浄土宗ニュース:2020年10月

善い行い〟の実践週間に

お十夜

空気がすみ、月が夜空により映えて見える季節、各地の浄土宗寺院では、「じゅう(十夜法要)」が営まれます。

「お十夜」「十夜こう」とも呼ばれるこの法要。「十夜」とは、「じゅうにち十夜」の略で、もとは旧暦の10月5日から10日間にわたって勤める念仏でした。現在は1日から数日の期間で営む寺院が多いようです。

その由来は、浄土宗で大切にするお経の一つ『りょう寿じゅきょう』の「ぼんのうや苦しみの多いこの世界で、十日十夜の間、善い行い(ぜんぎょう)をすることは、仏の世界で千年にわたって修行するどくに勝る」との一節。

浄土宗でのはじまりは、めいおう4年(1495)。大本山こうみょうの第9世・ゆうそう上人(1426-1509)がつちかど天皇の命を受け、京都・しんにょどうさまについて説かれた『きょう』の講義をし、同寺の僧侶とともにいんぜい念仏(独特の節をつけてとなえる念仏)などを修したところ、天皇は大変感激され、光明寺で十夜会を勤める許しを与えました。それ以降光明寺をはじめ、広く浄土宗寺院で勤められるようになりました。

お十夜の由来にある「功徳」とは、「仏教的な善い行いや修行をすることで身につく特性、または善行そのもの」をいうことばです。年回法要では、お念仏をおとなえしたり、お経を読んだ功徳を差し向けることで亡くなった方の供養をしています。しかし、功徳は捧げるためだけのものではありません。

お釈迦さまは「功徳を積んだ人は、こんでも来世でも楽しくなれる」とおっしゃられました。誰かのために何かをあげたり、規則正しい生活をしたり、他人にやさしいことばをかけるなど、善い行いをしたときに、自分自身も心が軽くなったり、穏やかな気持ちになった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
 
そして、阿弥陀さまのあらゆる功徳が込められたお念仏をすることは、功徳を積む最上の行為であり、来世では極楽浄土に生まれるという楽を得ることができます。

落ち着かない日々が続くなかでも、お念仏をとなえ、あわせて善い行いをして功徳を積み、安楽な日々を過ごす。このお十夜の時期に実践してみてはいかがでしょう。

阿弥陀さまは、そのような私たちをやさしく見守り、の光で照らしてくださっているはずです。

法然上人は、私たちをつねに照らしているこの慈悲の光を〝月〟にたとえて和歌をまれたといわれています。

信頼関係の継続を

LGBT終活での不安多く 愛知・大法寺

LGBT(性的少数者)への社会的関心が高まる一方で、当事者はいまだに残る差別や偏見を恐れ、悩みや思いを打ち明けられない苦しみを抱えている。愛知県あい西さい市のだいほうでは、寺院を〝話せる場〟として活用してほしいことを伝え、一人ひとりの悩みに向き合っている。

大法寺の長谷雄れん住職(48歳)は、LGBTの人が終活のなかで感じる葬儀や埋葬に関する不安を気兼ねなく相談できる環境を整え、当事者の思いを尊重しながら弔うための活動をしている。

きっかけは5年ほど前の通夜での出来事。LGBT当事者の遺族が故人のパートナーが葬儀に参加することを拒否し、同じ墓への納骨も拒んだ。その状況を目の当たりにした長谷雄師は「法然上人はお念仏をとなえればだれでも往生でき、あらゆる立場を超えて救われるとされた。私たちが性別やLGBTを理由に弔い方を区別してはいけない」と苦言を呈した。安心して悩みを話せる場があれば当事者の意思をくみ取った弔い方ができると考え、まずは寺院が受け入れる姿勢を示す取り組みを始めた。

仏事の疑問や質問を相談できる場として定期的に開催していた「命の相談会」で、また地域のラジオ出演時に、人に言いづらいことも安心して思いをぶつけてほしいと発信し続けた。1年ほど前からは、LGBTの尊厳を象徴する虹色の旗(レインボーフラッグ)を境内に掲げ、同寺が理解者であり支援者だと一目でわかるようにした。これらの広報活動の結果、遠方から訪れる相談者が増えたという。

相談内容は、葬儀やお墓についてだけでなく、社会での生きづらさや家族にも打ち明けられない思いなど、さまざまな悩みがされているという。心の負担が少しでも軽くなるように寄り添い続ける長谷雄師は「人によって悩みは異なる。常識や自分の価値観にとらわれず、一つひとつの苦しみに真正面から向き合っていきたい」と今後への思いを語ってくれた。

長谷雄住職写真

(レインボーフラッグについて話す長谷雄師)

身近な寺院 避難所に

浄土宗 知恩院・増上寺に検温カメラを寄贈

浄土宗(かわなかこうきょう宗務総長)は、総本山知恩院(京都市東山区)と大本山増上寺(東京都港区)に、修行道場での新型コロナウイルス感染防止対策の一環として、ドーム型サーマルカメラ(赤外線検温カメラ)を寄贈した。

これは、両寺がでんしゅうでんかい道場(本宗の教師〈僧侶〉になるための最後の道場)と、しょ伝授道場(伝宗伝戒道場を受けた教師が更なる教えの真髄を授かる道場)のしょとなっており、多数の修行僧が一定期間、集団で生活することから、修行僧や本山職員・関係者が安心して修行に専念できる環境を整えることを目的としたもの。

贈呈式が、9月7日に知恩院、同18日に増上寺で行われ、川中宗務総長が知恩院・げたゆうこう執事長、増上寺・ともたつゆう執事長にサーマルカメラを手渡しした。

両本山執事長からは、「非常にありがたい。道場運営に有意義に活用したい」との謝辞があった。両本山では、感染防止のため、修行道場以外でも、各種行事で活用していくという。

浄土宗がサーマルカメラを寄贈

(増上寺での贈呈式の様子。川中宗務総長(右)から友田執事長(左)へ目録を手渡しした)

訪れやすい寺院を目指し

福井・松龍寺

「関西の奥座敷」・あわら温泉にほど近いしょうりゅう(福井県あわら市)の本堂に7月14日、花鳥風月を題材にした天井絵がお目見えした。同寺山本しんしょう住職の依頼で、檀信徒の日本画家・塩出周子さんが講師を務める日本画家愛好家グループ「ようかい」の会員ら48人と塩出さんが描いた天井絵は、60センチ四方の板に岩絵具で描かれた52点。格子状の天井には、ボタンやアジサイ、ユリなど色どり鮮やかな花が咲き誇り、檀信徒のみならず一般の参詣者にも公開している。

山本住職は、「描かれた花には描いた方それぞれの思いがつまっています。コロナ禍のなか花を見て皆に元気になってほしい。絵を通して人と人とのつながりができ、当寺でお念仏のご縁を結んでもらえば」と天井絵への思いを語った。

松龍寺天井絵写真
温泉街に響く 琵琶説法

浄土宗東京教区青年会

東京都にある浄土宗寺院の青年僧で組織する団体、浄土宗東京教区青年会(鈴木てっさい会長)が9月5日、大本山増上寺うんかくを会場に写経会を行った。僧侶20名、檀信徒83名(自宅参加者60名含む)が参加。お名号などを写経し、佐藤げん東京教区教化団長導師のもと法要を厳修した。

密を防ぐため参加人数を制限し、スタッフはマスクをした上でフェイスシールドを併用するなど、感染予防対策に万全を期した。

また、希望者には自宅で写経が行えるよう写経セットを郵送。後日、当日の模様を撮影した動画を送るなど自宅参加者にも配慮した。

参加者からは、「コロナで行事が中止になっている中、写経ができるとは思いませんでした。ありがとうございました」とお礼の手紙が届くなど好評を得た。

東京浄青写経会写真

(参加者の写経を受け取るスタッフ)

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