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今月の言葉:2017年10月

苦労してまるくなる人とがる人

Whether suffering makes tomorrow easier or harder depends entirely on you.

お仏壇の阿弥陀さまやご先祖さまのお位牌の前には、お花を生け、ろうそくには火を灯し、お線香を立てられているかと思います。あるお経には「手に香華を執りて常に供養せよ」と、日ごろお花やお香をお供えし供養することの大切さが説かれています。特にお香は、体に塗ることで身を清めたり、仏さまをお迎えするときに焚くなど、仏事ではよく使われます。昔、「お香の香りが身に染み付き、薫るようになれば、僧侶として一人前」と教わったこともあります。そのようにお香が衣服などに染みこみ、それ自体が香るように、自身の言動が心に染みこみ、影響を与えることを「薫習」ともいいます。
 ちょうど1年前、私が副住職を務めているお寺で、5日間にわたり浄土宗の根本的な教えを檀信徒へお伝えする、五重相伝会を行いました。受けられたお檀家さんの家に、月参りで伺うと、「和尚さん、五重相伝を受けさせてもらってよかったわ。今までお仏壇に見向きもしなかった主人が、毎朝仕事の前に手を合わせるようになりましたわ」とおっしゃってくださる方がいました。このように信心が深まり穏やかになったという方がいる一方、「日課誓約(五重相伝会などにおいて、毎日お念仏をとなえる数を決めて仏前で誓うこと)なんて無理ですわ。毎日は念仏できません」と少しトゲのあることをいう方もいて、同じ五重相伝会を受け、ともに最後まで取り組んでも、人によって考えることは同じではないのだな、と感じました。
しかし、そのような方でも、少しずつ変わられました。五重を受けたばかりのころは、月参りのときも後ろの方に座っていらっしゃいましたが、いつの間にか一緒に座り、手を合わせてくださるようになったのです。すぐには身につかずとも、お念仏の教えが、次第に薫習されていったのでしょう。
 三祖良忠上人は「初心は未練にして、修行これ苦しむ。後心は薫習して苦労を憚らず」とおっしゃっています。修行をはじめて間もないうちは、慣れていないので苦労と感じるが、続けるうちに薫習して苦労でなくなる、ということです。目標を達成するためには、苦労がつきもの。しかし、負けることなく少しずつでも努力を続けていれば、必ずよい結果につながるはずです。
毎日お念仏を続けることは大変なことですが、それが薫習し、最期には阿弥陀さまがお浄土へ導いてくださるよう、日々おとなえしてまいりましょう。
(奈良県桜井市 蓮臺寺 吉原寛樹)

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