時の過去帳をいつもめくります。昭和16年の開戦から20年の終戦まではおびただしい数の戦没者のお名前が目に入り、なかには開戦からわずか6日後に亡くなった人もいらっしゃいます。
幼くして肉親を戦争で亡くされた人たちも今では年を取られ、お盆のお参りに来られます。過ぎ去った日々を思い出しながら、ご先祖に感謝する姿が尊く感じられます。
 私の家は7人家族。母と妻、それに元気いっぱいの4人の子どもがいて、ごく普通の生活を送っています。その普通の生活は、ご先祖さまをはじめ多くの人たちの支えで成り立っているものです。普段は、そのことになかなか思い至りません。けれども、祖父母のことを思い出したり、お盆で回向をささげていると、亡くなった方々に見守られているという実感が持てます。
 私たち家族は毎朝そろって、本堂でお勤めすることを日課にしています。それは日々、ご先祖さまへの想いを胸に大切に生きようという思いがあるからです。お勤めを終えたあとの清々しさで心もやわらぐ毎日を送っています。

(佐賀県神埼市 円福寺 黒谷真了)

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