浄土宗ニュース:2020年01月

浄土門主・総本山知恩院門跡 伊藤唯眞猊下

浄土門主・総本山知恩院門跡 伊藤いとう唯眞ゆいしん猊下げいか


 なにごとも成就するには「はげみ」が必要です。法然上人は身近な例を挙げて、
 じょうの堀を越えんと思はん人は、一丈五尺を越えんとはげむべし
と述べておられます。目標の数値をより高く定めて励んだならば、当初の目的は容易に達せられるのです。信仰の面でもこれと同様のことがあります。
 上人は上の言葉に続いて、念仏者に対して、
 往生をせん人は、決定けつじょうしんをとりてあひはげむべきなり
と申されています。往生極楽を願っている念仏者は、なにはさておき、往生させていただけることは必定ひつじょうだとの不動の信念を確立するのが大事で、その上で念仏を励んでいかねばならない、と仰せになっています。
 堀を越える人の場合はわが身の力を励ますのですから、むなしい結果になることもあります。しかし念仏者の場合は、「弥陀への決定の信」が根基となって出る力ですから、「仏たのむ」の南無阿弥陀仏のおとなえのはげみが、自然と「往詣おうげい楽邦らくほう」―お浄土へ参らせてもらうこと―になっていきます。

新年ご挨拶動画

大本山ご法主台下 新年ご法話

浄土宗には由緒沿革により全国に七つの大本山があります。そのご住職を法主といい、「ご法主台下」とお呼びしています。新年にあたり、ご法主台下から読者のみなさまに一口法話を頂戴いたしました。

大本山増上寺(ぞうじょうじ)法主 八木やぎ しょう 台下


 令和2年の新春を迎え、阿弥陀さまをはじめ、ご先祖さま方のご加護をいただき、どうかこの1年が平和でこころ豊かな年でありますように、心から念ずるものであります。昨年の秋に生じた台風の被害を受けられた方々には、大変な災害であったと思いますが一刻も早く被害状況から回復されることを願っております。どうぞ今年は、天下てんげ和順わじゅんにして日月にちがっ清明しょうみょうのうちにお念仏に励む年でありますよう。

大本山 金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)法主 久米くめ けいしょう 台下


 令和2年のお正月は昨年改元されて日本中が新鮮な新年を迎えることとなり、誠におめでたい年となりました。しかし内外の様子は自己中心のものばかりで、おんしん平等びょうどう万機ばんき普益ふやくの法然上人の願い導かれた世界とは真逆の様相ばかりです。大本山金戒光明寺では、この秋に「大授戒じゅかい」をかいえん致します。仏のいましめをもって煩悩ぼんのう逆巻くよこしまな心を制御しなければ穏やかな日暮らしを得ることは出来ません。是非ともお誘い合わせの上、この「大授戒会」に御参加くださいまして、金のぶっかいを得て頂きお幸せにお過ごしください。

大本山 百萬遍知恩寺(ひゃくまんべんちおんじ)法主 福原ふくはら りゅうぜん 台下


 平成から令和に移り、特に多様性が求められる時代となりました。法然上人の教えはまさに多様性を大切にされている教えです。特定の人のための教えから万人救済の教えへの変革でありました。「ただ一向に念仏すべし」に導く方法も一様ではありません。人びとの心情を大切にし、釈尊が対機説法で導かれたように、種々に対応されました。本来もってはいけない疑い心をもったままでも、念仏を称えることの大切さを示されたのもその一例です。

大本山 善導寺(ぜんどうじ)法主 阿川あがわ ぶんしょう 台下


 浄土信仰をもつ念仏者の心構えの一つに「じょうしん」(真実しんじつしん)という教えがあります。至誠心は、内心ないしん外相げそうと相応して真実に往生を願い、三業さんごうしん精進しょうじんすることをいいます。「勁松けいしょうとしの寒きにあらわる」と申します。すなわち立派な松の木は寒さ厳しき年に生じ、心変わりなく綺麗なみどりを保ちます。不動の信念のもと、変わることのない真実心をって、この1年を過ごしたいものです。国と国との信頼感を通して、全世界が平和になっていくことを願いたいと思います。

大本山 光明寺(こうみょうじ)法主 柴田しばた 哲彦てつげん 台下


 新年は「今年こそ」との思いが膨らむものであります。
 以前、野生の狸2匹が餌を食べている所に遭遇したことがありました。1匹が食べれば1匹は見張り、と動物なのに互いに助け合い生きているのを眺め、大変感動を致しました。
 高祖こうそ善導ぜんどう大師だいしは『往生おうじょう礼讃らいさん』中「願わくは衆生しゅじょうと共に」の言葉を122回も記されています。お念仏は自分だけでなく、他の人も弥陀のお救いが頂けるよう願うぎょうであります。今年こそ他のためにお念仏がとなえられるよう励みたいものであります。

大本山 善光寺大本願(ぜんこうじだいほんがん)法主 鷹司たかつかさ せいぎょく 台下


 新年おめでとう存じます。昨年5月、奈良の興福寺での藤原ふじわらの不比等ふひと公1300年御遠忌ごおんきに参りました。不比等公は鷹司たかつかさを含む藤原氏の初祖で、遣唐使等を通じ日本仏教の発展に寄与し、殊にがんじん和尚わじょうの大変な支援者でもありました。「興福寺こうふくじ奏状そうじょう」等、我宗の歴史の中では少々抵抗をおぼえる南都寺院も、唐朝風の衣装で催しを盛り上げる人々等もあり大変な賑いで新しい時代の到来を実感し宗派を超え日本の歴史の根幹となる仏教を実感いたしました。令和も平和な時代となりますようお念仏精進いたしましょう。

子どもの人権 学ぶきっかけに


 子どもの貧困について認識を深めてもらいたいと、浄土宗が12月5日、大正大学(東京都豊島区)で、「シングル家庭から考える子どもの貧困」をテーマに、公開シンポジウムを開催した。
人権活動推進のために国が定めた「人権週間」(12月4日から10日)に合わせて企画したもので、同大の学生、宗門関係者ら約50名が集まった。
 基調講演では、社会政策・労働問題を専門とする法政大学大原社会問題研究所教授の藤原千沙氏が、日本と世界各国のひとり親家庭の貧困率を比較。世界平均が31.6%に対し、日本は50.8%(厚生労働省)と先進国の中でも突出していると強調した。
 「ひとり親世帯の親はほとんどの場合、就労しているが、なかなか貧困から抜け出せない。それにはどのような社会構造が影響しているのか、社会ができることは何かを考えなくてはいけない」と提言した。
 引き続き、児童福祉を専門とする皇學館大学准教授・吉田明弘氏をコーディネーターに、浄土宗僧侶で子ども食堂の活動に取り組む吉水岳彦がくげん師と、同じく浄土宗僧侶で、自死対策に取り組む小川有閑ゆうかん師、藤原氏が登壇し、パネルディスカッションを行った。
 その中で吉水師は、育児放棄や虐待により居場所のない子どもが路上生活者を襲う事例を取り上げ、ある路上生活者に言われた「深夜に、俺たちみたいな路上生活者を襲わなきゃいけない、帰る家がないってかわいそうなことなんだよ」という言葉が印象に残っていると話し、子どもたちには生活力の身につけ方や、勉強の必要性を教える、〝大人〟のモデルが必要と語った。
 学生たちは、日本の子どもの貧困事例に、真剣な表情で耳を傾けていた。参加した学生の一人は「子どもの貧困問題を多角的に学ぶことができた」と感想を述べた。

(写真左)=コーディネーターを勤めた吉田氏が、学生の質問に答える様子
(写真右)=同時開催の人権啓発パネル展。パネルには子どもの人権や、世界各国の取り組みが紹介された

吉備真備囲碁大会

 11月3日、大本山こんかい光明こうみょう(京都市左京区)で京都吉備きびの真備まきび囲碁大会(共催:日本棋院京都本部)が行われた。
 囲碁の起源は4千年前の中国といわれ、日本へは奈良時代に吉備真備(695?‐775)という遣唐使が持ち帰ったとの説が残る。
 当日は、御影堂みえいどう(本堂)にまつられる2.6メートルもの大きさの「吉備(きび)観音(かんのん)」(重要文化財)に見守られながら開会式を行ったのち広間に移り、子どもの部は高校生以下の35名が、大人の部では42名が静寂に包まれる中で対局。真備像(写真右)が手にしゃくを持つことから、優勝者にはオリジナルの笏が贈られた。
 同寺の観音菩薩像は、真備が海で遭難しそうになった際、「南無なむ観世音かんぜおん菩薩ぼさつ」と唱えるとたちまち救われたことから、そのとき唐から持ち帰った栴檀せんだん香木に刻んだとされるもので、「吉備観音」と呼ばれ親しまれている。
 志納所では白黒四つの数珠と碁石がついた「囲碁上達ストラップ(御守)」が購入できる。

(写真左)=真剣なまなざしで碁を指す子どもたち
(写真右)=吉備真備像。手に笏を持っている

なむちゃんエイド200万円寄託

 世界の難民支援のために浄土宗新聞購読料の一部を寄付する「浄土宗なむちゃんエイド」として浄土宗が12月、難民支援の日本窓口である国連ユーエヌエイチシーアール協会へ200万円を寄託した。
 「エイド」は湾岸戦争による難民支援募金を契機として平成5年に設立。これまで中東・アフリカなどの難民支援を行っている。
 今回はミャンマー国内の武力衝突により避難を余儀なくされたイスラム系少数民族・ロヒンギャへの緊急支援と、避難生活を送る子どもたちの初等教育支援に充てられる。また、浄土宗の公式キャラクター「なむちゃん」のLINEスタンプ売上金を併せて寄贈した。

(写真)=バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプで学ぶ子どもたち©UNHCR/Andrew McConnell

開運 ! どうぶつ七福神めぐり 京急油壺マリンパーク 1月1日~31日

 神奈川県三浦市にある水族館「京急あぶらつぼマリンパーク」が、飼育する動物などを七福神にみたて「開運・どうぶつ七福神めぐり」を元日から31日にかけて開催する。
 正月になると恵比寿さま、布袋ほていさまなどの七福神をお参りする「七福神巡り」が各地の寺社などで盛んだが、この催しは三浦市内の5寺院2神社で作る「三浦七福神」と水族館のコラボ企画。各寺社の御分霊を水族館に招き、七福神とゆかりのある動物や標本などをご神体としてまつる。
 三浦七福神第一番の浄土宗えんぷく(村井しょうけん住職=南下浦町)は、同館が飼育するフクロウの羽根を祈願し、同寺に祀る金光こんこう恵比須尊として公開。
 同館によると「昭和46年の開館以来、長寿や希少な生物、人気を集めた動物たちが多く存在し、亡くなりました。その生きた証を広く知ってほしい」としており、動物への尊厳、供養の意味も含まれる。

情 報
住 所:神奈川県三浦市三崎町小網代1082
アクセス:京急三崎口駅からバスで15分
入館料:大人1,800円、小学生900円ほか
休館日:1月14日~17日
問合先:同館=046(880)0152

佛教大学小学生俳句大賞

 佛教大学(京都市)が、「第13回佛教大学小学生俳句大賞」と銘打ち、小学生を対象に俳句を募集している。
 俳句を通じて言葉の楽しさを知ってほしいと、同大が平成19年から始めたもの。選考委員には田中典彦てんげん学長ほか、本紙「俳壇」選者の坪内稔典氏らが名を連ねる。
 募集は低学年・高学年の二部門。テーマは自由で未発表のもの。1月24日締切り。応募は同大ホームページ、問い合わせは075(491)2141。

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