浄土宗ニュース:2019年06月

新元号「令和」の出典

江戸期の木版本『万葉集』を公開  富山県・大楽寺

 新元号「令和」が始まり、お祝いムードも冷めやらぬ5月9日、富山県射水いみず市の大楽寺(田村晴彦せいげん住職)が、江戸時代に出版された木版本『万葉集』全20巻を公開し、注目を集めた。
この古書は、今から310年前の宝永6年(1709)に出版されたもので、境内に大伴家持おおとものやかもちの歌碑を建てるほど『万葉集』に関心が深く、高岡市の万葉歴史館の創設にも携わった田村住職が、二十数年前に東京の古書店で偶然見つけて購入した。
 奈良時代に編纂された『万葉集』の原本はすでに失われてしまったため、一般の人が資料館などで目にすることができるのは、平安時代中期以降に書写された古写本の複製品などに限られる。
当日はガラス越しではなく直接手を触れて間近で見られる貴重な機会に、参詣者も興味津々の様子。
 「令和」の典拠となったのは、巻5に記された「梅花の歌32首」の序文。多くの人々が、実際に手にとりながら、その部分を注視していたのが印象的だった。
 実はこの序文の作者に関しては、大伴旅人おおとものたびと山上憶良やまのうえのおくらか識者の中でも意見が分かれている。公開された本で興味深いのは、序文の空白部分に赤字で「憶良」の作と記されている点。田村住職も、「いつ、誰が書き加えたのかはわかりませんが、確信をもって憶良説を主張しているのがとても気になります」という。
 また、江戸時代の歌人・橘千蔭たちばなちかげが注釈を加え、『万葉集』の普及に貢献したと伝わる注釈本『万葉集略解まんようしゅうりゃくげ』全30巻(安政3年〔1856〕出版)も同時に公開され、住職の解説に耳を傾けながら見入っていた。(紀行ライター・藤井勝彦)

写真:木版本『万葉集』のなか、「令和」の典拠となった部分を見せながら解説する田村住職

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関連記事

海外でも新元号お祝いムード 
令和初のご朱印 ハワイで人気  オアフ島・ハレイワ浄土院


 日本が新元号「令和」を迎えた5月1日から時差で遅れること19時間。ハワイ・オアフ島にある浄土宗開教かいきょう寺院、ハレイワ浄土院でも新元号を迎え、令和最初のご朱印を求める参詣者などが訪れた。
 同院のご朱印は阿弥陀仏の光背こうはいがサーフボードというオリジナル(写真)で、もともと現地の檀信徒や観光客から人気を博していた。今回の改元に際しては、海外での漢字ブームの影響もあり「令和」の文字自体にも注目が集まった形だ。
 同院の江崎晃司開教使は、「日本のようにご朱印で行列ができることはありませんでしたが、その分ゆっくり参詣の方々とお話し、お祝いすることができました」と話していた。

信仰の場 後世に 増上寺などで緊急防火指導

ノートルダム大聖堂の火災受け

 フランス・パリにある世界遺産ノートルダム大聖堂で4月15日に起きた大規模な火災。幸い死者はでなかったが、屋根の大半が焼失、信仰の中心地ともいえる場所で起きた火災は世界に衝撃を与えた。
東京消防庁はこれを受け、文化財を火災から守るために、大本山増上寺(東京都港区)や真言宗豊山派ぶざんは・大本山護国寺ごこくじ(東京都文京区)などの寺院はじめ、文化財のある都内300の施設を対象に4月18日から30日にかけ緊急指導を実施した。
 このうち18日、国の重要文化財・三門(三解脱門さんげだつもん)などを有する増上寺には、管轄する芝消防署の職員が訪れた。
 当日は、三門をはじめとした境内の防火設備を確認したほか、火災発生時の避難誘導や初期消火について同寺職員から説明がなされた。そのなかで、ろうそくや線香が不安定な場所に置かれていないかなど、寺院で使われることの多い備品の取り扱いについても消防署の職員から指導が行われていた。
対応にあたった施設課の担当者は、「参詣者の安全が第一だが、手を合わせる場の雰囲気を維持することにも気をつけている。これからも信仰の場を後世に伝えていくため、努力を続けていきたい」と語った。

写真:防火対策について説明する増上寺の職員。同寺の大殿(本堂)など三つの建物は、東京消防庁から防火安全性に優れた施設と認められた「優良防火物認定証」の認定を受けている(写真提供=東京消防庁)

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関連コラム

家庭の“信仰の場”仏壇を火災から守るために

 家庭での“信仰の場”ともいえるお仏壇でもろうそくやお線香は使われており、毎年、このお仏壇を原因とする火災が発生しているといいます。その原因と防火のポイントについて芝消防署予防課の大﨑貴士さんに話を伺いました。
――お仏壇が火事の原因になることは多い?
大﨑 東京消防庁の管轄内だけでも、平成29年に灯明とうみょう(仏壇などのろうそく)が原因の火災が27件発生しています。また住宅防火対策推進協議会の調査では、高齢者の方が関わる火災原因の5位に入るという結果も出ています。
 お仏壇にはろうそく以外にも線香やマッチ、ライターなど火災の原因になるものが多くありますし、火や煙に長年さらされることで、内部がいぶされ、木材が乾燥するなど、火災が起きやすい環境になっていることもあります。
――火災を防ぐためには?
大﨑 もっとも大切なのは、ろうそくなどに火がついているときはお仏壇の部屋から離れないなど、「火の元から目を離さないこと」です。
 また、こまめに掃除をして着火の原因となりやすいススやホコリを取り除く、燃えやすいものを火の元の近くに置かない、ということも火災の予防につながります。
 このほかにも、住宅用の火災警報器や消火器を設置することで大きな火災になるのを防ぐことができます。

槍ヶ岳開山 播隆上人讃える祭事

播隆祭で阿弥陀如来像 公開  岐阜高山・村上神社

 
 岐阜県高山市と長野県松本市、大町市の県境にある槍ヶ岳やりがたけ(3180メートル)を開山し、岐阜県高山市の笠ヶ岳かさがたけ(2898メートル)を再興した江戸時代の浄土宗僧侶・播隆ばんりゅう上人。その偉業を讃える「播隆祭(北アルプス飛騨側開山祭)」(奥飛騨温泉郷観光協会主催)が5月10日、高山市・村上神社の播隆塔前で催され、北アルプス山小屋関係者や観光関係者など約200人が参列した。
 同祭は北アルプスの山々が連なる雪深いこの地の春の訪れと、登山シーズンの幕開けを告げる恒例の祭事。播隆塔はこの祭事中のみ開扉され、播隆上人ゆかりの阿弥陀如来像を拝むことができる。
 播隆上人は文政11年(1828)に槍ヶ岳に初登頂。その際、阿弥陀如来、観世音菩薩かんぜおんぼさつ、文殊もんじゅ菩薩の三尊像を安置した。その後も登頂を重ねるなか、登拝者の安全を確保するため、藁縄わらなわで作った「ぜんつな」を天保5年(1834)に設置。さらに翌年から鉄の鎖に付け替えることを発願ほつがん、上人はその計画途中で病に伏せるが、信者らにより鉄製の「善の綱」が天保11年(1840)に設置された。
 神事終了後には平家の落人ゆかりの踊り「鶏芸とりげい」や、毒ヘビをなだめたことが由来となった獅子舞「へんべとり」など、地元に伝わる伝統芸能が奉納された。(紀行ライター・藤井勝彦)

写真:右奥に見える播隆塔前に祭壇が設けられ、儀式が進められた

播隆上人とは…1786‐1840。越中国(富山市)生まれ。29歳で浄土宗の僧となり、念仏行者として山岳修行を行った。笠ヶ岳(岐阜県)を修行道場として再興。のち槍ヶ岳(岐阜県、長野県)に5回登頂。文政11年(1828)43歳のとき浄財で鋳造した仏像を、槍ヶ岳寿命神として山頂に安置した。さらに登山者の安全を願い、鉄の鎖「善の綱」を設置したことから槍ヶ岳開山上人とも呼ばれる。 

水戸徳川家ゆかりの常福寺(茨城)で発見

“水戸黄門”の阿弥陀三尊像


 茨城県那珂なか瓜連うりづらの常福寺(小笠原純生住職)が所蔵する阿弥陀三尊像が神奈川県立金沢文庫(横浜市金沢区金沢町)の調査の結果、″水戸黄門″として知られる常陸水戸藩2代藩主・徳川光圀みつくにが所持し、自らが寄贈した像であることが判明した。
 同寺は江戸時代に浄土宗の僧侶養成を担った関東十八檀林じゅうはちだんりんの一つ。徳川家とのゆかりも深く、水戸徳川家の菩提寺となっている。
 三尊像は中尊阿弥陀如来像が約1.5㎝、両脇侍きょうじの観音菩薩像と勢至菩薩像が1㎝に満たない極小仏。あまりに小さく、これまで本格的な調査が実施されていなかったという。
調査した金沢文庫によると、仏師運慶うんけい快慶かいけいの確立した慶派による鎌倉時代特有の形式・様式を持つもので、鎌倉時代の最小の仏像の一つである可能性があるとする。
 また調査では、同寺所蔵の聖観音菩薩が快慶の系譜につながる仏師・定快じょうかいの作で、東京・浅草寺本堂の柱を材料として使用したことが像内の墨書から判明した。
両像とも7月15日まで金沢文庫で開催中の「浄土宗七祖 聖冏と関東浄土教—常福寺の名宝を中心に」で公開されている。

写真:常福寺蔵「阿弥陀三尊像」。1㎝ほどの仏像ながら、精細な彫刻がなされていることがわかる(©常福寺)

イヴニングスクール「一夜一会」

嘉門タツオ 終活ソング熱唱!! 東京教区

 東京教区教化団(佐藤雅彦がげん団長)が5月14日、東京都港区の大本山増上寺を会場にイヴニングスクール・「一夜一会」を開催、約150人が来場した。
 「一夜一会」は気軽に仏教に触れてもらうため、誰でも参加しやすいようにと毎年平日夜に行っている(今年は19時)。今回は歌手の嘉門タツオさんのワンマンライブだった。
 おなじみの〝鼻から牛乳〟の曲で登場した嘉門さんは、平成で話題になったニュースを曲に合わせ面白おかしく振り返って場を盛り上げた。
 僧侶の友人に「楽しくて清々しくなれるお墓参りの歌を作ってほしい」と頼まれ作曲したという「墓参るDAY♪」をベートーヴェン交響曲第九番に乗せ、自身も指揮棒を振ってにぎやかに歌い終えると、〝故人目線の歌も必要だ!〟と作曲した「旅立ちの歌」をしとやかに歌った。さらに葬儀での弔辞用に作った「HEY!浄土」を来場者と手ぶりをつけて熱唱。年配の来場者も多いなか、皆ノリノリで嘉門さんに合わせて一緒に歌い、終活ソングを楽しんだ。
これら3曲が収録されている最新アルバム「HEY!浄土 ~生きてるうちが花なんだぜ~」が好評発売中。

写真:指揮棒を振り「墓参るDAY♪」の歌詞の一部を見せて来場者とともに歌う嘉門さん

6月10日 自死者追悼法要 事前講習会

“声にならない声に耳傾けて”

 自死により家族を亡くした遺族などのために、東京教区の若手僧侶らで組織する教宣師会きょうせんしかい下村達郎しもむらたつろう会長)が6月10日(月)、大本山増上寺で「自死者追悼法要 俱会一処くえいっしょ~ともに生き、ともに祈る」を執り行う。
 遺族がつらい気持ちを分かち合い、阿弥陀さまに手を合わせ、静かに亡き人に想いを寄せる「とき」を過ごしてほしいと、「時の記念日」にあたる6月10日に毎年行っているもので、今回で11回目。法要に出座する会員には、自死に関する事前講習が義務づけられており、5月13日には全国自死遺族総合支援センター会員の水谷みつる氏による「自死を生き延びること—遺族として、サバイバーとして」と題した講座が開かれ、約30名の僧侶が参加した。
 平成3年に弟を自死で亡くしている(享年24歳)水谷氏は、家族として向き合った日々、心情などを感情的表現は避け、あえて論理的に話を展開。会員に対しては、「たんたんと話す人、震えて話す人…。葬儀などの法要の際、遺族の表現はさまざまですが、聴く側の価値観にとらわれず、遺族の声にならない声に耳を傾けてほしい」と語りかけた。
 10日の法要は、自死遺族、友人などを対象に宗派問わず参列可能。詳細は下記。

◎自死者追悼法要 
日時:6月10日(月)
会場:大本山増上寺 大殿 三階仏間(東京都港区芝公園4-7-35)
申し込み:名前、人数、戒名または故人の名前(よみがな)、電話番号を下記まで
◎ともに祈る事務局
メール:tomoniinoru@gmail.com
電話:080(3531)4079/FAX03(5472)4567
郵便:〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-4浄土宗東京教区教務所内「ともに祈る」係
◎当日の流れ
15時 受付開始
16時 法要(雅楽、読経、回向など)
18時20分頃 法話会(自由参加)
18時40分頃 解散予定

※よろしければ、亡き方にお伝えしたい気持ちや言葉を便箋などにしたためてお持ちください。法要中に仏さまにお供えします。法要に参加されない方は左記住所へご郵送ください。
※宗派への勧誘は致しません。参加費不要。

超宗派若手僧侶の会「SANGA」主催

生きるとは?「命の講座」開講 6月14日

 三重県亀山市在住のさまざまな宗派の若手僧侶で組織する会「SANGA(サンガ)」が6月14日(金)、亀山文化会館大ホール(亀山市東御幸町63)で「命の講座」と題し、映画の上映会やトークイベントを開催する。入場無料、定員900名。
同会は平成27年に結成し、現在7宗派11名が所属。これまで地域のサロンや社会福祉施設などを訪問して、法話や座談会をボランティアで行ってきた。今回は、命とは何かを根源的に考え、生きる上で本当の豊かさとはなにかを改めて見つめてほしいと企画したもの。
 当日は、在宅診療に密着したドキュメンタリー映画「四万十しまんと・いのちの仕舞しまい」(溝渕雅幸みぞぶちまさゆき監督)の上映後、「いのちに寄り添う」をテーマに、溝渕監督、佐々木しずか花園大学教授、訪問看護ステーションなでしこ亀山の玉木幸子所長、同会会員で浄土宗僧侶の坂野大徹だいてつ師によるトークイベントが開かれる。
 問い合わせはSANGA事務局(蓮光寺)=電話0595(82)7185。 

採用作品は全国の寺院で掲載

全日仏が「花まつり」イラスト公募


 日本の伝統仏教教団59宗派が加盟する公益財団法人全日本仏教会(江川辰三しんざん会長)が、お釈迦さまの生誕を祝う「花まつり」の広報用イラストを公募している。
お釈迦さまは約2500年前、浄飯王じょうぼんのう摩耶夫人まやぶにんの間に誕生され、宗派問わず多くの寺院では誕生日にあたる4月8日に生誕を祝う行事「灌仏会かんぶつえ」「仏生会ぶっしょうえ」「花まつり」などを勤めている。同会は広くその告知に利用するためイラストデザインを募集し、採用作品はポスターや絵はがきとして、全国の寺院や各教育施設で掲示、配布されるという。
 応募はプロ・アマ不問。未発表の作品に限り、「花まつり」を題材としたもの(例・お釈迦さまに甘茶をかける場面、ご誕生を祝う場面など)。ポスター採用は賞金5万円。絵はがき採用は賞金1万円。締め切りは9月30日。
応募詳細、応募専用用紙は、QRコードから。

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