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今月の言葉:2022年01月

幸せへのスタート

Take one step at a time toward making next year better still.

新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、世界規模で多くの人々が亡くなり、私たちの日常生活は一瞬にして崩れ去りました。そうした日々のなかで「幸せ」を実感することは、私自身大変難しいものでありました。
私は、昨年の四月に血栓症を患い、今も投薬による治療を行っています。自由に歩くことや座ること、日常的な動作がままならない苦しみを感じていましたが、病院のエコー検査によって発見することができました。原因が解明された時には、ホッとしたことを憶えています。後に、血栓は体質的にできやすいものであることが判り、従来の日常生活を見直す機会となりました。
私にとって闘病中は、先のみえない暗闇の中にいるようなもので、常に不安がつきまといました。そのなか、主治医の先生、家族や大学院の先生・先輩方、一緒に研究をする仲間や友人が大きな心の支えとなって病気と向き合うことができました。
宗祖法然上人は『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』に示される「光明徧照(こうみょうへんじょう) 十方世界(じっぽうせかい) 念仏衆生(ねんぶっしゅじょう) 摂取不捨(せっしゅふしゃ)」の一文を月の光にたとえて、浄土宗の宗歌となっている次のお歌を遺されました。
月かげの いたらぬさとは なけれども ながむる人の 心にぞすむ
これは、阿弥陀さまの慈悲を月の光に喩えられて、お詠みになられたものです。月の光はすべてを分け隔てなく照らしていますが、その光に気付き、月を仰いで感謝する心が起こらなければ、その月の光にあずかることができません。
それと同じように、すべてを救済(きゅうさい)しようとされる阿弥陀さまを仰いで、お念仏をとなえる日暮しを送ることで、日々お見守りにあずかり、浄土への往生(おうじょう)が約束されることから、お念仏が勧められるのです。
暗闇のなかを歩くような現世を生きる私たちにとって、阿弥陀さまとそのお浄土は尊く大きな光であり、法然上人のお示しくださった御詞(おことば)やその教えは、現世を生きる私たちの大きな心の支えであり、道標となるものです。
お念仏をとなえる日々を送りながら、日々の一つひとつが有り難いことを感じて、一年のスタートをきりたいものです。皆さま方の一年が「幸せ」に溢(あふ)れるより良い年になりますように。

(山形県山辺町 浄土寺 小笠原紀彰)

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