浄土宗ニュース:2019年08月

イチロー教育の柱に『法然人生論』

プロ野球・イチロー選手父 鈴木宣之さん インタビュー

 今年3月21日に引退を表明した元プロ野球選手イチロー氏の父で、「チチロー」の愛称でも知られる鈴木宣之のぶゆきさん。イチロー氏と少年時代に二人三脚で野球漬けの日々を過ごし、その後の活躍につながったことはあまりに有名な話だが、実はその教育方針の柱に浄土宗僧侶・林霊法はやしれいほう師の著書『法然人生論』があったという。

 鈴木さんの出身校は浄土宗宗立学校である東海中学・高等学校(名古屋市東区)。県内屈指の進学校で、生かされている自分を自覚し、共に生かし生かされ合う「共生(きょうせい・ともいき)」の仏教精神を校訓としている。鈴木さんは野球部に所属し、6年間の学生生活を過ごした。
 『法然人生論』を著した林霊法師(1906‐2000)は、当時同校の校長を務めており、昭和44年には大本山知恩寺ちおんじ法主ほっす(住職)に就任されている。そんな林師を鈴木さんは恩師と慕う。
「講堂で林先生がお話しされるのですが、実に惹きつけるお話の仕方で、今でも耳に焼き付いています。先生を通じて知った法然上人。共生ともいきの考えは人を育てるという観点で大きな影響がありました」
 教育方針の柱となった『法然人生論』、法然上人に対する人物像、そして引退したばかりの息子イチロー氏への想いを伺った。

写真:『法然人生論』が収録された愛用のカセットテープを手に、満面の笑みの鈴木さん。
愛知県豊山町のイチロー展示ルームにて

福岡大空襲から74年

福岡市2カ寺で追悼法要

 第二次世界大戦末期の米軍機による爆撃で900人以上が亡くなり、6万人以上が被災した福岡大空襲。あれから74年の歳月を経た6月19日、福岡市内の各地域では追悼行事や平和学習が行われた。同日、浄土宗寺院でも犠牲者をしのび、法要などが営まれた。

栄昌寺

 西区にある栄昌寺(永江憲昭住職)では、空襲の犠牲者を悼んで境内に建てられた「じゅうご地蔵」の前で供養祭が行われた。
 空襲時、同寺の本尊と過去帳は当時の住職の計らいによって空井戸に投げ込まれ奇跡的に難を免れた。
 住職一家は、かつて川上町にあった旧じゅう銀行の地下室に地域の人々と逃げ込んだが、火災による停電で動かなくなったシャッター内に閉じ込められ、酷熱の室内で、避難した63名の命が奪われた。
 じゅうご地蔵は戦後、遺族らが供養のため、銀行の名前の「十五」と〝銃のない世界を〟の意味で「銃後」、また〝自由を〟の願いを込めて「自由御」に当てて命名、昭和30年に建立した。
 供養祭には遺族・檀信徒約20名が集まり、お念仏を捧げていた。導師どうしを務めた一田いちだ研寿副住職は「戦争で亡くなられた方のことを多くの子どもたちへ伝えていきたい」と思いを語った。

多福寺

 博多区にある多福寺(新森光禎にいもりこうてい住職)が運営するナーランダ保育園(同園長)では、園の近隣にある洲ヶ崎すがさき恵比寿神社と黒田神社にまつられている「戦争地蔵」を年中と年長の園児約50名がお参りし、戦没者を追悼した。
 戦争経験者である先代園長のころから毎年、福岡大空襲が起きたこの日に行っており、お参りに先立ち、本堂で追善回向ついぜんえこうを営んだ。
 法要後、新森園長は園児に「友達とケンカになったら手を出さず『やめて』などの言葉で解決しましょう。なかよく過ごせば戦争など起こらないと、空襲で亡くなった人たちが気づかせてくれているんだよ」と平和の大切さを語りかけた。
 その後全員で戦争地蔵へ向かい、新森園長が『般若心経』を唱え始めると、園児たちも小さな手を合わせて一緒にお経を唱えていた。

 福岡大空襲とは…1945年6月19日23時から米軍の爆撃機B29、221機が福岡市の工場、湊湾、鉄道などを攻撃目標とし焼夷弾を投下した。福岡市は火の海に包まれ、2時間にわたる空襲で焦土と化した。死者902人、負傷者1078人、行方不明者244人。被災戸数は1万2693戸、被災人口は6万599人にのぼった。

写真:福岡市街地(現・博多区)。左に見える建物は奈良屋小学校(現・博多小学校)。©朝日新聞社

空き店舗を学童保育所に

浄土院(山形)が銀行と提携

 都市部への人口集中や核家族化などによる空き家、空き店舗の活用が地方を中心に大きな課題となっている。こうしたなか山形市漆山うるしやまの浄土院(日野ひの崇雄そうゆう住職)は銀行と提携し、空き店舗を学童保育所として生まれ変わらせた。

「ただいま!」
 元気な子どもたちの声がフロアーに響き渡る。
 ここは山形市漆山、日野住職が運営委員長を務める学童保育所「第4受楽園じゅらくえん」。学童保育所とは、日中保護者が家庭にいない小学生が授業後に、保育・教職資格を有する指導員のもと、遊びや宿題などをして過ごす一時滞在施設。一般的には小学校の教室や専用の施設を利用するが、この建物は昨年まで銀行だったという。
 山形市の人口はほぼ横ばいだが、山形駅から北へ約10キロ、車で約20分ほどの漆山地区は子育て世代の居住率が近年増加。共働き家庭が多く、学校帰りの数時間を預けられる学童保育の需要が急激に高まっているという。
 浄土院では日野住職の先代である智雄 ち ゆう師が昭和56年、寺院境内で小学生15名を迎え学童保育を開始。需要の高まりを背景に、これまで地域に3園にまで増園したが手狭となり、保育施設の安全基準(児童一人あたりの市の基準=1.65㎡)の確保も難しくなっていた。
 提携に踏み切ったのは山形市に本社を置くきらやか銀行の漆山支店。銀行の統廃合が進むなか、平成29年10月に閉店した。通常は閉店するとATMだけ残したり、取り壊して更地にするというが、そこで提携を打診したのが日野住職だった。
 「建物は使わなければ朽ちていきますし、ATMだけぽつんとあっても景観的にさみしい。それならば子どもたちの元気な声が響いていた方が地域のためになり、何より学童の場所確保に困っていた」と日野住職。
 日野住職の打診に銀行は、公益性が高いと判断し、無償譲渡を決定。昨年10月に改修工事に入り、受付カウンターを撤去し、床はフローリングに張替え。厚さ約30センチの金庫はドアを外し倉庫にするなど所々に銀行の形跡が残る。「地震がきたら金庫に避難するのが一番安全」と日野住職はほほ笑む。入口にはATMが残り、″預金のおろせる学童〟として昨年12月に開園した。
 また、応接室や会議室として使われていた2階は、教区の会議や、吉水講よしみずこうの詠唱稽古場として再利用。「新たな建物を作る時代は終わったのかもしれない。地域の需要と供給の間を取り持つのが寺院の役割でもある。共生ともいきの心が地域のお役に立てれば」と日野住職は話す。

写真左:第4受楽園で児童と談笑する日野住職。
小学生57名が利用し、下校時~19時まで開園。宿題などをして過ごし、親の迎えを待つ 

写真右:第4受楽園外観。入口にはATM、銀行の面影が残る

久米慶勝新法主認証式

大本山金戒光明寺にご入山

 7月1日に大本山金戒光明寺こんかいこうみょう じ (京都市左京区)の第75世法主ほっすに就任された久米くめ慶勝台下けいしょうだいかの認証式と入山式にゅうざんしきが7月9日、総本山知恩院ちおんいんおよび大本山金戒光明寺で厳粛に執り行われた。
 午後1時30分から知恩院の古経堂 こ きょうどうで行われた認証式では、浄土宗、知恩院、金戒光明寺の各役職者と、久米台下が住職を務めていた昌善寺しょうぜん じ(滋賀県東近江市)関係者らが参列、浄土門主じょうどもんす伊藤唯眞猊下いとうゆいしんげいかから台下に認証書が授与された。続いて法然上人御堂みどうで法然上人に就任を奉告ぶこくする法要を勤めたのち、上人のお墓である御廟 ご びょうに向かって回廊から拝まれた。
 午後4時からは金戒光明寺で「入山式」が営まれた。台下は関係者らとともに、御影堂みえいどうに入堂、法然上人と同寺歴代上人に入山を奉告された。
 久米台下は法要後のあいさつで新元号「令和」に触れ、「〝令〟には正しい、〝和〟には穏やかという意味があり、まさに仏教の精神である三宝さんぼうぶつほうそう)に通じている。残りの人生を、日本国民が、明るく、正しく、仲良く過ごせるよう、この身を捧げたい」と決意を述べられた。
 来年3月13日には、晋山式しんざんしき(新たな住職が山(寺)へすすむこと)を行う予定。

写真:総本山知恩院にて、伊藤猊下(左)から法主認証書が、久米台下へ授与された

家臣見守る松平容保像

会津藩殉難者墓地に建立

 大本山金戒光明寺こんかいこうみょうじ(京都市左京区)※塔頭たっちゅう西雲院さいうんいん(橋本周現しゅうげん住職)にある会津藩あいづはん殉難者じゅんなんしゃ墓地に、幕末の会津藩主・松平まつだいら容保かたもりの石像が6月9日に建立された。
 家幕末の文久ぶんきゅう2年(1862)、京都の治安悪化を防ぐため幕府は、その守護職として容保を任命。会津より家臣1千名を率い、金戒光明寺を本陣とした。新選組と共闘するも、反幕府勢力との激しい交戦のなかで戦病死者は多数に上り、同寺山上に墓地を造成。鳥羽とば伏見ふしみの戦いが起きた慶応けいおう4年(1868)まで京都で亡くなった352霊位がまつられ、武士だけでなく、婦人や使役しえきで仕えたと思われる苗字のない人も同様に祀られているという。
 今回、容保像を建立したのは、京都在住の会津地方出身者らで組織する京都会津会。平成14年に創立百周年を記念し墓地の整備を行うなど、同院とともに墓地の維持・管理に努めてきた。
 像は京都守護職に任じられたころの写真をもとに、等身大に近い形で制作され、会津の家臣が眠る墓地を見渡せるように建立した。
 橋本住職は「容保公に見守っていただき、会津の方々の生きた証や歴史、その想いを後世に伝えていきたい」と語った。
※塔頭…大寺院の境内にある寺院のこと。金戒光明寺には18カ寺が建ち並ぶ

写真:建立された松平容保の石像と橋本住職

霊場参拝 より身近に

法然上人伊賀霊場会がホームページを作成

 三重県西部の浄土宗寺院で組織する法然上人伊賀いが霊場れいじょう会(井上良純会長・森紅しんこう寺住職)が、法然上人ゆかりの霊場を紹介するホームページを開設した。
 法然上人のご遺跡ゆいせき霊場は複数あるが、特に生誕の地に建つ岡山県の誕生寺など、上人に縁のある近畿・四国を中心とする25カ寺を江戸時代に霊場とした「法然上人二十五霊場」が知られる。
 当時、実際に訪れることが難しい人のため、各霊場寺院の「お砂」を地域寺院に移し、短時間で巡礼できるようにした「写し霊場」が各地に作られた。伊賀霊場はこの写し霊場の一つで、江戸時代に制定された伊賀二十五霊場と、昭和58年に新たに制定された24の霊場に平成23年、法然上人供養塔(名張市)を加えた伊賀新二十五霊場の二つの霊場によって成り立っている。
 ホームページには、霊場巡りのモデルプランや地図情報を掲載。スマートフォンでも見やすいよう設計されているため、巡礼時のガイドにも最適だ。一部寺院の紹介動画もあり、訪れられない人も参拝している気分を味わうことができる。ホームページへのアクセスはQRコードから。

優しいほとけ・怖いほとけ

東京・根津美術館 開催中~8月25日

 東京都港区にある根津美術館が企画展「優しいほとけ・怖いほとけ」を開催している。
 真理をさとった「如来にょらい」をはじめ、如来の教えを人々に伝え、苦難から救う「菩薩ぼさつ」などの‟優しいほとけ”、教えに従わないものを屈服させる「明王みょうおう」や、外敵の侵入を阻止する「天」などの‟怖いほとけ”を公開。飛鳥時代から江戸時代に伝わる仏教絵画・彫刻約35件を展示する。なかでも人間が抱える煩悩のすさまじさを表す愛染あいぜん明王像は初公開。8月2日と23日の14時からは学芸員による見どころ紹介も。

場 所:根津美術館(東京都港区南青山6-5-1)
開館時間:10時~16時30分(17時閉館)
休館日:月曜日(8月12日は開館)、8月13日(火)
入観料:一般1100円、学生800円、中学生以下無料

写真左:観音菩薩像(阿弥陀三尊来迎図 部分)鎌倉時代 14世紀。

写真右:愛染明王坐像(部分)江戸時代 17世紀。 いずれも根津美術館蔵。

涼夜に愉しむ伝統芸能

増上寺「薪能」チケット販売開始

 9月28日(土)、大本山増上寺(東京都港区)が恒例の「薪能たきぎのう」を開催する。
 重要文化財の三門と松を背景に、野外に設置された舞台で、篝火かがりびを灯し幽玄な雰囲気のなか行われる。
 演目は「藤戸ふじと」(能)、「附子ぶす」(狂言)、「みだれ」(能)。チケットは7月29日(月)から同寺大殿だいでんロビーにて販売を開始している。問い合わせは同寺薪能係=03(3432)1431。

【料金】S席8千円、A席6千円、B席4千円、自由席2千円
【初心者でも安心!】9月21日(土)11時から、チケット購入者を対象に演目の見どころを紹介する「能の愉しみ」を開催。要事前申し込み・無料。

写真:一昨年の能「安達原」の様子

コラム お盆です


 お盆は、ご先祖さまを供養する大切な行事です。故郷に帰省して、お盆を迎える方も多いと思います。
 一般的に、ご先祖さまをお迎えするために「精霊棚しょうりょうだな」を仏壇の前などに準備しますが、部屋が狭いなど住宅の事情で難しい場合は、お仏壇に花や故人の好物、果物などをできる範囲でお供えください。そして夕方にはオガラを焚く迎え火(地域によります)をし、ご先祖さまを迎えましょう。
 お盆期間中、寺院によっては僧侶が自宅を訪れ、お仏壇や精霊棚の前で読経・回向してくださいます(棚経たなぎょう)。そのときには一緒にお念仏をおとなえしてください。
 ご先祖さまがお帰りになる際には送り火を焚いたり、精霊流しを行うなど、さまざまな方法でお送りします。
 家族そろってご供養し、ご先祖さまからの命のつながりに感謝する機会にしましょう。

写真:棚経の様子。イラスト・寺井さおり

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