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浄土宗ニュース:2017年05月

熊本地震一周忌  被災寺院・檀信徒のいま
寺院の復旧 念仏の場を第一に

 熊本、大分など九州の広範囲に甚大な被害をもたらした熊本地震から4月14日で1年が経った。山門の倒壊、伽藍の損傷など被害の大きかった千日院(熊本市桜木=村上若蓉住職)、往生院(同市池田=永目眞定住職)を訪ね、現況と心境を伺った。

 最大震度7を記録した同市益城町に程近い千日院。地震直後、山門が倒壊し、本堂は行政による応急危険度判定で最も危険な状態を表す「赤」とみなされるなど深刻な被害に見舞われた。
 取材に伺った4月13日、山門はすべて撤去され、本堂に貼られていた危険判定を示す「赤紙」は無く、その本堂前で村上住職が迎えてくれた。
「昨年12月から2月まで工事を行い、柱などの補修でなんとか解体は免れることができました」
 雨漏りのためブルーシートに覆われていた本堂は、内壁も塗装されて一見修復は済んだようだが、地震による再建工事で多忙を極める施工業者の都合がつかず、本尊の安置などは6月、もしくは盆までずれ込む見通し。通常の法要が勤められるのはまだ先だ。倒壊した山門と外壁は費用の問題もあり、再建の目処は立っていない。
 地震以降は隣接する鉄筋造りの納骨堂で法要をし、本堂とつながる木造の庫裏(住居)も危険なため納骨堂の書院で日々手を合わせ生活する村上住職。今後について心境を伺うと「3月まで近所の保育園の園長を務めてきましたが、震災の後も変わらず、〝笑顔と感謝の心を忘れずに〟と子どもたちに伝えてきました。仏教の〝和顔愛語〟からの教訓ですが、どんなに辛い時でも、お互い笑顔で接し会えば明るくなります。一歩一歩前を向いていきます」と語ってくれた。

左:仮本堂となっている納骨堂で手を合わせる村上住職。
右:地震直後の納骨堂の様子。本尊の光背が一部損傷したほか、位牌や香炉などが散乱した。




月参りで感じた心の疲弊

 山門の倒壊、寺務所や客殿の屋根瓦が多数落下したほか、約2千基ある墓石のうち、5分の2にあたる800基が倒壊するなどの被害があった往生院は現在修復の真っ只中だ。永目住職は「まずは本堂、墓地、鐘楼堂など檀信徒の方々がお参りされる建物が最優先」と話す。庫裏の屋根は波を打つようにゆがみ、次に大きな地震が起きたら危険な状況だが「全体の修復にはおそらく10年はかかるだろうが、まずは祈りの場を」と語気を強める。
 また、同院では檀信徒の毎月の命日に自宅を訪れ回向をする「月参り」を行っているが、この中で檀信徒の心の疲弊を感じたという。
 「皆さん故郷に想いが強く、何とかこの地で再建をしようとがんばっていますが、どこか空元気に見受けられます。長く続く余震や、再建にかかる金銭面などの見えないストレスが大きな負担なのでは。まだ1年、復興には至りません」

庫裏の前で現況を語る永目住職。屋根は仮修復はしたものの耐震面に不安が残る




熊本教区が熊本地震一周忌法要

物故者追悼と復興を祈願
青年会らは仮設住宅で傾聴活動を継続

 熊本教区(三宅晃洋教区長)が熊本地震の発生から1年となった4月14日、「平成28年熊本地震物故者一周忌・復興祈願法要」を熊本市の西福寺で厳修した。
 同寺は地震直後、避難所などに届ける緊急支援物資の集積所となったところ。当時は全国から集まった物資が浄土宗青年会の会員らによって本堂に所狭しと運び込まれ、同寺の吉田徹秀住職は、寄付者の想いに感謝しつつ、物資の隙間で寝起きしていたという。支援に携わった人々も「このお寺で一周忌を迎えるのは感慨深い」と話していた。
 法要は三宅教区長を導師に浄青会員らが勤め、総本山知恩院鶴野重雄執事、大本山善導寺能登原賢史執事長ら宗内の役職者らが多数参列。集まった教区内の檀信徒約100名と共に、震災で亡くなった方々を回向し、早期の復旧・復興を祈念した。
 法要後、三宅教区長は「震災直後の混乱した中でも、県民同士が譲り合いの心で支えあっていたことが印象的でした。こういった心持ちが早期の復興につながると思います。私たちの象徴、熊本城の復旧には20年ほどかかるといわれていますが、心の復興もまた同じように長い年月が必要です。これからも共に生きてまいりましょう」と檀信徒にやさしく語りかけた。
 法要に参列した同寺檀家総代の加藤泰行さんは「1年が長かったか、短かったかは今はまだわからない。それでも今日は亡くなられた全ての人を想い祈りました」と振り返った。

法要の趣旨をつづった「表白」を読み上げる三宅教区長(中央)




浄青ら被災者に寄り添い傾聴ボランティア

 熊本教区は昨年10月から月に1回、仮設住宅で「喫茶 BO―SUN(ぼーさん)」と銘打った茶話会を開き、被災者の不安な心情などを傾聴するボランティアを続けている。
 茶話会にはカウンセリングの研修を受けた僧侶やその夫人、他教区からの手伝いなど毎回15名ほどが参加。お茶やコーヒーのほか、お供物の菓子や果物が振る舞われ、子どもにも好評だ。
 茶話会に参加する熊本教区浄土宗青年会会長の藤森法明師は、これまでを振り返り「初めこそ当たり障りのない話が多かったが、顔見知りになるにつれ、心の内を話してくださる方も増えてきました。身近な人に言えないことを聞くのも私たちの役割。″復興〟という言葉が熊本で聞かれなくなるまで続けていきたい」と決意を語った。

茶話会で楽しげに僧侶(奥)と話す住民




遺徳を偲び 盛大 厳粛に

総・大本山で御忌

 浄土宗宗祖・法然上人の遺徳を偲んで勤められる御忌。4月の陽光のなか、総本山知恩院(伊藤唯眞門跡=京都市)はじめ、増上寺(八木季生法主=東京都)、金戒光明寺(髙橋弘次法主=京都市)、知恩寺(福原隆法主=同)、清浄華院(真野龍海法主=同)、善光寺大本願(鷹司誓玉法主=長野市)の各大本山では、1日から数日の日程で厳修した。
 御忌は本来、貴族などの忌日法要全般を意味したが、室町時代に後柏原天皇が知恩院へ送った詔書をきっかけに、主に法然上人の忌日法要を指すようになった。もとはご命日の1月25日に勤められていたが、明治期に知恩院が4月に執り行ったのを契機に、5つの大本山でも4月に修するようになった。
 このうち知恩院では、18日に伊藤猊下を導師に法然上人御堂で、期間中最初の法要である開白法要が修された(写真下)のをはじめ、25日まで営まれた。19日からの日中法要では、伊藤猊下から任命を受け、法然上人への報恩の想いが綴られた「諷誦文」を唱える「唱導師」により勤められた。また24日まで連日行われた逮夜法要では、後柏原天皇の詔書とともに身なりを整えるための笏といわれる木製の細い板状の道具が知恩院に贈られたことにちなみ、笏で拍子をとり念仏をとなえる「笏念仏」も行われ、訪れた多くの参列者らは、古式ゆかしい念仏の声に耳を傾けていた。
 増上寺では2日、八木台下のご親修で開白法要を大殿で営んだのを皮切りに、7日まで御忌法要を厳修。5日から7日には唱導師により日中法要が営まれた。法要に先立ち、僧侶と関係者ら合わせて300名あまりが大殿まで列をなす「練行列」が行われた。煌びやかな衣装に身を包み、花を手にした稚児らに続き、唱導師が修復を終えたばかりの大門を出発。三門を通過し、大殿前に設けられた庭儀台の上で、「庭儀式」を行った。沿道には、会社員や観光客らの姿も多くみられ、華やかで厳かな様子に足を止め見入っていた。

※大本山善導寺(阿川文正法主=福岡県)、大本山光明寺(柴田哲彦法主=神奈川県)では1月に御忌を勤めました。

左:増上寺で行われた練行列。写真は6日の様子
右:知恩院での開白法要の様子。法然上人御影に花が奉げられた




大本山善光寺大本願 法主

鷹司誓玉台下 6期目へ

 大本山善光寺大本願(長野市)法主、鷹司誓玉台下の任期満了に伴い、3月28日に開催された浄土門主・法主推戴委員会(委員長=豊岡鐐尓宗務総長)において、鷹司台下の再任が全会一致で決定した。任期は平成29年4月9日から4年間。
 台下は昭和4年、旧五摂家の一つ鷹司家の長女として東京に生まれ、慶應義塾大学卒業後、大本願第119世法主大宮智栄上人を師僧としてご入山、平成9年に第121世法主に就任された。今回で6期目。
 さまざまな事情により家庭での養育が困難な子どもを預かる善光寺大本願乳児院の設立(昭和37年)に尽力されるなど、社会福祉活動にも傾注されている。




「笑顔で復興見守って」

如来寺(石川)が西光寺(宮城)に石仏地蔵尊70体奉納

 東日本大震災で被災した宮城県石巻市の西光寺(樋口隆信住職)で4月11日、石川県金沢市の如来寺(吉田昭生住職)から寄贈された石仏の地蔵尊70体の開眼法要を勤めた。
 西光寺の檀信徒と、石仏を彫った如来寺の檀信徒約80名が参列、震災物故者の追悼と地域の復興を願ってお念仏をとなえ、導師の樋口住職が石仏一体一体に開眼の作法を行った。
 如来寺は参道の老朽化に伴い、平成に入ってから改修工事を実施。その際運び出された石を用いて、平成7年から檀信徒有志による石仏彫りを始めた。
 千体を目標に彫り続け、800体に達したころ、東日本大震災が発生。2年後の平成25年、吉田住職は震災物故者慰霊法要で西光寺を訪れた。津波で本堂と隣接する会館が被災し、檀信徒180名が犠牲になった同寺の惨状を目の当たりにした吉田住職は「何かできることはないか」と考え、復興祈願のために石仏の奉納を決めたという。
 それから檀信徒有志ら約40名が2年を費やし、新たに70体製作。一体一体表情が異なるのは手づくりならではだが、いずれも安らかな表情をたたえる石仏(写真右)が、津波で流失した西光寺山門の跡地周辺に安置された。
 吉田住職は「復興の願いを託し、今回初めてお地蔵さまを奉納させていただきました。お地蔵さまの笑顔で、皆さんも笑顔になってほしい」と目を細めた。
 また樋口住職は「遠く離れた金沢からの贈り物に感謝でいっぱいです。お地蔵さまに復興を見守り続けていただければ」と語った

左:如来寺から寄贈された石仏に開眼作法を行う西光寺・樋口住職




「大門」修復工事完了 御忌大会中に竣工式 東京 大本山増上寺

地名や駅名として街のシンボルにもなっている大本山増上寺(東京都港区)の「大門」の補強・修復工事が3月、完了した。
 大門はかつて増上寺境内の総門(表門)だったが、明治4年の上知令(土地没収命令)により寺領が縮小され、東京府(当時)へ寄付された。増上寺によればその後は、「木造だった大門は大正12年の関東大震災で損傷。昭和12年に東京市の発注で鉄筋コンクリート製に造り直され、昭和20年の東京大空襲にも耐えた」という。
戦後、増上寺は東京都に返還を要請したが、都の財産目録の中に「大門」の記載がなかったため、長期に渡り〝所有者不明〟の状態になっていた。
東日本大震災の地震により、瓦の一部が落下。地元振興会などから、安全性を求める声があがり、これに関した報道などもあったことから、都と増上寺が改めて協議、昨年3月25日に譲渡契約が交わされ、正式に都から無償で返還された。12月からは耐震補強、塗装直し、瓦の葺き替え工事を行い、今年3月に完成、御忌大会中の4月5日に竣工式も行われた。
 また、国重要文化財の三解脱門(三門)も、東京オリンピック開催に向け耐震補強工事が行われており、オリンピック終了後には約10年がかりの修復工事に入るという。

修復工事後の大門




神奈川浄青が『ねんぶつ日記』発行 日々の念仏 見えるかたちに

檀信徒がよりお念仏に励みやすいようにと、浄土宗神奈川教区青年会(小俣慶樹会長)が、冊子『ねんぶつ日記』(A6判16ページ)を発行した。
 法然上人は日々6万遍のお念仏をおとなえされたが、これにならい、となえるお念仏の数などの目標を設定し、それを達成できたら〝日記〟に経文を5字ずつ書き込む記帳方式。経文は、阿弥陀仏が「南無阿弥陀仏ととなえた者は必ず救う」と誓われた「四誓偈」で、44日続けることで一回、写経できる仕組みだ。表紙の揮毫は大本山光明寺法主・柴田哲彦台下によるもの(写真)。製作に携わった三浦正順編集委員長は「日々のお念仏を記録することでいっそうの励みとしていただきたい」と話している。
 この『ねんぶつ日記』を抽選で10名にプレゼント。ハガキに氏名・年齢・住所・電話番号をご記入の上、浄土宗新聞「ねんぶつ日記プレゼント係」まで(5月末日必着)。応募先は11面「募る」をご参照ください。また、購入希望の方は、20冊1セット、千円(送料別)。
 問い合わせメール=nenbutu.nikki@gmail.comへ。




特別展 多彩な画風 一堂に

画僧 古かん 5月20日~奈良・大和文華館

 多彩な画風を持つ画僧として人気を博した江戸時代の浄土宗僧侶、古かん(1653-1717・かんは石へんに間)の没後300年を偲び、5月20日から7月2日まで奈良市の大和文華館で特別展が開かれる。
 当麻曼荼羅図(法隆寺蔵)、薬師寺縁起絵巻(薬師寺蔵)、円光大師贈号絵詞(知恩院蔵)、大黒天図(写真)など古かんが遺した作品約80点を展示。色彩豊かな曼荼羅から愛くるしい水墨画まで、個性豊かな古かんの世界が堪能できる。6月25日14時から、古かんを研究する奈良・薬師寺執事大谷徹奘師による「画僧古かんの生涯と絵解き」と題した講演会も。
 10時~17時(入館は16時まで)。
 一般930円、高校・大学生720円、小・中学生無料。月曜休館。
 問い合わせは大和文華館=0742(45)0544。

写真:大黒天図ⓒ画僧古研究会


彰義隊150回忌法要 増上寺など 追悼の鐘

 慶応4年(1868)の上野戦争で新政府軍と戦った旧幕臣による「彰義隊」の150回忌法要が5月15日、東京都台東区の上野公園にある彰義隊墓所で営まれる。彰義隊は江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜公の警護のため、側近によって慶応4年に結成。新政府発足後の同年5月15日に上野で新政府軍と戦い敗北した。
 法要は墓所を管轄する日蓮宗の主催で午前11時から営まれ、徳川家菩提寺の増上寺(浄土宗)や寛永寺(天台宗)など彰義隊にゆかりの深い都内の5カ寺が午前11時に追悼の鐘を撞く。
 問い合わせは日蓮宗東京都北部宗務所=03(3821)4601。


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