浄土宗ニュース:2019年12月

自身見つめなおす機会に

 「こういんごとし」。あっという間に1年駆け、もう年末。年末といえば、新年を迎えるための大掃除や年越しの準備など、慌ただしい日が続き、気が付いたらおお晦日みそかを迎えてしまった……といった経験のある方もいるかと思います。
 そんな年の瀬に行われる代表的な仏教行事に「除夜会じょやえ」「ぶつみょう」「ぬぐい式」などがあります。
 「仏名会」はこの1年、しん(身体)・(言葉)・(心)で犯してしまった罪を清めるため、場を改めてお念仏をとなえ、らいはいをする法要。知らず知らずのうちに積み重ねてしまった罪を仏さまの前で懺悔さんげします。
 「御身拭い式」は、ご本尊さまのおからだに積もった埃を払い清める法要。ご本尊の埃を私たちの心の塵や垢に見立て、それを拭うという意味があります。
 そして「除夜会」は、大晦日の夜から元旦にかけて営む法要のこと。「旧年をき、新年を迎える」から「除夜」といい、1年間の自分の行いを懺悔して新年を迎えるという意味があり、宗派を超え、多くの寺院で行われています。
 「除夜」といえば「除夜の鐘」を思い浮かべる人が多いでしょう。仏教では、人間にはとんよく(むさぼり)・瞋恚しんに(いかり)・愚痴ぐち(おろかさ)などに代表される、苦しみを生み出す原因、克服することのできない煩悩が108種あると説きます。除夜の鐘はそれを取り払おうと願いを込め、108回くのが一般的です。
 「仏名会」「御身拭い式」「除夜会」、いずれの法要も1年間の自分の言動を反省し、見つめなおし、清らかな心身で来たる新年を迎えるための行事なのです。
 浄土宗に「愚者ぐしゃの自覚」という考えがあります。法然上人は比叡山ひえいざんで修行していたころ、「智慧ちえ第一の法然ぼう」とたたえられるほど優秀で、学問や修行に打ち込みながらも、自身のことを「愚痴ぐちの法然房」と称されました。これは謙遜や自虐的な意味ではなく、正面から自分を見つめ、深く内省された結果、吐露されたものであり、自身の欠点やいたらなさに気付くことが大切ということを示されています。
 日々の生活に追われ、月日はあっという間に過ぎ去ります。改めて立ち止まり、過去の行いを振り返ることのできる機会は多く持てるものではありません。
 1年の締めくくりとなる12月はそんな自身を見つめなおすための法要が各地で勤められます。ぜひご参拝になり、清々しい心で新年をお迎えください。

イラスト:さいとうかこみ

チャールズ皇太子が増上寺訪問/知恩院では慶祝法要営む

台徳院殿霊廟模型を観覧

 10月22日に行われた天皇即位礼正殿の儀に合わせて来日されていた英国王室のチャールズ皇太子殿下が23日、大本山増上寺(東京都港区)を訪問、しょう台下に挨拶されたのち、英国のロイヤル・コレクションから永久貸与された台徳院殿霊廟だいとくいんでんれいびょう模型を拝観された。
 台徳院殿霊廟は徳川第2代秀忠公の墓所として江戸初期に増上寺境内南側に造営された壮大な建築群で、法名にちなみ名付けられた。戦前には国宝に指定されたが、戦災により焼失した。
 霊廟模型は往時を偲ぶものとして明治期に製作され、霊廟の主要部分である本殿、相之間、拝殿はいでん、中門、透塀すきべいを10分の1のスケールで忠実に再現。平面規模は幅3.6メートル×奥行5.9メートルの大作で、明治43年にロンドンで開催された日英博覧会に東京市(当時)の出品物として展示された後、英国王室で大切に保管されてきた。平成26年に増上寺に永久貸与され、修復を行い、翌年から大殿地下の宝物展示室で公開している。
 チャールズ皇太子は平成20年の訪日時に模型の一部を増上寺に手渡している。当時はまだ展示室が未完成だったが、今回の訪問では実際に展示されている様子を興味深くご覧になっていた。
 模型は増上寺宝物展示室で拝観可能。開館時間は午前10時~午後4時、火曜定休(祝日の場合は開館)。拝観料700円。

慶祝法要と名号松植樹

 京都市東山区の総本山知恩院でも10月22日、今上陛下即位の日に、慶祝法要と名号松植樹法要が営まれた。

写真左:ご多用のなか増上寺を訪れ微笑まれるチャールズ皇太子殿下と八木台下Ⓒ駐日英国大使館
写真右:御影堂前に植樹されたアカマツとクロマツ(写真はクロマツ)。高さは約2.5メートル

第122次臨時宗議会


 浄土宗の議会を構成する浄土宗宗議会議員の改選(選挙)が10月26日、全国で行われ、70名の議員が決まった。これをうけ、11月19・20の両日、第122次臨時宗議会が京都宗務庁で開かれ、規程により議長、副議長、宗務総長の選挙が行われた。結果、議長に伊勢教区の村上眞孝しんこう師(68)、副議長に広島教区の加用雅愛かようがあい師(77)、宗務総長に奈良教区の川中光教こうきょう師(69)が選ばれた。任期は4年。
 川中師は昭和53年、大正大学大学院修士課程修了。昭和63年から奈良県葛城かつらぎ市・奥院おくのいん住職。平成11年から宗議会議員を務め、これまで総長公室長、財務・教学各局長などを歴任。会見で「人口減少が進む地方の寺院支援、僧侶資質向上の施策に注力したい」と抱負を語った。

写真:宗務総長に当選した川中光教師

流木で被害増  宮城・大聖寺

 10月に東日本を縦断した台風19号による河川の氾濫などにより各地で床上・床下浸水などの甚大な被害がもたらされた。浄土宗には37カ寺の被害報告があり、ひと月が経った今も復興作業が進められている。
 宮城県白石市の大聖寺だいしょうじ(福田浄光住職)では裏山の溜池が決壊、その影響と降雨が相まって近くを流れる谷津川が氾濫した。
 本堂が床下浸水、庫裡くり(住居部分)が床上浸水したほか、流木によって灯籠や地蔵尊が倒れ、境内には土砂が堆積するなどの被害があった。
 福田住職によると、境内は道路より少し高くなっているが、それでも70センチほどの高さまで浸水、近隣住宅でも流木が窓を突き破るなど被害が大きいという。
 「大規模被害が出ている場所は報道されるが、被害が局所的な地域は報道もされず、片づけたくても人手が足りない。農機具なども水に浸かってしまったため、体力的にも精神的にもつらい部分がある。継続的な支援をお願いしたい」と苦しい胸の内を語った。

写真左:流木によってなぎ倒された灯籠。
写真右:大聖寺から山に続く道はコンクリートがめくりあがり、木は根こそぎ流されていた

被災寺院救援義捐金のお願い
台風15号並びに19号、その他災害で被災された浄土宗寺院を支援するため、義捐金のご協力をお願い申し上げます。

【義捐金振込先】
■種  別:郵便振替
■口座番号:01010-5-69420
■加入者名:浄土宗災害救援義捐金
■受付期間:令和2年1月末日まで
※通信欄に「令和元年台風15号及び台風19号、その他災害」と必ずご明記ください。
【問い合わせ】
浄土宗総務部 災害担当 TEL:075(525)0479

大阪・三重の2カ寺で貴重な仏像

仏像などが、調査により歴史的価値が高いと判明することがある。このほど、見性寺けんしょうじ(大阪市東住吉区)と安樂寺あんらくじ(三重県松阪市)所蔵の仏像の作者が公表され、話題となっている。

仏師・宗印 8例目の作品 大阪・見性寺

 見性寺(伊藤真宏しんこう住職)では、本尊の阿弥陀如来坐像が、江戸時代の仏師・宗印そういんの作であるとわかった。
 宗印は安土桃山から江戸時代にかけ活躍、南都(現在の奈良県)を拠点とした仏師の系統に属し、「最後の南都仏師」と称される。現存する作例は大本山増上寺(東京)所蔵の木造釈迦三尊像などわずか7例。
 この像はもともと府内の神社内にある別の寺院に祀(まつ)られていたが、明治16年、火災に見舞われ本尊を失った見性寺が再興するにあたり本尊として迎え入れた。
 今年9月、大阪市教育委員会が市内文化財調査の一環として像を調べたところ頭部内側に「南都北室なんときたむろ大仏師宗印」との墨書きが見つかったことからその作であると特定された。
 伊藤住職は「貴重なものであると聞いて驚いた。これからも信仰の中心として大事にしたい」と述べた。

県内2体目の快慶仏 三重・安樂寺

 安樂寺(佐藤順晋じゅんしん住職)では、所蔵する阿弥陀如来立像が快慶かいけい作と公表された。三重県内では2体目、全身像では初となる。
 快慶は平安時代末期から鎌倉時代に活躍した仏師。奈良・東大寺南大門の金剛力士立像(国宝)はじめ、制作に携わった多くの仏像が文化財に指定されている。
 この像が同寺所蔵となった経緯などは不明だが、数年前に佐藤住職の知人で市の文化財保護審議会委員・藤田じきしん師(同市・観音寺住職)が作成した報告書で、快慶らしき署名の存在や作風が他のものと酷似する点から、その作の可能性が指摘されていた。その後、報告書を読んだ専門家が改めて調査し確認、今年10月、県内の博物館での特別展示にあわせ発表された。

写真左:木造阿弥陀如来坐像(見性寺蔵)像高87.1センチ
写真右:木造阿弥陀如来立像(安樂寺蔵)像高78.2センチ現在は、三重県総合博物館に寄託中
(写真提供=藤田直信)

クラウドファンディングで資金勧募


 大本山増上寺(東京都港区)が令和6年に迎える浄土宗開宗850年慶讃事業の一環として、大殿だいでん(本堂・写真)屋根瓦の総き替えを行うにあたり、資金の一部をクラウドファンディングサービス「Makuake」で広く一般に募ることを11月14日、同寺で行った記者会見で発表した。
 クラウドファンディングとは、組織や個人が目的とする事業などに対しインターネット上で資金を募ること。近年では商品開発や映画製作など企業間で広く行われているが、浄土宗の大本山としては初めて。総工費7億4520万円のうち、200万円を目標とする。
 大殿は昭和49年の竣工で、長年の風雨などにより瓦の一部損壊やズレが生じていたため参詣者の安全を考慮して葺き替えを決定。工事により土瓦からチタン瓦になることも併せて発表された。
 会見で友田達祐ともだたつゆう執事長は「世界中から参拝がある増上寺。多種多様な方々と力を合わせて築き上げることに意義がある」と語った。
 実施期間は11月15日から令和2年2月13日18時まで。一口3千円から5万円で、支援額によって瓦への名入れ、特別御朱印授与、境内案内ツアーなどの特典があるという。
 事業詳細、募金はインターネット「増上寺 マクアケ」で検索。

子どもの健やかな成長願う 赤坂・浄土寺

 東京都赤坂の浄土寺(阿川正貫あがわしょうかん住職)が11月2日、境内にまつ銅像地蔵菩薩像どうぞうじぞうぼさつぞうの造立300年の佳辰かしんを記念し法要を営んだ。
 地蔵尊や台座には造立年次のほか、当時の住職や造立に縁を結んだ檀信徒、武士や町人など945名の名が彫り込まれている。
 法要前には近隣の複合施設・赤坂サカスから練り行列が行われ、檀信徒の子どもら53名が稚児として参列。当日はラグビーW杯決勝とあって外国人観光客も多く、足を止め見入っていた。
 法要では地蔵尊の慈悲にあやかり、子どもの健やかな成長を願う灌頂洒水かんじょうしゃすいが行われ、阿川住職から稚児の頭に智慧ちえの水が授けられた。
 阿川住職は「造立時の方々の想いを継ぎ、次の300年へとつながるよう努めていきたい」と語った。

写真左:健やかな成長を願い智慧の水を授ける阿川住職
写真右:銅像地蔵菩薩像。像高130㎝。港区指定文化財

着物で友禅報恩法要

 江戸時代に扇絵師として活躍した宮崎友禅斎みやざきゆうぜんさい(1654‐1736)の功績をたたえる謝恩法要が11月11日、京都市の総本山知恩院で行われた。
 宮崎友禅は華やかな花鳥風月や草花を描いて一世を風靡した人物で、知恩院門前に居を構えていたとされる。その縁から、宮崎友禅おう顕彰会(田村輝男会長)が生誕300年を記念して、昭和29年に境内に銅像を建立、さらにその名前を冠した庭園・友禅苑を造園した。
 例年の法要は関係者のみで行っていたが、今年から一般参加が可能となった。 当日はあいにくの雨模様のため法要は和順会館で営まれたが、参加者の一人は法要後の雨上がりに友禅苑を訪れ、うっすらと色づく木々を楽しみながら、友禅斎を偲んでいた。

写真:兵庫県から初めて友禅苑に訪れたという女性。友禅を偲んだのち、雨でしっとりした庭園を拝観していた

大分・法然寺


 大分市にある暁雲ぎょううん福祉会(理事長=法然寺丹羽一誠にわいちじょう住職)が、運営する障がい福祉事業所利用者が作成したカレンダーの販売を開始した。作品を通じて、障がい者への理解を広めることを目的とした事業で、本年で24年目を数える。購入の問い合わせは同会=097(524)2424。

写真:押し花で季節・干支を表現した卓上型(千円)と東京五輪を書で表現した壁掛け型(1200円)の二種。

実体験基に“命の本”


 大阪市住吉区の願生寺がんしょうじ大河内大博おおこうちだいはく住職)檀信徒である中村浩美ひろみさんが書籍『きせき 奇跡の軌跡~白血病の旦那と妊婦の私からはじまる 幸せのカケラ探しの物語~』(ギャラクシーブックス)を刊行した。
 中村さんの実体験から製作された書籍。新婚ホヤホヤの妻が妊娠中に、旦那が生存率15%の白血病を発病し闘病生活が始まる。出産・育児・仕事復帰からパートナーシップ、家族と夫婦の泣けて笑える奇跡の感動実話。お求めははネット通販「アマゾン」から。

写真:A5判、180頁。1500円(税別)

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