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連載・特集

ひたすらに まっすぐに

2021年03月01日

新型コロナウイルス感染症への懸念が続いています。連日テレビをつければ日々の感染者数や、専門家と呼ばれる人たちが示すさまざまな対策や助言。ネットでは多くの匿名の書き込み。いつまで続くかわからない自粛生活で心が折れそうになります。

昨年から続く現状を振り返ったとき、私は善導大師(ぜんどうだいし)が説いた「二河白道(にがびゃくどう)の譬(たと)え」を思い出しました。善導大師とは、法然上人が師と崇めた中国唐時代の僧侶。「二河白道の譬え」とは、善導大師が自著『観無量寿経疏(かんむりょうじゅきょうしょ)』で説いた、いわば念仏信者の「生き方」を物語にして譬えたものです。

その物語は、ある旅人が西へ、果てしない旅に出ることからはじまります。突然旅人の目前に、激しく燃え上がる炎の河と激流が渦巻く水の河の二つの大河が現れます。底は深く、あまりにも広大なため向こう岸も見えず、旅人は引き返そうとしました。すると命を狙う盗賊や猛獣が追いかけてきて、旅人を襲おうとしました。

旅人は大河の方へ逃げると、二つの大河の間に細いながらも輝く白い道を見つけます。しかし、渡るには困難そうな道で、旅人は立ちすくんでしまいます。そのとき、後方から「決心してこの道を進みなさい」と後押しする声が聞こえ、向こう岸からは、呼応するように「私が守りますから一心にこちらにおいでなさい」という優しい声が聞こえました。旅人は、その声を信じて白い道を渡り、極楽浄土に辿り着いたというお話です。

旅人=私たち、旅人を後押しする声=お釈迦さま、旅人を呼ぶ声=阿弥陀さま、盗賊・猛獣がいる世界(此岸(しがん))=娑婆(しゃば)世界、向こう岸(彼岸(ひがん))=極楽浄土を表していて、私たちがお釈迦さまの説かれたお念仏の教えに基づいた人生をまっすぐに歩めば、必ず阿弥陀さまの極楽浄土に往生できることを示したものです。

コロナ禍で困惑する私たちにも通ずることだと思います。確たる信念を持ち、冷静に情報を見極め、誘惑や間違った情報に惑わされないことは、「二河白道の譬え」のように良い結果につながることでしょう。

3月には春のお彼岸があります。極楽浄土にいらっしゃる阿弥陀さま、ご先祖さま方に日々の感謝の気持ちを向け、お念仏をおとなえしましょう。

(東京都台東区 真行院 飯島正起)

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