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浄土宗ニュース:2019年01月

人界の生を受けたる思出にて

浄土門主・総本山知恩院門跡 伊藤唯眞猊下

 心中に光芒こうぼうを放つ生涯の思い出は、魂に刻まれていて、尊く、かつおおきく重い。「浄土の法門と遊蓮房ゆうれんぼうとにあへるこそ、人界にんがいしょうを受けたる思出おもいでにてはべれ」。
 これは法然上人の常のおおせです。冒頭の「浄土の法門」とは一般的な浄土教ではなく、法然上人を開悟かいごへと至らしめた善導ぜんどう大師だいしの『観経疏かんぎょうしょ』を指します。「わが心に相応する法門」との出会いが歓喜となりました。
 このころ、西山せいざん(京都府長岡京市)の広谷ひろだにに同じく善導大師の念仏行に傾倒していた念仏ひじりがいました。信空しんくう(法然上人のおとうと弟子)の叔父にあたる遊蓮房円照えんしょうです。比叡山ひえいざんを下りた法然上人は広谷に向いました。
そして遊蓮房が念仏行において「現証あかし」を得ていたことを知ります。遊蓮房の臨終には善知識ぜんちしきを法然上人がつとめ、二人の関係は短期間で終わりました。
 しかし遊蓮房との出会いは、法然上人をして自証じしょう(自らさとる)から化他けた(他者を救いに導く)へと、すなわち念仏教化きょうかへの姿勢を固めさせました。遊蓮房の没後、庵室は静閑の広谷から喧騒の都に近い東山大谷に移され、教化の拠点となったのです。
 このように法然上人には、自身の行方を決めた瞬間ときがあったのです。めぐりあいが人生の宝となる。そのような出会いを私たちも持ちたいものです。

新年ご挨拶動画

大本山ご法主台下 新年ご挨拶

浄土宗には由緒沿革により全国に七つの大本山があります。そのご住職を法主といい、ご法主台下とお呼びしています。新年にあたり、ご法主台下から読者のみなさまに一口法話を頂戴いたしました。

大本山増上寺(ぞうじょうじ)法主 八木季生台下



 新年のお祝辞を申し上げます。法然上人の御法語に「法爾ほうにの道理という事あり。炎は空にのぼり、水はくだりさまにながる」という有名な一説がありますが、大自然の当然の事として行われることに逆らおうとすると、そこに大変な無理が生じます。この世の道理に従って、無理のない生活を行うことが平和の基本と思いますが、道理に反したことをして自己表示をする傾向が見受けられることを残念に感じるこの頃です。

大本山金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)法主 高橋弘次台下


 新年あけましておめでとうございます。戦後の貧しい暮らしから豊かな時代になりました。平安の昔、関白道長が「望月もちづきの欠けたることも無し」とまでうたったような毎日ですが、「おかげで」とか「ありがたい」などの意味の言葉をほとんど聴くことがなくなりました。「欲望」のままの日常には「ることを知る」という言葉が良薬になります。私たちの場合、阿弥陀さまからの「賜わりたるお念佛」がお薬の代わりをしてくれます。本年も良き年でありますよう心より念じます。

大本山知恩寺(ちおんじ)法主 福原隆善台下


 阿弥陀さまは無限に近い五劫ごこうというほどのながい間のご修行により、すべての人を救う法を、釈尊も苦行像にあるような苦行の末に、阿弥陀さまのご本願ほんがんはじめ八万四千の法門を示されました。法然上人もまた、南都北嶺なんとほくれいの仏教を学ぶご苦労の結果、善導大師ぜんどうだいしのお導きで本願念仏の教えにめざめられました。私どもが簡単に阿弥陀さまのご本願の念仏に会えるのもこうしたご苦労があってこそであり、凡夫ぼんぶの私どもはこれを無駄にしてはなりません。しっかりお念仏を申しましょう。

大本山清浄華院(しょうじょうけいん)法主 真野龍海台下


 念仏の教えでは、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏という一声一声が懺悔であって、そこに罪は清められ消除しょうじょされるのです。懺悔というのは、もともとは仏教から来た言葉であります。仏教の集団がインドで結成されると、教団の中でいろいろ守るべき道徳、つまり、かいというものとりつなどが決められていきました。定時の会合で、団員の僧は、戒律に背いたことがあると皆の前で告白して審判を受け、それで罪を清算するのです。この告白というのが懺悔であり、そして阿弥陀さまにすべてをお任せする称名しょうみょう念仏にこそ救いがあるのです。

大本山善導寺(ぜんどうじ)法主 阿川文正台下


 浄土宗の教えの中で、念仏の行をしゅするのに「三種行儀さんしゅぎょうぎ尋常じんじょう行儀・別時べつじ行儀・臨終りんじゅう行儀)」が説かれますが、二祖聖光上人は、この三種の行儀の外に「用心ようじんの念仏」(『浄土宗じょうどしゅう要集聴書ようしゅききがき』末)があると説かれました。「用心の念仏」とは、常に用心して今を最後と思ってよく念仏を申す事であります。この「用心の念仏」は、つまる所は三種の念仏にいずれも通ずるもので、平生にとなえる念仏に尽きるものであります。日々の生活を念仏生活で送りたいものです。

大本山光明寺(こうみょうじ)法主 柴田哲彦台下


 昨夏、鎌倉光明寺記主きしゅ庭園の蓮が近年になく美しく咲き誇りました。前年の池ざらいがよかったのでしょうか、その折に見た汚濁泥土から真逆の清楚な花が咲いたのであります。
 『維摩経ゆいまきょう』に、泥中から美しく咲く蓮華の譬喩ひゆがありますが、宗祖は「ただ常に念仏して、その罪を滅すべし」と申され、煩悩に汚濁された罪深い私たちでも念仏によって清浄な心になれると説かれました。新年にあたり改めて、法然上人説示の念仏に勤しみ、心に美しい花を咲かせたいものであります。

大本山善光寺大本願(ぜんこうじだいほんがん)法主 鷹司誓玉台下


 ある新聞アンケートの発表で新元号の予測に平和を願う意味の語が多く選ばれる傾向が指摘されていました。自由・発展等の言葉より安心・安全等の語に人気があるようです。人命・人権尊重は大切ですが、新しい時代に向かう時としてはかなり消極的な印象を受けます。安定・無事等の保守的姿勢も時として必要ですが、多くの大乗経典に「勇猛精進ゆうみょうしょうじん」とあるように、仏教者としては、力強い積極性を将来を担う若い世代の人たちに持っていただきたいと新年に切望いたします。

ルポ 子どもからお年寄りまで

みんなで食べる「カレーの日」 大盛況

北海道・帰厚院
「1年間ありがとうございました!いただきます!」
 子どもたちの元気な声が、座敷内に響き渡った。北海道岩内町にある帰厚院で催される恒例イベント、「カレーの日」(※浄土宗ともいき財団助成事業)でのひとコマだ。
 3年前に始まり、毎月第一月曜日(1、8月を除く)の夕方5時から7時まで開いている。お檀家のお母さんたちが調理したカレーを、地域の子どもたちやその親世代、さらには祖父母世代、総勢150人が一堂に集い、一緒に食事をとる。
 運営するのは、結婚を機に奥さんの実家の跡を継ぐべく僧侶になった、現住職の成田賢一さん(42歳)。活動のきっかけは、月参りでお檀家さんを回っている時に耳にした、一人暮らしのお年寄りのひと言だったという。
 「食事は前日の残りを食べてテレビを見て、後は寝るだけ」という孤食の寂しさを痛感。早速、お寺に集まって大勢で食事をしようと提案した。「お寺には空いているスペースもあるし、調理道具も食器類も豊富。これを利用しない手はない」とスタート。メニューには誰もが大好きなカレーを選んだ。
 当初40〜50人くらいだった参加者も、いつの間にか口コミで評判が広まり、今では毎月100人を超す盛況ぶり。お檀家さんだけでなく誰でも参加できるため、時には評判を聞きつけた旅行客まで加わることもあるという。食材などはお檀家さんからの差し入れが多いため、食事代ではなく、お賽銭をいただくのみ。
 取材に訪れたこの日は12月とあって、外は大雪。それでも、5時過ぎには続々と参加者が集まり、座敷内はすでに人、人、人……。
 住職の「みんなでいただきますをしましょう!」の掛け声を皮切りに、和気あいあいとした食事会が始まった。1年の最後の月とあって、食後にはいつもカレーを作り続けてくれたお母さんたちへの感謝の声も響き渡った。それが、冒頭の子どもたちの声である。
 「子どもたちには、常に感謝の想いを持ち続けてもらいたいです。そしてお年寄りにとっては孫世代の子どもとの触れ合いを楽しみ、若いお母さん方は母親同士の会話も弾む。そんな世代を超えた交流の場として活用してもらえるのが嬉しいですね」と成田住職は目を細める。
取材=藤井勝彦(紀行ライター)

写真:この日のメニューはポークカレー。差し入れの具材によって、たこカレーやかまぼこカレーになることもある。中央が成田住職

淑徳巣鴨中学高等学校(東京) 祝勝会

祝・優勝 偉業讃え

 浄土宗宗門学校の淑徳巣鴨中学高等学校(東京都豊島区・夘木幸男校長)が、国内外で輝かしい成績を収めた高校水泳部の池江璃花子さん(3年=写真中央右)、片桐珠実さん(2年=写真中央左)、中学女子剣道部の部員8名らの偉業を讃え、11月27日に東京ドームホテル(同文京区)で祝勝会を開いた。
 池江さんは「第18回アジア競技大会」(平成30年8月・ジャカルタ)で史上初の6冠を飾り大会MVPに選ばれたほか、「パンパシフィック水泳選手権大会2018」(同月・東京)女子100メートルバタフライで優勝するなど世界に名を轟かせた。片桐さんは「第86回日本高等学校選手権水泳競技大会」(同月・愛知)女子100メートル背泳ぎで優勝し、中学女子剣道部は「第48回全国中学校剣道大会」(同月・岡山)で団体優勝した。その快挙を祝福しようと、同校が選手の家族や関係者ら200名以上を招待して祝勝会を開催、偉大な功績をみなで讃えた。
 当日は東京私立中学高等学校協会・近藤彰郎会長ほか、浄土宗を代表し、杉山俊明浄土宗社会国際局長から祝辞が述べられ褒賞金が手渡された。その後は、同校卒業生のミュージカル俳優・上原理生さん(平成31年帝劇「レ・ミゼラブル」・ジャベール役)による生歌が披露されたほか、各試合の映像が流された。選手らは日々の練習での辛い経験や優勝を手にしたときの喜びを笑顔で話し、盛況のうちに締めくくられた。

写真:国内外で輝かしい成績を収めた高校水泳部の池江璃花子さん(3年=写真中央右)、片桐珠実さん(2年=写真中央左)、中学女子剣道部の部員8名ら

當麻寺奥院(奈良)大方丈新たに

60枚の大作 襖絵「花鳥浄土」

 奈良県葛城市にある當麻寺奥院(川中光教住職)の重要文化財「大方丈」(6室54畳)の大修理が平成28年に完了し、それを契機に日本画家の上村淳之画伯が手掛けてきた襖絵「花鳥浄土」が11月23日から12月9日まで一般公開された。
 完成した襖絵は6室60枚で構成。雪景色の中で天に向かって鳴く鶴や、木の枝に止まった白い鷹、色鮮やかなセキレイなどの花鳥画が表現されている。
 11月21日には同院で記者会見が開かれ、上村画伯は「参拝された際にはこの花鳥画を通じ、自然への畏敬の念を感じてほしい」と作品に込めた思いを語った。
 大方丈の公開は毎年秋の紅葉シーズンを予定している。問い合わせは奥院=0745(48)2008。
【當麻寺奥院】総本山知恩院の「奥之院」として応安3年(1370)創建。南北朝動乱の中、戦災から免れるため、知恩院本尊として祀られていた法然上人像や『選択本願念仏集』(ともに重文)などを遷座、安置するため建立された。

 

宗立宗門校と浄土宗が連携

関東・関西 各地でイベント

・大正大で仏教体験イベント 寺フェス2 開催

 若者や地域の人々に仏教にふれてもらおうと、関東に所在する浄土宗宗立校の大正大学、宗門校の淑徳大学、埼玉工業大学の学生と浄土宗が連携して11月3日、大正大学(東京都豊島区)で「寺フェス2」を開催、約600人が訪れた。
 学生の発案を基に昨年から始まったイベント。来場者は入棺体験や閻魔大王の裁判、針山をイメージした地獄体験はじめ、オリジナル散華・経本作りや法衣の被着体験など、身近に楽しく仏教にふれた。

・佛大では今後の展開模索 地域連携シンポ

 東海と関西に所在する宗立宗門校(佛教大学・京都文教大学・京都華頂大学・東海学園大学)と浄土宗が12月15日、佛教大学(京都市)で「共生―新たにつなぐご縁」をテーマにシンポジウムを開き、学生、福祉関係者ら約80名が集った。
 社会連携や福祉を学ぶ学生と活動に取り組む僧侶が、新たなご縁のヒントを見つけて欲しいと企画。浄土宗僧侶で貧困支援を行う「おてらおやつクラブ」代表の松島靖朗師が活動趣旨や課題を講演したほか、各大学学生が地域や多世代交流活動を報告した後、質疑応答や意見を交換、新たな縁をつないでいた。

蓮華を模した散花に願いを綴り、思い思いに彩色する来場者

俳壇歌壇投稿記念品

 浄土宗新聞では、俳壇・歌壇コーナーに投稿をいただき、「俳壇・歌壇選」に選ばれた方には5ポイント、その他掲載になった方には1ポイントを贈呈しています。ポイントは貯まった数に応じて、お好きな景品と交換できます。
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●3ポイント・・・『浄土宗 毎日のおつとめ』/『縁の手帖』
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         『心に沁みる日本のうた』
●8ポイント・・・絵本ジャータカ物語/『新版檀信徒宝典 読んでわかる浄土宗』/『じゃあ、
          仏教の話をしよう。』
●10ポイント・・・日常勤行式CD(三奉請・三唱礼)/日常勤行式CD(四奉請・三身礼)/
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