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今月の言葉:2020年07月

人の輪が人の和に

新型コロナウイルスは、私たちの生活に大きな影響をもたらしました。緊急事態宣言が解除された今もなお、重苦しい雰囲気が漂っています。
国内で感染者が出始めたころは、私自身、どこか他人事のように感じていましたが、日を追うごとに感染者が増え、お参りにいらっしゃる方が少なくなっていく現実に直面し、とても不安な気持ちになったことを覚えています。

誰しもが不安な状況のなかで、物品を不必要に買ってしまったり、いわれのない人が非難されてしまうことさえありました。 私たちは、良い行動を心がけても、時として欲望に駆られたり、周囲に怒りをぶつけたりして和を乱してしまうこともある弱い存在ですし、そのような行動をまったくしないでいられる人がどれくらいいるでしょうか。

そんな私たちを見守りくださるのが阿弥陀さまです。法然ほうねん上人しょうにんは、たとえ重い罪を犯した人でも、心から反省して、阿弥陀さまを想いお念仏をすることで、往生おうじょうがかなうとおっしゃいました。

だからといって、反省さえすれば悪いことをいくらしてもいい、というわけではもちろんありません。

上人はまた、次のようなことばをのこされています。「親は良い子も悪い子も同様に育むが、良い子を見ては喜び、悪い子を見ては嘆き悲しむ。同じように、仏さまも私たちを見ておられる」これは、見守ってくださる阿弥陀さまを信じてお浄土へ往くことを願う以上、わざわざ悲しませるようなことをしてはいけないと戒めているのです。

私たちは、たとえ間違いを犯してしまっても、それに気付き正すことができます。自分で気付けなかったとしても、家族や友人から教えてもらえることもあるでしょう。そして他の人の過ちを教えてあげることもできます。互いに支えあうなかで、ともに良い方向へ成長することができるのではないでしょうか。そして、そんな私たちの姿を見て、阿弥陀さまはきっと喜んでくださるはずです。

まだ不安な日々は続きますが、お互いを助け合う私たち一人ひとりの思いやりのつながりが「人の輪」になり、世界中に広がった「輪」によって、平穏で「なご」やかな日常が戻ってくることを願っています。

(東京都葛飾区 法林寺 平野拓也)

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