浄土宗ニュース:2020年02月

阪神・淡路大震災から25年

あの日の記憶 抱えながら生きていく

 今年の1月17日、阪神・淡路大震災から25年の節目を迎えた―。六甲山の豊かな自然と神戸ポートタワーの建つ美しい港町の風景からは、かつての凄惨せいさんな被害は感じられない。
 平成7年(1995)、1月17日午前5時46分、マグニチュード7.3の地震が兵庫県南部を襲った。山陽新幹線の高架橋や阪神高速道路などの倒壊、地面の陥没、神戸港をはじめとする埠頭の沈下、さらには大規模火災により、救助、食料物資などの応急復旧活動に大きな支障をきたした。死者は6434人、負傷者は4万3792人にのぼり、住宅被害は全壊10万4906棟、半壊14万4274棟のほか、全半焼は6217棟(消防庁調べなど・平成18年)、被害総額は9兆円を超えた。
 浄土宗でも兵庫教区で138カ寺、大阪教区で92カ寺など、近畿地方の広範囲で建物被害があり、倒壊をまぬかれた半壊状態の寺院でも修復が不可能で解体撤去せざるを得ないなど、甚大な被害となった。震源地に近かった東灘区の西福寺は本堂・庫裡くり(住居部分)が全壊、さらに当時の住職だった伊藤しょうぞう師が建物の下敷きになり亡くなられた(享年55歳)。
 伊藤住職の長男の省吾師(当時23歳)はこのような状況下でありながら、僧侶の資格を取得するため大学へ通い始める。そして新たな西福寺住職として同寺を復興、平成23年の東日本大震災では自らの経験を活かせればと、ボランティア活動をされた経験ももつ。伊藤省吾師に当時の心境と、この25年についてうかがった。
[続きは紙面にてお読みください。]

(写真左)=地震で倒壊し、波打つように倒れる阪神高速道路
(写真右)=令和2年1月17日午前5時46分、神戸市中央区の東遊園地に竹灯籠の光で「きざむ 1・17」が描かれた。多くの人々が追悼に訪れ、手を合わせた
写真=朝日新聞社提供

菅原達孝副門跡ご遷化総本山知恩院
菅原達孝副門跡
 総本山知恩院(京都市)の菅原たっこう副門跡ふくもんぜきが1月12日、京都市内の病院で逝去され、極楽浄土にしょうねん往生された。世寿90歳(満88歳)。
 菅原副門跡は昭和6年生まれ。同50年から平成15年まで京都市上京区の淨福寺住職。知恩院では、企画委員会委員長、顧問、しゅびょう長を務め、浄土宗内では宗議会議員、開教振興委員会理事、復興委員会委員長などを歴任している。
 副門跡は常設の役ではなく、必要に応じ置かれるもので、総本山知恩院副門跡規程により、顧問会の同意を得て門跡より任免される。
 菅原副門跡は平成23年の法然上人八百年だいおんの際、副門跡に就任。大遠忌えんじょうの後、一度退任されたが、知恩院御影堂みえいどう落慶らっけいを見据え、同29年9月に再び就任されていた。
 通夜および密葬儀は近親者で営まれ、表葬儀(本葬)は2月29日に、伊藤ゆいしん門跡導師のもと淨福寺で行う。法名は「顯蓮社正僧正眞譽上人明阿恵舜達孝大和尚」。

(写真)=菅原達孝副門跡

春高バレー 悲願の初優勝

浄土宗宗立 東山高校(京都)

 1月5日から12日まで、東京都調布市の武蔵野の森総合スポーツプラザで開かれた「第72回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー)」に浄土宗宗立校の東山ひがしやま高校(京都市左京区)と鎮西ちんぜい高校(熊本市中央区)が出場。鎮西高校がベスト8と善戦し、東山高校が6年ぶり12回目の出場にして悲願の初優勝を飾った。
 東山高校は、3年生でキャプテンの高橋らん選手を中心に、セッターがボールを上げる直前、4人のアタッカーが走り込んで守備を崩す「4枚攻撃」で得点を積み重ね、全ての試合で終始他校を圧倒。12日に行われた駿台学園高校(東京)との決勝戦でも、その多彩な攻撃を遺憾なく発揮し、駿台学園の組織的な守備を崩しストレートで勝ち、1回戦から1セットも失わない完全勝利を達成した。
 強さの背景には、中央大学で全日本男子のエース、石川祐希選手(現・イタリアパドヴァ)を指導した松永理生コーチの教えがある。着任した昨春から、選手たちはセッターへの返球を高くし、同時にアタッカーが常に攻撃に入る動きを反復して体に刻み込んだ。
 高橋キャプテンは、優勝インタビューで「先輩たちの思いも背負ってここにきた。勝ち切れてよかった」と喜びの涙を流しながら、感謝の言葉を述べた。

東山高校 バスケも全国ベスト4

 東山高校は、12月23日から29日に開催された「第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)」に、浄土宗宗門校の正智しょうち深谷ふかや高校(埼玉県深谷市)とともに出場。正智深谷高校は、惜しくも1回戦敗退となったが、東山高校が全国ベスト4に輝いた。
 1回戦から3回戦を順当に勝ち進み、準々決勝で報徳学園高校(兵庫)との接戦を制し準決勝に進出。
 準決勝では、昨夏にインターハイを制した福岡第一高校(福岡)と対戦、2年生のポイントガード米須よねす玲音れおと選手を中心に、王者相手に一時は主導権を握る試合運びを見せ、59対71と善戦、ベスト4と堂々の成績を収めた。

(写真)=優勝を決め喜びを爆発させる選手たち。(写真=産経新聞社)

新視点のビジネス書として話題!

著者・鵜飼師に聞く 仏教的“働き方改革”


ビジネスに活かす 教養としての仏教
著者:鵜飼秀徳
発売日:2019年12月25日
定価:本体1,600 円(税別)
仕様:240頁/四六判並製
発行:PHP 研究所
お求めは全国の書店で

“ビジネス×仏教”という新たな視座で刊行された『ビジネスに活かす 教養としての仏教』(PHP研究所)がサラリーマンを中心に話題を呼んでいる。著者であり、京都・正覚寺副住職でジャーナリストの鵜飼秀徳師(45)に話を伺った。

 「何のため、誰のための会社か、そして何のために社員は働くのか。その点が利益至上主義の行き詰まりの中で、あいまいになってきています。仏教の持つ独自の視座、俯瞰ふかん性を通し、経営側、働き手両者にその立ち位置、生き方を見つめてほしい」
 そう強調する鵜飼師。その経歴は僧侶としては異色といえる。大学卒業後、新聞記者を経て、日経BP社に勤務し、『日経ビジネス』記者、『日経おとなのOFF』副編集長などを歴任。取材フィールドは事件、政治、経済、文化、宗教と多岐にわたる。寺院を離れ、約25年間″企業戦士〟として働く中で必要と感じたのが仏教の「再翻訳」だったという。
「ビジネスマンと仏教の接点があまりに少ない。しかしノルマなど日々追い込まれる働き手に対し、仏教にはこんな考え方があって、時に逃げ場にもなる。そんな視点を提示できればと思いました」
 仏教の教えを平易に訳した書籍は数多いが、本書には日産のカルロス・ゴーン元会長の事件、セクハラ・パワハラ、上司との接し方など、組織からリアルな職場の問題に対し、仏教ではこう捉えるという回答が明快に記される。まさに仏教の現代的再翻訳だ。
 そして働き手への提示とともに、管理職の立場、企業の組織論を仏教の視点で捉えているのも本書の特徴だ。
「老舗企業や大企業の多くが掲げている社是しゃぜ(経営理念・社訓など)に着目すると、その多くは″社会貢献〟″先人への敬意〟など、目先の利益にとらわれないものが多くみられます。実に仏教が大切にする自利じり利他りたの精神が詰まっているのです。浄土宗が大切にする共生ともいきの精神でもあります。組織の根本を見れば、おのずとどう働くべきなのかが見えるはずです」
 第1講「何のために働くか―働き方と仏教」、第2講「企業の価値とは何か―組織と仏教」、第3講「どう生きるべきか―人生と仏教」に加え、巻末には葬儀、法事、墓参りのマナーや意義も収録。


うかい しゅうとく
1974年京都市生まれ。成城大学卒業後、報知新聞社に入社。事件・政治担当記者を経て、日経BP社へ。『日経おとなのOFF』副編集長を務める。実家の寺を継ぐため2018年に退職。主な著書に『寺院消滅』(日経BP)、『ペットと葬式』(朝日新書)ほか多数。

8年間の活動に幕

ふくしまっ子 Smileキャンプ 長野 栂池高原・善光寺

 東日本大震災以降、放射能の影響で屋外活動が制限される福島の子どもたちの支援のため福島教区の僧侶有志で組織する「ふくしまっ子スマイルプロジェクト」が、12月26日から29日の4日間、長野県の栂池つがいけ高原スキー場と善光寺で「ふくしまっ子Smileキャンプ」を開催。福島県内の小・中学生40名が参加した。
 同キャンプは、震災から1年後の平成24年に初開催。県外の屋外で遊んでもらい、思い出を作ってもらおうと、これまで夏と冬に季節に応じて行ってきた。震災の影響がひと段落したことから、今回で最後の開催となった。
 26日から28日は、栂池高原でスキー体験や、長野冬季オリンピックの競技会場となったはくジャンプスキー場を見学。最終日には、大本山善光寺だいほんがん(長野市)を参拝し、たかつかさせいぎょくだいから励ましのお言葉と、参加者一人一人がお守りをいただいた。参拝後、善光寺宿坊・このこんぼうで精進料理を味わった。
 キャンプを終え、参加した井上あかりさん(13)は「キャンプ中は、みんな仲良く過ごせました。お寺を参拝したり、精進料理を食べることができてとても良かったです。今年で最後なのが残念ですが、このキャンプに参加したことは一生の思い出です」と話してくれた。
 プロジェクト代表の馬目まのめ一浩いっこう師(いわき市・阿弥陀寺副住職)は、これまでの様々な支援への謝辞を述べるとともに、「震災から8年が経ち、放射能による影響も少なくなってきました。ここで一度ピリオドとなりますが、このキャンプでの経験や、学んだことを人生に活かしてもらえれば。今後も福島で子どもたちの成長を見守りたいと思います」と語った。

(写真左)=白銀の世界に、子どもたちの歓声があがった
(写真右)=鷹司台下より、キャンプ参加者にお守りを授与された

伝宗伝戒道場 182名が成満

僧侶として 新たなる一歩

 浄土宗の教師(僧侶)になるための最後の修行であるでんしゅうでんかいどうじょうが、12月5日から25日まで総本山知恩院(京都市東山区・伊藤唯眞猊下げいか)で、12月7日から27日まで大本山増上寺(東京都港区・八木季生台下だいか)で行われ、計182名の修行僧が浄土宗教師として新たな一歩を踏み出した。
 伝宗伝戒道場とは、浄土宗が伝承する重要な「宗」の系譜と浄土宗僧侶が守るべき「戒」を授かる道場で、双方を授かって初めて、浄土宗の正式な僧侶となる。
 両道場の最終日には、じょう満会まんえ(全課程を終えた締めくくりの法要)が勤められ、伊藤猊下・八木台下それぞれから「宗」と「戒」に関する内容が記された伝巻でんかんが受者に授与された。
 増上寺で修行僧の代表を務めた福井威人いにん師は「道場は終えましたが、これが新たなスタートです。支えてくださった方々の気持ちを忘れず、さらに精進してまいります」と語った。

知恩院で成人祝賀式

仏弟子としての第一歩 晴れやかに

 総本山知恩院(京都市)で1月12日、新成人を祝う第55回成人祝賀式が執り行われた。
 この式典は、仏の弟子になる儀式(敬式きょうしき)を中心としたもので、知恩院の青年教化事業の一環として毎年開催され、宗立宗門校の学生や宗内関係者などの新成人23名が参加した。
 生演奏の雅楽の音色に包まれながら、厳かな雰囲気の中で式典は挙行され、参加した成人らは、法然上人像の前で高らかにお念仏をとなえた。

(写真)=法要で散華をする新成人代表(写真=総本山知恩院)

特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」

東京国立博物館  3月13日~5月10日

 奈良県斑鳩いかるが町の世界遺産として知られる法隆寺金堂こんどうに描かれた「ほう隆寺りゅうじ金堂こんどう壁画へきが」(焼失)の摸写や“百済くだら観音”で親しまれる国宝「観音菩薩立像」(像高209センチ)などが公開される特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」が3月13日から5月10日まで東京国立博物館で開かれる。 
 同壁画は阿弥陀浄土図などの仏の群像を描いた大壁(縦約3.1メートル、横約2.6メートル)4面と諸菩薩を描いた小壁(縦約3.1メートル、横約1.5メートル)8面の巨大壁画群。緻密な色彩が再現され、かつての迫力は一見の価値あり。
 柔和な顔立ちが印象的な百済観音は、平成10年、同寺境内に百済観音堂が完成して以来、門外不出だったため、東京での公開は23年ぶりとなる。

★ 公 開 情 報 ★
場 所:東京国立博物館 本館特別4・5室
    東京都台東区上野公園13-9
開館時間:9時30分~17時(※金・土曜日は21時まで。入館は各閉館の30分前まで)
休 館 日:月曜日 ※3月30日、5月4日は開館
拝 観 料:一般1200円、大学生600円
問い合わせ:03(5777)8600
アクセス:JR上野駅から徒歩10分

(写真)=国宝・観音菩薩立像 法隆寺蔵 写真=飛鳥園

お知らせ 福を招く節分会
 総本山知恩院と大本山増上寺、同清浄華院、信州善光寺で2月3日(月)、無病息災・開運招福を願う節分が開かれる。

●総本山知恩院
【開始】13時30分
【場所】法然上人御堂
京都市東山区林下町400
TEL 075(531)2111

●大本山増上寺
【開始】12時
【場所】大殿前特設舞台
東京都港区芝公園4‐7‐35
TEL 03(3432)1431

●大本山清浄華院 ※浄山不動講主催
【開始】13時
【場所】境内広場
京都市上京区寺町通広小路上ル北之辺町395
TEL 075(231)2550
※11時より涅槃会厳修

●信州善光寺
【開始】13時30分
【場所】本堂
長野市長野元善町491
TEL 026(234)3591
※大本山善光寺大本願での開催ではありません

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