浄土宗ニュース:2020年08月

ご先祖さまへのおもてなし

お盆

7月または8月の13日から15日(16日)に行われる「お盆」は、私たちにもっともなじみ深い仏教行事の一つ。

その始まりは、『ぼんぎょう』というお経に書かれたお釈迦さまの弟子・もくれんそんじゃという方の逸話とされます。

あるとき、母親がかつに苦しむの世界に生まれ変わっていたことを知った目連尊者。大切な母親をなんとしても救いたいとお釈迦さまに相談したところ「7月15日、夏の修行期間を終えた僧侶に施しをすればそのどくによって母親は救われるだろう」と言われました。目連尊者がそのとおりに実践したところ母親は苦しみから救われた―。

このように説かれています。

これがご先祖さまを供養する日本古来の儀式と結びつき、ご先祖さまがこの世界に戻ってくるという現在のお盆の原型となりました。

その後、この世に帰ってこられたご先祖さまのみたまを供養する「盆踊り」、み霊をお見送りする「とうろう流し」や「しょうりょう流し」など、お盆にまつわる行事は各地で行われるようになりました。青森の「ねぶた」や徳島の「阿波踊り」などは全国的にも有名です。

いずれも、ご先祖さまに供養の思いを伝えてもてなすため、その土地その土地の人々が形づくり、伝承してきたもの。

この「もてなす」は、客人への歓待などに使われますが、古くは「対象に対して積極的にはたらきかけ、ものごとをなす」という言葉。「もて」には〝意識して〟という意味もあるとされ、相手を意識して行動するというのが、現代の用法になったのでしょう。

では、ご先祖さまをもっとも意識した行動とは何でしょうか。それは、み霊がこの世界に戻ってこられる理由を知ることでわかります。

ほうねんしょうにんが師と仰いだ中国唐時代の僧・ぜんどうだい(613‐681)が浄土往生を目指す人の願いを著した『ほつがんもん』に、自分が往生を遂げたのちの願いとして次のように述べられています。

「迷いの世界にかえって、悩み苦しんでいる人々を救い、お念仏にご縁を結ばせ、みなをお浄土に導こうと思う」

つまり、この世に残っている私たちがお念仏をとなえ、お浄土へ往生できるように導くため、ということなのです。

今年は多くのお盆の行事が中止・縮小となっています。それだけにご家庭でのおもてなしはいつもどおり、もしくはそれ以上にしたいですね。そして、ご先祖さまの思いに応えるため、普段以上にねんごろにお念仏をおとなえください。

熊本教区寺院・檀信徒に被害

令和2年7月豪雨

7月3日から九州、西日本、東日本など各地を襲った令和2年7月豪雨は、死者75名・重軽傷者14名、行方不明者10名、(内閣府発表・7月15日現在)の人的被害のほか、多くの家屋に被害をもたらし、各地で大きな爪痕を残した。 

浄土宗に寄せられた情報によると、豪雨により熊本県南部に位置する3カ寺(7月9日現在)が床上・床下浸水の被害を受けたほか、檀信徒も被災。熊本県さが村のしんすい(稲田りゅうそく住職)は、川支流のかわ川が氾濫、本堂と(居住場所)が床上浸水。同県みなまた市の西さいしょういんはまかい住職)でも、水俣川の氾濫で、境内が浸水するなどの被害があった。

特に被害の大きかった同県あしきたまちらいこうはまこうとく住職)は、隣接するしき川が氾濫し、本堂と庫裏1階が浸水した。仏具や法衣、生活用品は泥水に浸かって、使用不可となり、境内にも倒木や土砂が流入した。

濵田住職は、「庫裏1階中程まで浸水したときは、命の危険を感じました。それから私はご本尊と過去帳を、妻は食料などをもって急いで庫裏2階へ避難しました。本堂や庫裏1階が水没する状況に途方に暮れましたが、そうしたなかで、近隣や、九州各地の僧侶が支援に駆けつけてくれたことに、元気をもらいました」と話す。

被災直後、来迎寺でボランティア活動を行った三宅しゅんみょう師(熊本県あらじょうごう住職)は、「大雨が小康状態になった5日から有志の僧侶4名で復旧作業をはじめました。多くの人手が必要ですが、コロナ禍もあって、密にならないよう注意しています。また県外からのボランティアを受け入れていない自治体も多く、今後の課題です」と話す。

今回の大雨を受け、浄土宗は総本山知恩院(京都市東山区)と共同で被災寺院に、ブルーシート・タオル・雑巾など応急物資の送付や、浄土宗教師のボランティア保険の加入代行を行った。

被災直後の深水寺の様子

(被災直後の深水寺の様子。本堂に土砂が流入した)

来迎寺でのボランティア活動の様子

(来迎寺でのボランティア活動の様子。本堂内陣に流入した土砂を洗い流している(7月9日撮影))

全日仏・日宗連

新理事長に戸松義晴師

浄土宗など、仏教の主要59宗派が加盟し、仏教文化の宣揚などを目的に活動する公益財団法人全日本仏教会(東京)は、6月10日に書面による理事会を開催し、第34期理事長に、浄土宗心光院(東京都港区)住職の戸松せい師を選出した。

また、戸松師は同30日、宗教界の連合組織である公益財団法人日本宗教連盟の理事長にも選ばれた。 

日本宗教連盟は、全日本仏教会をはじめ、神社本庁・日本キリスト教連合会・教派神道連合会・新日本宗教団体連合会の5団体によって構成され、宗教の垣根を超えて、社会に対する宗教文化の振興・普及活動を行っている。

就任した戸松師は「檀信徒をはじめ、地域の方とともに宗教文化の良き伝統を守っていきたい」と語った。

戸松師は昭和28年東京生まれ。ハーバード大学大学院神学校修士課程修了。浄土宗総合研究所主任研究員。

戸松理事長写真

(戸松義晴師)

「日本マーケティング大賞」奨励賞

寺院独自の活動を評価 おてらおやつクラブ

6月19日、2019年度の優れたマーケティング活動を表彰する「第12回日本マーケティング大賞」の受賞式がオンライン上で行われ、奨励賞にNPO法人おてらおやつクラブ(代表=安養寺住職・松島せいろう師)が選ばれた。

同賞は、新しいマーケティングやビジネスモデルの開発を促す目的で2009年に始まったもの。今回は137件のプロジェクトが審査対象となった。

おてらおやつクラブは子どもの貧困問題の解決を目指し、経済的に困窮する家庭へ寺院に供えられる食品や日用品を届ける支援活動を行っている。今回の受賞は、寺院のお供えを「おすそわけ」する寺院ならではの独自性や、企業の販売不可となった食品を受け入れることでフードロスを抑制する社会課題解決性が大きく評価されたことによる。

松島師は、「この受賞を通して、多くの人に子どもの貧困問題に興味関心を持っていただきたい」と思いを語った。

おてらおやつクラブ

(左から福井良應理事、松島靖朗代表、齋藤明秀事務局長)

短冊に願いを託して

大本山増上寺 七夕まつり

大本山増上寺(東京都港区)が7月7日、七夕まつりで法要を営み、参詣者が短冊に込めた願い事の成就を祈願した。

大殿前に設置された笹飾りには、思い思いの願い事が書かれた色とりどりの短冊が吊るされ、今年は新型コロナウイルスの終息を願う短冊が目立っていた。また法要中も導師によってウイルス早期終息が祈願されると、参詣者たちは静かに手を合わせていた。

法要担当者は、「中止も検討しました。しかし、このような時だからこそ、『願う機会』が必要だと思いました。規模縮小となりましたが、開催できて良かったです」と話す。

当日の様子は、同寺公式インスタグラムで配信中。

大本山増上寺「七夕まつり」法要

ページのトップへ戻る