浄土宗ニュース:2020年12月

よろこびの想い 広がること願い

知恩院御影堂 落慶奉告法要

10月25日、京都市東山区のそうほんざんおんいんとうゆいしんもんぜき)が、同院えいどうらっけいを法然上人に伝える「こくほうえいどうらっけいこくほうよう」を勤めた。

同堂は法然上人のお像(えいぞう)をまつる知恩院の中心的らんで、江戸幕府初代将軍・徳川家康がけいちょう8年(1603)にこんりゅう。火災で一度焼失したが、3代将軍・家光が現在の形に再建した。間口45メートル、奥行き35メートル、高さ28・5メートル、総床面積では日本で5番目に大きい木造の建築物で、平成14年には国宝の指定を受けている。

今回の修復は、「法然上人800年だいおん」を記念して平成23年に着工、屋根瓦約8万5千枚のき替えをはじめ、屋根を支える骨組み、仏具やの修理を行ったほか、堂内600枚の畳も新調した。大規模修理は、家光によるかんえい16年(1639)の再建以来およそ380年ぶり。

知恩院では、落成を記念し、今年4月13日、同堂に御影像をうつす「国宝御影堂落慶せん法要」を皮切りに、今回の法要までを落慶期間として、檀信徒大会や詠唱奉納などさまざまな行事を予定していた。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、遷座法要は非公開で行い、大規模な行事も中止、本法要も参拝者の密集を避けるため、事前に特別な告知などはせずに営んだ。

当日は伊藤門跡をどうに、浄土宗や知恩院の要職者約60名が参列。伊藤門跡は、すいのなかで、御影堂の落成はお念仏をするすべての人のよろこびであると述べたうえで、「本日法要をともにした皆さまの気持ちが伝わっていくことで、世の中がよい方向に向かっていくのではないでしょうか。そこにこの法要の意義があると思っています」として話を締めくくった。

法要の間も堂内の一部は開放され、訪れた一般参拝者らが代わるがわる足を止め、御影像に向かって手を合わせていた。

御影堂の内覧会や「国宝御影堂落慶御遷座法要」の様子は動画配信サイトYouTubeの浄土宗公式チャンネルで配信中。閲覧は、「浄土宗公式チャンネル」から。

落慶奉告

ひょうびゃく(法要の趣旨)を読み上げる伊藤門跡。落慶にいたるまでの歩みを法然上人に述べられた)

御影堂外観

(御影堂外観)

扉絵に菩薩 発見

鳳凰堂創建時の来迎図か 京都・平等院

京都府宇治市の平等院(かみもんしょう住職)は10月12日、ほうおう堂創建時のものとされる東面中央扉に菩薩の図像が確認されたと発表した。自然の山々や建物、複数の菩薩が確認できたことから、「らいこう」と推測される。約1000年前の扉絵の発見に、専門家からは驚きの声があがった。
 
同院はえいしょう7年(1052)、ふじわらよりみちによって創建。翌年に鳳凰堂(阿弥陀堂)がこんりゅうされた。

絵が確認された扉は、北扉と南扉からなる2枚一組の観音開きのもの。1枚は縦約4・7メートル、横約1・6メートル。かんぶん10年(1670)に取り替えられ、同院内に残されていた。文化財指定は受けておらず、埃が堆積した状態で保管されていたため、平成30年に修理処置が行われた。

東京文化財研究所では、この機会に非破壊非接触の光学調査を実施。斜めから光を当てた写真やX線分析により、わずかな凸凹や顔料の跡を認識し、図像を捉えることができた。北扉からは建物の屋根とその直上に菩薩が少なくとも4躰、南扉は激しく破損しているが、建物や山々の稜線が確認できた。北扉・南扉ともに表面は木地が露出しており、肉眼でこの図像を確認することは難しく、今まで認識されていなかった。

来迎図とは、阿弥陀如来と菩薩が極楽往生を願う人の臨終の際に迎えに来るさまを描いたもので、浄土宗が拠りどころとする経典『かんりょう寿じゅきょう』では、九つの階位にわけられている。見つかったものは、そのなかでも最高位であるじょうぼんじょうしょうの来迎を描いたものであると想定される。

日本美術史が専門の元奈良女子大学教授・まこと氏は「上品上生を描く来迎図の現存遺品では国内最古」とその価値を評する。
神居住職は「建物すれすれに菩薩たちが滑空する様子を描いた来迎図は他に見ない。まさか平安時代のものがこれまで知られることなく残っていたとは」と驚きを語った。

鳳凰堂扉

(左は平等院鳳凰堂の旧東面中央扉から見つかった絵の写真(一部)。右は発見された扉絵の調査画像をもとに描かれた来迎図のイメージ図(金沢美術工芸大学・荒木恵信准教授作)。イメージ図で合掌する菩薩は勢至菩薩ではないかと推測されている(写真下))

紅葉と鳳凰堂

(創建時の写真中央にある扉から菩薩が発見された)

鬼滅ファンの〝恋の聖地〟 に

自治体と協同して地域おこし 和歌山・甘露寺

和歌山県紀の川市のかんやましたほうがん住職)が自治体と連携して、現在劇場版アニメが記録的大ヒットとなっている人気漫画『めつやいば』のファンに向けて行っているPR企画が注目を集めている。
 
これは、作中で「こいばしら」の肩書をもつ登場人物の女性剣士「かんみつ」の名字と寺名が同じことから、同作ファンが「恋の聖地」として、同寺や同地の和歌山でんてつがわ線「甘露寺前駅」に、訪れるようになったことを受けたもの。

同市は、観光客に楽しんでもらおうと同寺や地域と協同し、「かんろじまえのひ・み・つ」というPR企画を推進。

その中、甘露寺では、本堂前に撮影背景となる特製雨戸(写真左下)を設け、コスプレーヤーファンのために更衣室を近隣のコミュニティセンターに設置したほか、「南無阿弥陀仏」の字画の末端を剣のように鋭くして悪縁を断ち切るような書体で書かれた「けんみょうごう御朱印札」なども用意。境内には手でちぎろうとしても裂けない葉がつく「なぎの木」も。同木は古来より縁結びの木と知られている。

山下住職は「地域おこしにお寺も協力したいと思いました。これをきっかけに多くの人にお寺に足を運んでほしいですね。特に若い人がお寺に訪れる機会になれば」と話す。

地域PRを企画した、同市地域創生課・みね氏は「この企画をきっかけに甘露寺周辺を散策してくれたらうれしいです」とその狙いを語った。

同地には、休日になると200人以上が訪れるという。

企画の詳細は、HP(外部サイト)から。

【参拝情報】

雨戸の展示期間 公開中~12月13日(日)月休
展示時間 10:00〜16:00
御朱印 冥加料300円
更衣室 西貴志コミュニティセンター
※更衣室は事前予約が必要。問い合わせは紀の川市地域創生課(0736-77-2511)まで
8人のコスプレーヤー

(登場キャラクターに扮した8人のコスプレーヤーが甘露寺に訪れ、撮影を楽しんだ(和歌山経済新聞 令和2年10月28日掲載))

御朱印

(御朱印は境内の桜とイチョウを模した色鮮やかなデザイン)

新礼拝堂 落慶

学び、集える場に 大正大学

東京都豊島区にある浄土宗宗立学校の大正大学(髙橋しゅうゆう学長)では、今年9月にらいはい堂の建て替え工事が完了したことを祝し、11月5日にらっけい式を行った。
 
新礼拝堂は礼拝施設だけでなく、図書館や学生の自主学習を支援する日本最大規模のラーニングコモンズを整備した地上4階建て。内装の一部には、東日本大震災の復興支援の一環として、宮城県南三陸町産の杉が使用された。

同大学は令和8年に創立100周年を迎えるにあたり、より良い学修環境の創出を目指した教育改革を策定。この施設を中心に改革が進められる。

落慶式は髙橋学長を導師に行われ、大学関係者や宮城県南三陸町の佐藤じん町長らが出席。

同大学の岡本せんじょう理事長は「教育改革の象徴となるこの施設で、学びや出会いを広げてもらえれば」と新たな学び場へ期待を寄せた。

大正大学の新礼拝堂
在日ベトナム人に生活支援米を

コロナ禍で困窮する外国人労働者を支援 福島・善導寺

福島県郡山市の善導寺(中村りゅうびん住職)が、コロナ禍で外国人労働者の生活が経済的に不安定になっている現状の支援として、10月18日に在福島県ベトナム人協会と協同し、同県に居住するベトナム人に生活支援米を配布した。
 
当日は、同国留学生や社会人約60人が参加。県外からも、全国でベトナム人の支援活動を行う同国女性僧侶・ティックタムチー尼や、社会慈業委員会ひとさじの会の吉水がくげん師(東京・光照院住職)も応援に駆けつけた。タム・チー尼による励ましの言葉のあと、支援米を受け取った参加者は感謝を込めベトナム語で「ふぁ」ととなえ、その声が堂内に響きわたった。

在福島県ベトナム人協会会長の澤上チャンさんは、「現在、外国人労働者を取り巻く環境は厳しく、食事すら満足にできないこともあります。そのなか、僧侶の方からの支援をうれしく思います」とその胸中を語った。

贈呈式の様子

(贈呈式の様子。左より中村副住職、中村住職、タム・チー尼、在福島県ベトナム人協会の代表方)

支援米約800キロ

(教区内寺院、青年会、寺庭婦人会などから支援米約800キロが寄せられた)

江戸時代の音色 本堂に響く

新型コロナウイルス終息を願い 富山・大楽寺

富山県みず市にあるだいらく寺(田村せいげん住職)で、11月9日、新型コロナウイルス感染症の終息を願って、江戸時代の仏具を使用した即興演奏会が開かれた。
 
以前から、同寺に所蔵する歴史ある仏具を奏でてほしいと考えていた田村住職。その演奏者を探していたところ、石川県金沢市を中心に音楽活動を行っている岩田典子氏と出会い、岩田氏がその想いに賛同。今回の開催につながった。
 
演奏に使用されたのは、江戸時代に制作されたしょう(円形青銅の楽器)、けいりん)、はち(西洋楽器のシンバルに似た打楽器)、木魚などを中心とした仏具約40点。
 
絶対音感を持つ岩田氏は、仏具の音を即興で重ね合わせ、本堂に幻想的な音色を響き渡らせた。
 
演奏会には約30名の檀信徒が出席。「200年以上前の音が心に染み入るようだ」と、その音色に酔いしれていた。
 
田村住職は、仏具の響きが重なり合った音色を「いちおんいちだいらくらいさんさんまんだら」と名付け、長年の構想が実現できたことを喜んだ。

演奏する岩田氏

(演奏する岩田氏。仏具の響きを聞き分け、音を重ねていく)

熱血和尚と子どもたちのふれあい

故・廣中邦充師 ドキュメンタリーがATP賞

生涯で800人に及ぶ少年少女の更生に尽力した、愛知・西さいきょういん前住職ひろなかほうじゅう師(1950―2019)を取り上げたドキュメンタリー『ザ・ノンフィクション特別編 おじさん、ありがとう~子どもたちへ…熱血和尚の遺言』(BSフジ)が、「第36回ATP(全日本テレビ番組製作社連盟)賞テレビグランプリ」で、グランプリを獲得した。
 
ATP賞は、テレビ番組製作会社のスタッフが審査員となる日本唯一の賞で、毎年100本を超える応募作品の中からもっとも優れたテレビ作品がグランプリとなる。
 
廣中師は、30年にわたり非行や虐待、いじめなどで親元で暮らせない子どもの社会復帰に尽力した僧侶。番組では、同師を12年間取材し、「熱血和尚シリーズ」として、同師と子どもたちの心のふれあいを放送してきた。

廣中邦充師 ドキュメンタリー

(廣中師は、肺がんに冒されながらも、最後まで子どもたちに寄り添った)

800年ぶりに古式法要を厳修

三十三間堂

10月3日、京都市東山区の三十三間堂(天台宗れんおういん)で、同堂に祀られる「もくぞうせんじゅかんのんりゅうぞう」の国宝指定を記念するけいさん法要が行われた。これに合わせ、同院を創建した後白河法皇ゆかりの法要「じょうさんきょうにょほうきょうだい」を要約したものが、浄土宗しょうみょう研究会の伊藤しょうほう代表(京都市・ほうでん)ら6名と天台宗僧侶4名により800年ぶりに勤められた。
 
この法要は、げんきゅう元年(1204)、法皇の13回忌に、同院で法然上人が「浄土三部経」を書写し、「ろくらいさん」をとなえるなどして法皇の供養を行ったとの記録をもとに再現したもの。

伊藤代表は、「本来伝わっていくべき法然上人ゆかりの法要を復元できたことはありがたい」と心情を述べた。

六時礼讃
浄土宗人権アピールロゴが完成
浄土宗は、平成13年に浄土宗人権アピール(「あなたとわたし ちがうからステキ 出会えてよかった あなたのいのち わたしのいのち」)を発表しているが、令和3年で20周年となることから、さらに宗内外に広くアピールすることを目的に、ロゴマークを作成した。今後、このロゴマークをあしらった人権啓発グッズや冊子などを製作していく。

浄土宗人権アピールロゴ

(デザインは、人と人とのつながりをイメージしている)

ページのトップへ戻る