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今月の言葉:2017年09月

ほとけの光 わけへだてなく

The light of the Buddha's compassion does not discriminate.

 早いもので、今年は東日本大震災の七回忌、6年の月日がたちました。地震発生時、テレビで多くの車や建物、船が津波にのみ込まれていく光景を目の当たりにし、がく然としたことを今でも覚えています。
 当時私は大学生。大学が主体となった宮城県南三陸町でのボランティア活動に参加し、震災から約1カ月後に現地へ行きました。被災者の方が「支援物資はたくさん来るが、すぐ使えず整理もできないので困っている」とおっしゃるので現場に行くと、たしかに汚い使い古した物も多く、すぐには使えません。結局、活動中に整理を終えることはできませんでした。
 作業の休憩中に避難所の子どもたちとサッカーをしているとき、小学校低学年くらいの2人組の男の子と出会いました。休憩が終わり「またね」と声をかけましたが、2人は避難所に帰らず遊んでいました。そして、急に「お母さんが流された〜」と歌い出したのです。私は動揺を隠せませんでした。家族のことを聞く勇気もなく、バスの時間もあったため、その日はやり切れない気持ちのままに帰りました。
 翌日、パネルシアターが行われたときも、昨日の2人は来ていました。実演後、2人と遊んでいると汗臭いことに気付きました。当時は、バスで浴場に行っていたので、家族や知り合いがいないその子たちは、お風呂に入れなかったのでしょう。私は何か力になれないかと考えましたが、一緒に遊ぶことで気を紛らわせてあげることしかできず、手を差し伸べることのできない自身の非力さを思い知らされました。普段の生活に戻っても、そのことは頭から離れませんでした。
 私たちにできることはわずかで、人を救うことは容易ではありません。しかしながら、阿弥陀さまを信じ、見守っていただき、何事にも日々全力で打ち込む。子どもたちと接するなか、その積み重ねが大切だと感じました。
 「衆生(人々) 仏を礼すれば仏これを見たまう。衆生 仏をとなうれば仏これを聞きたまう。衆生 仏を念ずれば仏も衆生を念じたまう」
 阿弥陀さまは誰であっても、救いを求めるものに応え、そのみ光はすべての生命を分け隔てなく照らし、導いてくださいます。
 私たちはいつ、いかなる災いに遭遇するかわかりません。だからこそ、最期臨終を迎えるにあたり仏さまの導きをいただけるよう、お念仏をとなえ日々精一杯生きることが大事なのです。

(東京都文京区 天然寺 後藤智孝)

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