浄土宗ニュース:2020年09月

善い行い〟の実践週間に

秋彼岸 9月19日~25日

「暑さ寒さもがんまで」と言いますが、残暑和らぐ夕方になると「カナカナ…」とヒグラシが鳴き、ようやく過ごしやすい季節となりました。

秋のお彼岸の期間は、秋分の日を中心とした1週間(今年は9月19日~25日)で、多くの寺院では彼岸法要が営まれ、仏さまやお墓をお参りになる人でにぎわいます。

「彼岸」とは、古代インドで使われたサンスクリット語の「パーラミター(波羅蜜多)」に由来する言葉で「向こう岸に渡る」という意味。これを漢訳すると「とうがん」となり、浄土宗では、私たちのいるしょうが繰り返され苦しみの多い〝この岸(がん)〟から、さとりの世界である〝かの岸(彼岸)〟の極楽浄土にいたることをいいます。

春分・秋分の日は、太陽が真西に沈む日。その方向にある阿弥陀さまの西方極楽浄土に思いをはせるのに適した時期と言われてきました。 
 
このことから、お彼岸には、極楽浄土におうじょうすることを願うとともに、お浄土にいらっしゃるご先祖さまの霊を供養するならわしとなりました。

さらに、お彼岸はさとりを目指す仏道修行の期間ともされています。

仏道修行というと滝に打たれたり、お経を読んだりすることをイメージされる方も多いかと思います。

しかし、仏教でいう修行とは、こうした行いだけではありません。

「お念仏をとなえ、ご先祖さまを供養すること」は言うまでもありませんが、「人に優しい言葉をかける」、「優しい笑顔で人に接する」、「社会のために奉仕する」など、人によろこびや安らぎをほどこす〝善い行い〟も含まれます。どうです? 自分でも何か一つはできるような気がしませんか。

私たちには、頭で理解できていても実践できていないことがたくさんあります。仏教では、頭だけでなく体でも理解すること、つまり実践が重要になります。

単にきょう(教え)を学ぶだけではなく、日々の修行という実践もともなうのが仏教のあり方です。ぜひ、このお彼岸の機会に〝善い行い〟を実践してみてください。

善行を積む姿を、極楽浄土から見てくださっている阿弥陀さまが、あなたの人生を理想的な生き方へと導いてくれるでしょう。

信頼関係の継続を

介護者カフェをオンラインで

コロナ禍により新しい生活様式が求められる中で、他者との関わりが薄れがちな状況が続いている。東京都葛飾区のこうねんでは、これまで行ってきた介護者カフェをオンラインで実施し、介護が理由の孤立が生まれないよう、人とのつながり作りに取り組み続けている。

香念寺(しもむらたつろう住職)では、家庭にこもり、介護の悩みを抱え込む人への寄り添いの場を提供することを目的に、平成28年11月から寺院客殿を使って介護者カフェの活動を始めた。

奇数月の第3火曜日に開催しており、現に介護をしている人だけでなく、過去に介護の経験がある人や他の人の様子を知りたい人など、だれでも参加可能。介護をテーマに、悩みや不安、経験を車座になって自由に語り合い、情報を交換することで、社会的に孤立しがちな参加者がつながりを持てる交流の場となっていた。

しかし、今年に入り、新型コロナウイルスのまん延により、5月に予定されていた介護者カフェを中止せざるを得なくなった。この状況に、今まで関係を築いてきた参加者が、外と接点を失い孤立することを危惧した下村師は、オンラインでの介護者カフェ開催を決めた。

介護者カフェに参加したことがある人全員に案内を送付。そこには介護の現状や身体の調子を気遣う内容のメッセージを書き添え、参加できない人への声かけにも努めた。

当日の参加者からは、「外出できなくなり認知症が進行した」、「感染が心配で自宅介護が増え、家族の負担が大きくなった」といったコロナ禍特有の悩みが聞かれたという。

また、オンラインでの開催について、「今までは介護で忙しく外に出づらかったが、これなら参加できる」という反応がある反面、「早く以前のように集まりたい」との声が多かった。下村師は、コロナ禍で不安を抱えやすい状況を考慮し、今後も毎月オンラインでの開催をしていく。

その一方で下村師は、あくまでオンラインは、つながりを絶やさないための手段の一つだと話す。「介護者支援で大切なことは、必ず悩みを抱えている人がいると考える想像力と信頼関係をつくるために関わり続ける継続力。直接会えない状況でも今自分ができる方法でつながりを絶やさないようにしたい」とし、オンラインだけでなく、手紙や電話など、それぞれの人にあった方法で関係を維持できるように取り組んでいくという。

カフェの問い合わせ、申し込みは同寺にメールで。

介護者カフェ

(7月21日に行われたオンラインでの介護者カフェの様子。中央上が下村師。
介護者カフェの活動をしている他の僧侶も参加し、悩みや不安を傾聴した)

身近な寺院 避難所に

長野市7カ寺が市と協定

長野市内の浄土宗寺院7カ寺が、災害時に寺院をお年寄りなど配慮が必要な市民が避難できる「2次避難所」として開放することを決め、7月17日、市と協定を取り交わした。

受け入れをするのは、ぜんどう(稲里町)、おんようちょうとく(いずれも青木島町)、ぜんぽうえいしょう(いずれも真島町)、じょうねん(小島田町)、たんじょう(丹波島)。

長野市では昨年10月の台風19号で市内を流れるちくがわが氾濫、多くの市民が避難を余儀なくされた。

これら寺院の代表を務める常然寺・やまこうしゅう住職は、「7カ寺の住職で話をした際、高齢の家族がいる檀信徒や地域住民の多くの方が環境の変わる避難所での生活で苦労したと聞いたことが話題になり、寺院を支えてくださる檀信徒や地域住民のために何かできないか話しあった」と語った。

そのなか、地域住民が馴染みのある寺院に避難し、畳敷きの庫裡などで過ごすならば、ストレスの軽減にもつながるのではないかとの案があがり、市に申し出たところ、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、避難所を分散したいと考えていた市と方向性が合致、協定を結ぶこととなった。

7カ寺では今後、避難所の運営方法の詳細を市と協議するとともに、他寺院にも参加を呼びかけるという。

訪れやすい寺院を目指し

浄教寺(京都)がホテル一体の本堂を建立

京都市下京区のじょうきょうみつやまこう住職)が、寺院をホテルと一体開発してらんを再建。9月28日から宿泊客の受け入れを始める。

同寺は1171年ごろまつだに(東山区)に創建され、1591年に現在の地に移転。近年、本堂の老朽化が進んだことから檀信徒が安全に参拝しやすい環境とするため再建を決意。その際、多くの人に寺院を訪れてほしいとの思いからホテルの併設を着想、他業種との共生という点で三井不動産と考えが一致、着工となった。

地上9階地下1階建て。1階がフロントで2階から上に167の客室がある。本堂は1階部分に独立してあり通常非公開だが、宿泊者は同寺の前身・とうろうどうの創建者・たいらのしげもりの像や、たいまんなどの寺宝の拝観が可能。また、朝の勤行への参加や写経など、寺院ならではの体験も予定中だ。

問い合わせは、三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺=075(354)1131まで。

浄教寺ホテル

(浄教寺の本堂。靴を履いたままで参拝できるようになっている)

温泉街に響く 琵琶説法

箱根湯本・阿弥陀寺

日本有数の温泉街・箱根湯本温泉にある「あじさい寺」としても有名な阿弥陀寺では、同寺を訪れる人々に琵琶を使った説法を行い、注目を集めている。同寺みずけんせい住職は日本琵琶楽コンクールで優勝した実力の持ち主で、琵琶を活かした法話ができないかと思い、この「琵琶説法」を始めた。『平家物語』などの古典やご詠歌、和歌を題材に琵琶でかなで仏法を説き、説法後は手作りのマスクと巾着を授与している。

琵琶説法は要予約。参加費1000円。問い合わせは同寺=0460(85)5193まで。

水野住職

(旅行読売出版社 提供)

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