浄土宗ニュース:2019年07月

宗派超え 仏教ひろめる試み

8名の僧侶が創意あふれる「法話」を披露

 超宗派の僧侶が法話を披露しあう「H1法話グランプリ~エピソード・ゼロ」が6月2日、真言宗須磨すまでら派大本山須磨寺(神戸市須磨区)で開催され、会場を埋めた約450人の観衆が、趣向を凝らした法話の数々に聞き入った。
 このイベントは、仏教の教えを伝える「法話」によって、よりよい日々をすごしてもらうと同時に、人々が寺院を訪れる契機にすることを目的としたもの。平成29年、真言宗の若手僧侶による研鑽けんさん発表の場として始まり、今回は須磨寺副住職の小池陽人ようにん師(32)を実行委員長に、初めて超宗派での開催となった。
 浄土宗、浄土真宗、真言宗、曹洞宗、天台宗、日蓮宗、臨済宗の僧侶7組8名がエントリー。持ち時間は10分で、音楽や紙芝居など「話」以外の使用も認められ、受賞者は5人の審査員と一般観衆の投票により決められる。
実行委員からは「法話の技術や宗派の優劣を決めるものではありません。あくまで『もう一度会いたいお坊さん』という視点で投票してください。これが崩れるとこのような宗派を超えた試みができなくなります」との観衆への呼びかけが度々行われていた。
 登壇者は、キーボードでの演奏やスクリーンを使った地獄の絵解きなど、多彩な手法を用いて聴衆を引き込んだ。
浄土宗僧侶としては、滋賀県甲賀こうか市・浄観寺じょうかんじ所属の山添真寛やまぞえしんかん師(50)が出場。劇団所属の経歴もある同師は、紙芝居や人形劇を用いた話を全国で上演しており、「浄土宗の劇団ひとり」の愛称で知られる。今回は『毒入りのごちそう』という紙芝居を披露。お寺の住職が、憎しみ合う姑と嫁の関係を仏教の精神をうまく伝えることで改善させるというもの。話の結びに山添師は、この住職が伝えたのは、笑顔とやさしい言葉で人に接する「和顔愛語わげんあいご」という仏教の教えであると説明。そして「この心を持って日常を過ごすことが、幸せにつながるのでは」としめくくった。
 山添師の表情豊かな語り口調に、観衆からは大きな笑いも起きたが、最後には教えを伝える師の真剣な口調にみな耳を傾けていた。
審査の結果、グランプリは曹洞宗僧侶・安達瑞樹ずいじゅ師が選ばれ、山添師が審査員特別賞に選ばれた。
 登壇者、実行委員会が設営を含め一丸となって作り上げたというこのイベント。仏教を一人でも多くの人に伝えたいとの強い想いが伝わってきた。
イベントの映像は、ホームページにて公開中。アクセスはQRより
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写真:紙芝居を演じる山添師。その内容は、姑が憎いと思っている嫁がお寺の住職に相談したところ、毒と称してイモの粉を渡され、「毒を入れていることに気づかれないよう、つねにお姑さんにやさしく笑顔で振る舞うように」と言われた。嫁がそのとおり実践するなかで、二人の関係が改善していくというもの

大本山金戒光明寺 新法主に久米慶勝師

髙橋台下 任期満了で退任

 大本山金戒光明寺こんかいこうみょうじ(京都市左京区)第74世法主ほっす・髙橋弘次台下こうじだいかの任期満了にともない6月13日、浄土門主もんす・法主推戴すいたい委員会(委員長=豊岡鐐尓りょうじ宗務総長)が京都宗務庁(東山区)で開かれ、髙橋台下の任期満了による退任が決まった。
 同委員会では新たに滋賀県東近江市の正圓寺しょうえんじ住職・久米くめ慶勝けいしょう師を推戴候補者とすることを全会一致で決定し、同日久米師の承諾を得、第75世法主として推戴することが決定した。任期は7月1日から令和5年6月30日までの4年間。
 久米師は昭和16年生まれの77歳。昭和39年に滋賀大学経済短期大学部を卒業し、平成16年には立命館大学文学部を卒業。昭和42年から平成27年まで滋賀県東近江市の昌善寺しょうぜんじ住職を務めた。
 長く布教に力を注がれ、平成18年には総本山知恩院布教師会会長に就任(現・顧問)。平成27年からは浄土宗宗議会議員を務めている。
 髙橋台下は昭和9年生まれの84歳。佛教大学教授、学長を歴任した後、平成19年に金戒光明寺法主就任。3期12年務められた。

 大本山のご法主とは…各大本山の住職。そもそもは法門の主、すなわち仏の呼称であったが、転じて一宗派の上首の呼称として使われるようになった。浄土宗では『浄土宗宗綱しゅうこう』によって「法主は、宗門の儀表として大本山の法統を伝承する」とされており、各大本山の住職に対する呼称。法主の任期は4年、浄土門主もんす・法主推戴委員会の議を経て推戴される。法主の職務は、浄土門主を補佐するとともに教化および教学の推進発展に寄与することと規定されている。(出典=新纂浄土宗大辞典)

 大本山金戒光明寺とは…15歳で比叡山に登られた法然上人が、43歳でお念仏の教えを広めるため初めて草庵を結ばれた地に建つ。上人が初めて布教された事にちなみ、後小松ごこまつ天皇から賜った「(※)浄土真宗最初門」の勅額が残る。幕末には京都守護職会津藩の本陣となり、新選組ゆかりの寺院としても知られる。
※「浄土教の真実の教えを最初に説いた」との意で、宗派の浄土真宗とは異なる

左写真:久米慶勝台下

右写真:大本山金戒光明寺

大本山知恩寺法主

福原隆善台下 再任 2期目へ


 大本山知恩寺ちおんじ(京都市左京区)第75世法主ほっす・福原隆善台下の任期満了にともない6月5日、浄土門主もんす・法主推戴すいたい委員会(委員長=豊岡鐐尓宗務総長)が京都宗務庁(東山区)で開かれ、全会一致で福原台下を推戴、再任が決まった。2期目、任期は4年。
福原台下は昭和16年生まれの77歳。昭和39年龍谷大学文学部仏教学科卒、45年同大大学院文学研究科博士後期課程満期退学、文学博士。49年から佛教大学、大谷大学、龍谷大学、叡山学院、大正大学などで長きにわたり教壇に立ち、平成17年に佛教大学学長に就任。その後も叡山学院名誉教授、佛教大学名誉教授、中国佛学院名誉教授など教育の現場で尽力されるとともに、同12年から27年まで同市北区の上善寺住職を務められ、27年に法主に就任された。
 大本山知恩寺は法然上人の弟子・源智げんち上人(1183‐1238)が建立、「(師)の恩を知る寺」として名付けられた。後醍醐ごだいご天皇の頃に疫病が流行し、勅命を受け7日間に渡って百萬遍ひゃくまんべんのお念仏を修したところ鎮まったことから、「百萬遍」の称号を賜った。

写真:福原隆善台下

寺檀が一体となり寺院再建

浄土寺(宮城)新本堂 落慶

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災の津波により、本堂・庫裡くりなどが流された宮城県仙台市若林区の浄土寺(中澤秀宣しゅうせん住職)が、新本堂・庫裡・書院の完成を祝した落慶奉告らっけいぶこく法要を5月27日、執り行った。
 震災により、檀信徒135名が犠牲に。生活再建に追われるなかで中澤住職は「祈りの場を」と、平成24年にプレハブの仮本堂を本堂跡に建設。法務にあたりながら檀信徒とともに寺の再建を進め、震災の七回忌にあたる平成29年3月1日に本堂が竣工した。
 新本堂が立つのは、本来浄土寺があった荒浜地区より約2キロ内陸の荒井地区。海岸に面していた荒浜地区が震災後、災害危険区域に指定され、移転を余儀なくされた。
 再建にあたっては檀信徒はじめ、県外からも多くの支援があり、本堂にまつる阿弥陀如来像、観音・勢至両菩薩像、善導・法然両大師像は、東京都葛飾区貞林院瑞正寺ていりんいんずいしょうじ(林清方住職)から、また、本堂天井の天蓋てんがい幢幡どうばん(仏具)は同台東区功徳林寺くどくりんじ(新谷仁海住職)から寄進された。
 法要は中澤住職を導師どうしに、宮城教区、再建に協力した僧侶約50名、檀信徒や工事に携わった業者など約150名が参列。導師が本尊・歴代上人・檀信徒先祖各位に本堂落慶を告げる表白ひょうびゃく(法要の趣旨)を読み上げ、同寺檀信徒による詠唱えいしょう、念仏の声が響きわたるなか、参列者は静かに手を合わせていた。
 法要後、中澤住職は「感無量、言葉では言い尽くせない想いでいっぱいです。復興のためにお力添えをしてくださったみなさまの心を大事にしながら、これからも努力して参りたい」と参列者に語った。
 また、当日参列者に配布された記念冊子には「草も木も 枯れたる野辺にただひとり 松のみ残る 弥陀の本願」と、御詠歌の歌詞を引用したうえで中澤住職は、「津波の中で枯れたる野辺になってしまった荒浜ですが、松だけが残ったように、お念仏のみ教えは残ります。その教えを伝える場が浄土宗のお寺であり、浄土寺であります」と、信仰の拠り所としての決意を記した。

写真左:震災直後4月の浄土寺境内。倒壊している石碑は浄土寺の門柱。
後方には津波に耐えた松の木が見える。荒浜地区は684世帯、約2千人が暮らす住宅地だった

写真右:法要後、感慨深げに参列者に挨拶する中澤住職。本堂正面に寄進された本尊・両大師・天蓋・幢幡が見える

本堂でお昼寝!?

金沢如来寺で昼寝寺 8/1~5

 石川県金沢市の如来寺(吉田昭生住職)が、畳敷きの本堂を一般に開放し、“お昼寝”をしてもらおうと「昼寝寺」を8月1日から5日(正午~15時)の日程で実施する。
 夏本番の8月、涼風が通り抜ける約100畳の本堂を開放することで一服の涼を味わってもらおうと、平成13年に始めたもので、今年で19回目。例年正午を過ぎると、夏休みの家族連れや昼休み中のサラリーマンなどが訪れ、大の字に。檀信徒からは枕のお供えがあるなど、地域に浸透した夏の風物詩となっている。
 吉田住職は「小さいころ、本堂で勉強しろと言われても、風が心地よくついウトウト。私はこの風をお寺からいただく“徳風とくふう”と呼んでいます。徳風を感じ、お寺での一休みをどうぞ」と話す。

写真:本堂に家族連れが寝転び、吹き抜ける徳風に身を委ねている

第68回全日本大学野球選手権

浄土宗宗立学校 佛教大 初の準優勝

 6月10日から17日にかけ東京ドーム・神宮球場で行われた第68回全日本大学野球選手権大会に浄土宗宗立学校の佛教大学(京都市北区)が5年ぶりに出場、初の準優勝を果たした。同大会は、全日本大学野球連盟に所属する東京六大学野球連盟など26連盟の代表27校によるトーナメント戦で大学野球日本一を決めるもの。
 佛教大は京都、滋賀の大学によって構成される京滋けいじ大学野球連盟の代表として出場。2度のサヨナラ勝ちなどで初めてベスト4に入ると、その勢いのまま準決勝で東海大学(首都)に逆転勝利し、決勝へ。
 明治大学(東京六)との決勝は、三回に3点を先制され追いかける展開。佛教大は走者こそ出すものの得点を奪えず、逆に3点を追加されてしまう。迎えた九回裏、2本の長打で1点を返し一気に逆転といきたかったが反撃はここまで。1対6で敗戦となった。
 頂点こそ逃したが準優勝という堂々の成績。この悔しさをバネに選手たちのさらなる飛躍を期待したい。

“IT”で寺院事務サポート

寺院とIT企業が意見交換「テラテク」開催

 法務の予定や書類の管理など寺院(テラ)の事務をITと総称されるパソコンソフトやインターネットなどの技術(テクノロジー)を使って効率化しようというイベント「テラテク」が6月12日、五反田ファーストビル(東京都品川区)で開かれ、僧侶などの寺院関係者がIT企業と意見交換を行った。
 このイベントは、元エンジニアで浄土宗僧侶の小路竜嗣こうじりゅうし師(長野県善立寺副住職)と事業者向けソフトを提供するfreee株式会社が、寺院が抱える問題をIT企業に伝えることで、技術的な情報やアドバイスを得られるのではないかとの考えから開催したもの。
 小路師は、現代の寺院が会計などの事務作業に多く時間をとられている状況を指摘し、ITを活用してその時間を減らすことで、法務や檀信徒と接する時間が増やせるのではないかと提言。続いて、インターネットを通じデータ共有する技術APIを用いた書類管理など、具体的な活用例を述べた。
 その後、小路師や参加者などでグループワークが行われ、各自が現在手作業でしている事務をあげ、それをどのように効率化するかを話し合った。そのなかでは、経理や案内状発送などはIT化できるとの意見があった一方、塔婆とうばなど手書きのままがよいものも寺院にはある、との点では全員の意見が一致していた。
 

ハワイ開教125周年

先人の苦労偲び法要 平和祈念パレードも

 浄土宗ハワイ開教区(江崎晃司えざきこうじ総監代行)が開教125周年を記念し6月9日、ホノルルのハワイ浄土宗別院で慶讃けいさん法要を営んだ。
 浄土宗におけるハワイ開教の歴史は、日本からの移民増加を背景に明治27年、浄土宗僧侶の松尾諦定たいじょう師が布哇宣教はわいせんきょう会布教師として渡海したことにさかのぼる。同年に岡部学応師が続き、ハワイ島ハマクア地方で布教が始められた。同29年、ハマクア地方の在留邦人の総菩提寺としてハマクア仏教会堂が建立され、これが各宗を通じてハワイにおける初めての寺院となる。以降、次々と開教使が海を渡り、移民が働くサトウキビ耕地内などを布教場として邦人の心の支えともなった。現在、オアフ島を含む13カ寺が開教寺院として残る。
 法要は杉山俊明浄土宗宗務役員を導師に開教使、日本から訪れた僧侶らで勤め、参列した檀信徒合わせて約130名が先人の苦労をしのび、今後の発展を祈念した。
法要後、一団はワイキキで行われた「まつりインハワイ」の中で平和を祈るパレードに参加。僧衣をまとった僧侶らが雅楽を演奏しながら歩く姿は、現地の注目も高く、そのなか「世界に共生ともいきを」の横断幕を掲げ、世界平和をアピールした。

写真:ワイキキ市街地のカラカウア通りでのパレード

『他力の哲学』発刊


 ヨーロッパ文学や思想を研究する早稲田大学教授で、浄土宗僧侶の守中高明もりなかこうめい師が、法然上人からその弟子に伝えられた浄土教の教義を、ハイデガーなどの哲学者の考えに基づいて現代に通じるよう解釈。阿弥陀仏の救済の力「他力」を今一度考え直し、現代の〝生〟に活かす一冊(写真)。河出書房新社。お求めは全国の書店で。単行本 四六変形256頁、2600円(税別)。








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