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東日本大震災から10年 生きた証 半紙に記す

2021年03月01日

荘厳寺本堂の壁一面を埋める犠牲者氏名を見つめる髙橋住職。名簿のことを知り、同寺を訪れる遺族もいるという。名簿や追悼供養についての問い合わせは、荘厳寺=0192(55)4235まで(写真提供=毎日新聞社)

岩手・荘厳寺

岩手県陸前高田市にある荘厳寺(しょうごんじ)の本堂には、壁㆒面に髙橋月麿(げつろ)住職(74歳)が筆で書いた東日本大震災犠牲者の名前が並ぶ。それぞれの境遇を思いながら筆を執り続ける髙橋住職は、「犠牲になった方の“生きていた証”を残し、寺が続く限り供養し続けたい」と語る。

死者・行方不明者を含め1万8426人(警察庁令和2年12月10日発表)が犠牲となった東日本大震災から10年。震災後に生まれた子どもが小学生となり、当時を知らない世代も増えるなか、荘厳寺の髙橋住職は、震災犠牲者の氏名と当時の年齢を半紙につづって本堂に掲示し、供養を続けている。

髙橋住職はもともと青森県八戸(はちのへ)市出身。先代住職の三宮憲定(さんのみやけんじょう)師と縁があり、令和元年4月から同寺の手伝いをしていた。

檀家や地域の人と関わるなかで、震災当時の話を聞き、被害の甚大さを思い知らされるとともに、その傷が深く残っていると感じた。僧侶として何をするべきかと熟慮し、犠牲者の生きた証を残そうと、同7月から氏名を毛筆でつづり始めた。

震災記録誌やインターネットなどで氏名を調べ、1枚の半紙に13名ずつ書き進めた。なかには家族と思われる同じ名字の人たちや、若い母親と0歳の子どもの名前もあり、何度も筆が止まったという。

陸前高田に移住し、昨年4月に同寺住職となった髙橋師は8月、亡くなった人に思いをはせる場所になればと、1年以上書き続けた半紙を本堂に掲げることにした。

「私たちにできることは、亡くなった方を思い続けること。ここで名前を見て、その方と過ごした日々を思い出してほしい」と語る髙橋住職。訪れた人が、亡くなった方との思い出を語ってくれることが何よりもうれしいという。

毎月11日の月命日(つきめいにち)には、半紙に書いた犠牲者全員の名を一人ずつ読み上げて法要を営み、震災発生時刻の午後2時46分に梵鐘(ぼんしょう)を鳴らしている。10年目を迎える今年の3月11日は、半紙に書いた岩手県内の犠牲者約4800名の氏名を読み上げ、追悼供養を行うという。

髙橋住職は、「13回忌までに犠牲者全員の名簿を本堂に掲げ、供養できるようにしたい」と思いを語った。

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