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浄土宗の活動 ~ 「法然共生」とは

法然共生

「きょうせい」と「ともいき」

近年、「きょうせい」という言葉をよく耳にするようになりました。

たとえば「自然との共生」、「地域との共生」といった言葉ですが、「きょうせい」とは、「共に生きる」ということですから、直訳すれば「自然と共に生きる」、「地域と共に生きる」ということになります。

つまり、「人間は天地自然の恵みの中で生き生かされているのだから、それをよくわきまえて、むやみやたらな開発はしないで、自然を大切にし、自然のサイクルに合った生き方をしましょう」ということ。また、「人は一人で生きているのではない。家族をはじめとして、隣近所、町や村の中で多くの人々と係わりながら生きているのだから、その関係を大切に、助け合いながら生きましょう」ということになるでしょう。
特に、環境問題が注目されるようになってからはさまざまなものとの共生が唱えられるようになっています。

こうした例でもわかるように、近年言われている「共生」はこの時代の中での「共に生きる」ということを強調しているといえます。

一方、「 共生ともいき」とは、単にこのいまの世での生きものとの共生ということだけではなく、もう一つ大切なことが含まれているのです。それは過去から未来へつながっている“いのち”との共生です。

私たちがいま持っている「いのち」は、はるか昔の祖先から綿々と伝えられているのと同時に、子や孫といった未来へとつながっていく「いのち」でもあるのです。一人の「いのち」であって、一人の「いのち」ではない、ご先祖から未来へつながっていく多くの「いのち」と共に生かされているのです。今この時の横のつながりだけではなく、過去から未来へつながっているという一筋の縦軸があるのです。
だからこそ、「いのち」は大切なのです。「いのち」を奪うということは過去の「いのち」未来の「いのち」のすべてを奪ってしまうことになるのです。

この「いのち」のつながりを含めて「ともいき」と表現しています。

このことについての出典は、法然上人が師と仰いだ中国・唐時代の善導大師が示された教えの中の一文です。この中の「願共諸衆生 往生安楽国」の「願共」の「共」と「往生」の「生」を合わせて「共生ともいき」と表現しているのです。この意味するところは「願わくは、もろもろの衆生とともに、安楽国(極楽)に往生せん」ということで、まさに縦軸のつながりといえるのです。

「浄土宗21世紀劈頭へきとう宣言」とは?

浄土宗では2001年元日、世界の諸問題を解決する出発点、そして今後百年の指標として「浄土宗21世紀劈頭宣言」を世界に向けて発信しました。

”法然上人の心を世界へ”と題し、

愚者の自覚を(己を省みて、己の至らなさを知ろう)
家庭にみ仏の光を(暖かい家庭を築こう)
社会に慈しみを(優しさに満ちた社会を築こう)
世界に共生を(共に生きる平和な世界を築こう)

の四句を掲げました。
これは20世紀を反省し、21世紀が人々にとって少しでも良い世紀になるよう願いを込めて訴えたものです。

では20世紀はどんな世紀だったのでしょうか。
まず、20世紀は人間の限りない可能性を信じた時代だったと言ってもよいでしょう。

科学技術の飛躍的な進歩、乗り物や電化製品、そして住居など、100年前には想像もできなかったことです。また、合理的で無駄を排する考え方。これらは人間の生活や文化の領域を拡大し、私たちの暮らしは便利に、そして豊かになりました。
しかし、一方で恐るべき核兵器の開発、国家や民族間の対立、環境破壊、人間の欲望の肥大、家庭の崩壊、道徳や教育の荒廃など負の遺産もまた生じました。そして今日では、これに加えて貧富の格差が生じているとともに、人心はますます荒廃し、親の子殺し、子の親殺しなど凶悪犯罪も増えています。

こうした時代観、人間観は、まさに法然上人が生きられた平安時代末期から鎌倉時代前期とよく似ています。源平の合戦、天災地変、飢饉など、鴨長明の『方丈記』に見るように、人々はまさに救いのない地獄の様相の中で生きていました。

法然上人は、そうした中で煩悩にとらわれた人間の哀しみを見つめ、お念仏による救いを見出したのです。

「浄土門は愚痴に還りて極楽に生ず」
「智者のふるまひをせずして、ただ一向いっこうに念仏すべし」

が上人の教えの到達点でした。ここには、何よりも自らのいたらなさを見つめる視点があったのです。「智慧第一」と言われた上人が、内省に内省を重ね、まだまだいたらない自分自身を発見したのです。

この人間観こそ、そして、この気づきこそ21世紀の諸問題を解決する出発点であるのです。

私たちは、前記した負の遺産を引き継ぎ今日を生きています。法然上人が説かれた「愚者の自覚」に立ち返って、平和、環境、倫理、教育、人権、福祉などの諸問題を、自分自身の問題として考え、取り組みましょう、というのがこの劈頭宣言の意味するところなのです。

「法然上人共生ともいき世界」への願い

浄土宗は、平成13(2001)年元日、この100年間の指標として『浄土宗21世紀劈頭(へきとう)宣言』を発表しました。

また、平成23(2011)年に迎えた法然上人の800年の御忌ぎょき、「宗祖法然上人800年大遠忌」に向けて、上人の遺徳を偲ぶとともにその教えをさらに顕彰しようと、さまざまな事業を企画し、進めました。

御忌とは、法然上人の年忌を修する法会で、遠忌とは亡くなった人に対する50年や100年などの遠い年忌法要をいいます。

この『浄土宗21世紀劈頭宣言』の精神と「800年大遠忌事業」の理念を、社会に広く周知するとともに、永く深く共感・共有できるようにと、平成19年8月、メッセージ・シンボルを策定しました。それが「法然共生」です。

これは「法然上人共生世界」を略した言葉で、「法然上人の心とともに、新しい共生文化を創造する」という決意が表現されています。この混迷した社会を、法然上人の教えを多くの人々に知ってもらい、「明るく、正しく、仲良く」暮らせる社会に変えていきましょうということです。

そして、策定と同時に、このメッセージ・シンボルをロゴマーク化するためにデザインを公募。平成19年10月19日、寄せられた527点から東京都の佐藤忠敏氏の作品が選ばれました。

これには寺族、檀信徒を含めたみなさんで「法然共生」運動を展開しようとの願いも込められているのです。

法然共生ともいきサウンドロゴ

耳に届く!!「法然共生」メッセージ・シンボルのサウンドロゴ

「法然上人共生世界 いのちの共生 法然共生」と母子が明るく歌い上げるメロディーは、対話といのちのつながりを表しています。今後は、ラジオCMやグッズなどで活用する予定です。

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