浄土宗ニュース:2019年05月

400名集い 親鸞聖人の師 仰ぐ

法然上人八百回御忌法要

 親鸞聖人しんらんしょうにん(1173‐1262)が宗祖の真宗大谷派本山・真宗本廟しんしゅうほんびょう(東本願寺=大谷暢顯ちょうけん門首もんしゅ)が4月1日から4日の日程で親鸞聖人御誕生や全戦没者追弔法会などを行う「春の法要」を営んだ。そのなか3、4の両日は浄土宗の宗祖・法然上人(1133‐1212)の八百回御忌法要を阿弥陀堂で勤めた。
 4日の法要では大谷暢裕門首後継者が導師どうしを勤められ、浄土宗から総本山知恩院の井桁雄弘執事長と宗務総長代理の川中光教宗務役員が参列、約80名の僧侶と300名の参詣者ともに法然上人の遺徳いとくしのんだ。
 法然上人の八百回忌の正当しょうとうは平成23年だったが、同廟の御影堂ごえいどう、阿弥陀堂、御影堂門などの改修や境内奉仕施設の工事にともない御忌法要が見送られていた。昨年、それらの工事が完了したことから、50年に1度の御忌法要が桜満開のなか、営まれることとなった。
 親鸞聖人は9歳で出家し、その後20年間比叡山ひえいざんで修行した。29歳の時に法然上人に出会い、阿弥陀仏の極楽浄土へ往生するために日々お念仏をとなえる専修念仏せんじゅねんぶつの教えを学んだ。
 聖人は門弟に、「故法然上人は、『浄土宗の人は愚者ぐしゃになりて往生す』とそうらいし」つまり、「故法然上人がおっしゃるには『浄土宗の教えを信じる人は自分のおろかさを自覚して(お念仏という、誰もが実践できる修行を行うことにより)往生する』とあります」と書いた手紙を送り、法然上人を〝生涯の師〟と仰いだ。また法然上人が浄土宗の要について書かれた『選択せんちゃく本願念仏集ほんがんねんぶつしゅう』の書写や上人真影しんえいの図画を許されるなど上人からの信頼も厚かった。
 同日の法要前には真宗本廟教化教導の秦秀道氏による法話があり、法然上人の生涯や、〝お念仏をとなえた人は極楽に往生させる〟と誓われた阿弥陀さまの本願ほんがんについて話された。
※浄土宗では門主を「もんす」と読み、総本山知恩院の御影堂を「みえいどう」と読みます。

写真:4日の法要の様子。阿弥陀如来立像の前に大谷暢裕門首後継者、その右側後方に掲げられた法然上人御影の前に大谷暢顯門首が座られた

聖光上人の遺徳を偲ぶ

開山忌大法要 厳修  福岡県 大本山善導寺

 3月27日から29日の3日間、福岡県久留米くるめ市の大本山善導寺ぜんどうじ(阿川文正ぶんしょう法主ほっす)で、浄土宗第二祖・聖光しょうこう上人(1162‐1238)のご遺徳を讃えて、報恩の誠を捧げるための開山忌かいさんき大法要(782回忌)が営まれた。
 聖光上人が筑前国ちくぜんのくに香月荘かつきのしょう(福岡県北九州市)で生まれたのは、平安時代後期の1162年のこと。比叡山ひえいざんで天台の教学を学んだ後、法然上人に出会って教えを受けた。その教えに深く感銘した聖光上人は九州から、法然上人のいる京都へたびたび出向いて弟子となり、法然上人の教えを受け継がれた後は、善導寺をはじめ九州各地に多くの寺院を建立して浄土宗を広めたことから、九州地方の旧名・鎮西ちんぜいになぞらえ鎮西上人とも呼ばれている。
 聖光上人を開山と仰ぐ善導寺は、筑後川ちくごがわのほとりにたたずむ古刹で、現在は大本山として、さらには九州における浄土宗の拠点、念仏の根本道場と位置付けられている。その聖光上人のご命日が2月29日だったことから、毎年、ひと月遅れの3月27日から29日の3日間にわたって盛大に勤めている。
 初日は、福岡県常福寺の堀田定俊じょうしゅん師による法話に続き、阿川台下のご親修しんしゅう表白ひょうびゃく(法要の趣旨や内容を本尊に告げること)が読み上げられた。
 続いて、本堂にまつられている聖光上人像を御輿みこしに乗せ、参道へと担ぎ出すと、薬師堂までの約300メートルを練り歩く庭儀式ていぎしき(お下り)が行われた。その間、数回にわたって、御輿を止めると、多くの参詣者がその下をくぐり抜け、無病息災を祈った。行列には雅な装束をまとった稚児ちごたちも大勢参加して、一層にぎやかさを増していた。
 28日午前の日中にっちゅう法要は、御門主代理導師ごもんすだいりどうし麻生諦善あさおたいぜん師(東京・傳通でんづう院貫主いんかんす)、右導師に小澤憲珠けんじゅ師(同・極楽寺)、左導師に岡本圭示けいじ師(同・清光寺)が本堂で勤められ、関東地方から多くの僧侶も参列し、満堂となった。午後は薬師堂で一夜を過ごされた聖光上人像を、今度は本堂へとお戻しする「お上り」が行われた。さらにこの日は、正派せいは雅会みやびかい」による筝曲の奉納も催され、多くの参詣者たちの耳を楽しませていた。同寺は筝曲発祥の地としても知られるところで、毎年、同演奏を待ちわびる参詣者も多い。
 最終日の29日には、法話に続き、阿川台下による結願けちがん法要で開山忌大法要の幕を閉じた。
(紀行ライター・藤井勝彦)

写真左:聖光上人をのせた御輿をくぐり無病息災を祈願する参詣者たち。稚児も大勢参加した

写真右:27日の開白法要。中導師に阿川台下、左導師に松尾善樹師、右導師に川端勝教師により営まれた

「おてらおやつクラブ」大賞記念し企画展

オフィス街東京・丸の内が本堂に

 優れたデザインや物事を表彰するグッドデザイン賞の2018年度大賞に選ばれた特定非営利活動法人「おてらおやつクラブ」(松島靖朗せいろう代表=奈良県田原本町・安養寺)の活動を展示した企画展「おてらおやつクラブ 丸の内別院」が、4月2日から22日までグッドデザイン丸の内(東京都千代田区)で開催された。
 おてらおやつクラブは、寺院にお供えされる果物や菓子、日用品などを、仏さまからの「おさがり」として頂戴し、子どもをサポートする支援団体の協力を得て、経済的に困難な状況にある家庭へおすそ分けする活動。平成26年に活動を始め、29年にNPO法人化、現在では宗派を超えた1153カ寺が活動に参加、毎月約1万人の子どもたちを支援している(31年4月現在)。
 丸の内オフィス街の一角で開かれた同展には阿弥陀仏を安置し、本堂を再現。期間中は支援に活用される仏さまへの「おそなえ」が随時募集され、参加者から持ち込まれた多数の菓子や食品などが高く積まれた。
 このなか12日には、松島師と同賞審査委員を務めた太刀川英輔氏によるトークイベントが開かれ、約50名が参加した。太刀川氏は、「子どものためにおやつが欲しいという貧困家庭のニーズと、消費しきれないお供えを有効活用したいというお寺のニーズが合致し、共生関係を描いている素晴らしい取り組み」と高く評価した点を述べ、松島師は「仏さまの教えと苦しんでいる人をつなげることで、その苦しみを可能な限り解決するという僧侶の役割が今の社会に必要。誰でも参加できる活動だと思うので、活動の輪が全国に広まってほしい」と語った。

写真:参加者から寄せられた「おそなえ」に感謝し、お勤めをする松島師

オーストラリアから日本へ

東日本大震災 追悼と復興願って

 浄土宗オーストラリア開教地(同国クイーンズランド州ブリスベン市一帯)で活動するジェームス・ウィルソン哲雄開教使が3月9日、同州ゴールドコーストにある多文化交流センターで東日本大震災物故者追悼法要を勤めた。
 この法要はウィルソン師が、震災で亡くなられた方に心を寄せたいと願う人々とともに平成25年から毎年開催しているもの。
 今年は25名が集い、震災で亡くなられた方の追悼と、一刻も早い被災地の完全復興を願い、手を合わせお念仏をとなえた。
 法要後は被災地からの手紙の朗読や、仏教に触れるための茶話会のほか、現地の日系ボランティアグループ「絆クワイア」によるコーラスも披露された。
 また震災を忘れないようにと中村眞英しんえい師(仙台市成覺寺じょうかくじ住職)によって作られ、この地へ寄贈された和顔わげん地蔵と一緒に記念撮影を行い、オーストラリアから被災地への想いを胸に刻んだ。

写真左:丁寧にお焼香をする参拝者

写真右:和顔地蔵(中央)と一緒に

平和に向け大阪教区で署名活動

核兵器廃絶の願い 国連へ

 核兵器のない世界の実現に向け、大阪教区内の寺院有志が「ヒバクシャ国際署名」145名分を集め4月4日、同署名の日本窓口であるヒバクシャ国際署名連絡会(東京都港区)に赴き、署名を手渡した。
 同署名は核兵器廃絶を願い、核兵器を禁止し廃絶する条約の締結をすべての国に求めることを目的としたもので、広島と長崎の被爆者によって平成28年に活動を開始。翌年、国連で採択された核兵器禁止条約に大きな影響を与えた。条約は50カ国の批准ひじゅんにより発効されるが、現在は22カ国のため、署名によって各国に賛同を呼び掛けている。
 活動趣旨に賛同した大阪教区は、日頃から平和活動に取り組む堺市の正明寺住職・森俊英しゅんえい師が中心となり、3月中に教区内寺院486カ寺に署名協力を要請。住職や寺族じぞくのほか、檀信徒や彼岸の参詣者に賛同を募った。
 当日は森師と縁のある広島の平和団体らが集めた433名の署名、寄付金とともに連絡会の田中熙巳てるみ代表に手渡し、5月上旬には同会を通じてニューヨークの国連本部へ届けられる予定。
 大阪教区は引き続き署名を受け付ける。また、浄土宗の外郭がいかく団体である浄土宗平和協会も協力を表明するなど、宗内の平和に対する取り組みが活発化している。

写真:署名を田中代表に手渡す森師

筑摩書房『ともに生きる仏教』4/5発刊

寺院が取り組む社会活動 最前線がこの一冊に


 地域社会の過疎化や、いわゆる「葬式仏教」への批判など、仏教・お寺を取り巻く環境は厳しい。その一方、2000年代以降、仏教界では、新世代による「仏教の社会活動・文化活動」の波が訪れている。
 本書では、佛教大学教授で宗教社会学が専門の大谷栄一氏が、貧困問題、グリーフケア・ビハーラ(仏教版ホスピス)、子育て支援、浄土系アイドル育成などの多様な活動を取り上げ、お寺の先駆的社会活動の最前線を紹介する。
 当事者も執筆陣に名を連ね、上記事で取り上げた「おてらおやつクラブ」代表の松島靖朗師、終末期患者の心に寄り添うスピリチュアルケアや、遺族の悲嘆に向き合うグリーフケア活動を行う大河内大博だいはく師のほか、総本山知恩院で行われている子育て支援「サラナ親子教室」インストラクターの関正見せきしょうけん師など、多数の浄土宗僧侶が活動への想いを論述している。現代社会に寄り添う仏教の新たな可能性を探る一冊。

(本の写真)
ともに生きる仏教―お寺の社会活動最前線
編  大谷栄一
発行 筑摩書房
判型 新書判 256頁
価格 820円(税別)
お求めは全国の書店で。

写真=ともに生きる仏教―お寺の社会活動最前線

編  大谷栄一

総本山知恩院からも出展

特別展「国宝一遍聖絵と時宗の名宝」開催 京都国立博物館 開催中~6月9日

一遍いっぺん上人(1239-1289)を宗祖と仰ぐ時宗じしゅう。その二祖・真教しんきょう上人の七百年御遠忌ごおんき(年忌法要)記念事業として、特別展「国宝一遍聖絵ひじりえと時宗の名宝」(主催:京都国立博物館、時宗ほか)が4月13日から6月9日にかけて、京都国立博物館で開かれている。
 一遍上人は法然上人の弟子・証空しょうくう上人の孫弟子にあたり、かねを打ち鳴らしながらお念仏をとなえる「踊り念仏」を広めたとして知られる。念仏札を配りながら全国を遊行ゆぎょうして布教を行い、信仰を集めた。
 本展では一遍上人の生涯を描いた『一遍聖絵』ほか、一遍上人と真教上人の功績が描かれた絵巻『遊行上人縁起絵ゆぎょうしょうにんえんぎえ』(重文)等、時宗の名宝を一堂に展示。また、浄土宗から総本山知恩院蔵の「阿弥陀如来立像」も出展される。

会場:京都国立博物館(京都市東山区茶屋町527)
問い合わせ:075(525)2473
HP=www.kyohaku.go.jp
開館:9時30分から18時まで(金・土曜日は20時まで)
観覧料:大人1500円、大学生1200円、高校生900円
休館日:月曜日(ただし4月29日と5月6日は開館)、5月7日(火)
*会期中、一部の展示替えを行う
【プレゼント】
同展のチケットを5組10名さまに。浄土宗新聞「国宝一遍聖絵と時宗の名宝 プレゼント係」まで(応募方法は11面「募る」参照)。5月10日必着。

写真左:国宝

写真右:重文

新元号「令和」記念コラム

万葉集に見る日本人の心 国文学者(本紙「万葉集の世界」前連載)石丸晶子

 聖武しょうむ天皇の天平てんぴょう2年(730)正月13日、当時66歳の大宰帥だざいのそち(大宰府の長官)大伴おおともの旅人たびとはその邸宅に、九州各地をそれぞれ統括する地方官人や神主、陰陽師、薬剤師、計算の達人など総勢31人を招いて梅花の宴を催しました。来客の中には「あをによし奈良の都は咲く花の…」の歌で名高い小野老おののおゆや、このとき筑前守ちくぜんのかみ(福岡県知事)であった山上憶良やまのうえのおくらなどもいました。
 当日、最初の一首を詠み上げたのは、主賓で大宰府の首席次官紀卿きのまえつきみです。
  正月立むつきたち 春の来たらば
  かくしこそ 梅をきつつ
  楽しきへめ
 正月になって春がやって来たら、毎年こうして梅を迎えて、みんなで歓を尽くそうではないか。これを最初の歌として次々にあるじ旅人たびとを交えた32人の歌が詠まれていくのですが、そこには定められた座席があり、後ろの人は前の人や対座している人の歌のことばや、その歌にこめられた心を承け継ぎながら、あたかもくさり連歌れんがのように歌を詠んでいったことが判明します。横にいる人や、対座している人の歌詠かえいに気を配ることは、古来から日本の歌の伝統でした。
 ところでこの日は、陽暦の2月8日で梅の開花には少し早かったかといわれています。しかし列席した人びとにとって、それは問題ではありませんでした。彼らの心象の庭園には雪かと見まがうばかりに白梅が咲き満ち、雪のように散り敷き、鶯が啼き、そして彼らは髪に梅花を挿して盃を汲み交わしているのです。歌を見ると、全員満ち足りて実に楽しい一日でした。
 この日の歌32首の序文を書いた山上憶良は、冒頭でこう言っています(序文漢文)。
 折しも初春の令月よきつき大気たいきは清く澄み渡り、風は和やかに吹いている。梅花は…
 新しい元号はこの一文から採られたそうです。互いに助けあい、幸多き新時代を共に祈りたいと思います。

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         『心に沁みる日本のうた』
●8ポイント・・・絵本ジャータカ物語/『新版檀信徒宝典 読んでわかる浄土宗』/『じゃあ、
          仏教の話をしよう。』
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