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今月の言葉:2017年03月

大切な人 あなたのことは忘れない

Our paths may part, but the ties between us remain always unsevered.

 私は、大切な人をいつも思い続けたいと願っています。しかし、日常の生活に埋もれ、そのことを忘れてしまう時があります。もしかしたら、その大切な人はいつも自分のことを思い、心配し続けてくれているのかもしれないのに。
 一方の私はといえば、わがままで身勝手な振る舞いをし、あげくの果てに後悔をしてしまうのだから、もう目も当てられません。
 ただただ、その状況に甘えているだけです。何とも恥ずかしく、その陰の支えがありがたいばかりです。
 そして、家族や友人、お世話になっている方々に対して、ご恩返しとまでいえなくとも、何かお返しをしなければ、という思いと焦りばかりが先走るのです。
 こう振り返ってみますといかがでありましょうか?
 すでに先立たれ、お浄土へ往生された、今は亡き愛しいご家族の方々、そして友や先輩、後輩、恩師への募る想いというのは、やはり尽きることはありません。
 私も亡き祖父、祖母への募る想いは尽きません。若気の至りで、かつては無茶をして二人からこっぴどく叱られ、心配ばかりかけていたなぁ、と今もこの原稿を書きながら思い出しています。祖父、祖母との会話の続きをしているように、様々なできごとがつい昨日のことのように浮かびあがってくるのです。
 しかし、どんなことでもすべてを忘れたくない、という願いもむなしく、忘れていってしまうのが人間であり、それは世の無常なるがゆえなのでしょう。
 そのような嘆きや不安、むなしさすべてをお見通しくださり、遙か西にある極楽浄土から私たちを見守り、救いの手を差し伸べ続けてくださっている方がおられます。阿弥陀さまです。
 さらにはお念仏をとなえる声により阿弥陀さまを先頭に、ご先祖さまや大切な方々が私たちを救い導いてくださいます。
 だからこそ私たちは、阿弥陀さまの本願にすべてをまかせ、「南無阿弥陀仏」のお念仏の声とともに極楽浄土への往生を願うのみなのです。
 きっと、先代住職である祖父はお浄土で、忘れていくことを嘆くんじゃない、とやさしく笑みを浮かべ「南無阿弥陀仏と一心にひたすらとなえなさい。お前との再会を楽しみにしているぞ」そういっていることでありましょう。

 
(千葉県山武市 極樂寺 伊藤良成)

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