俳壇・歌壇

令和3年6月

浄土歌壇

堀部知子 選
投歌総数125首

彼岸だよ松の根方のカタクリが告げてくれたり先祖敬う群馬 新井日出子
初句の語りかける呼びかけから、結句の「先祖敬う」への導きに、作者の力量を思い知らされた。
福岡の娘のアパート訪ねては掃除洗濯炊事片付け福岡 上野 明
父上の奮闘ぶりが目に見えるように下句では詠われており、娘さんだから、奮闘できるのでしょうね。
会うことは叶わぬままに月日たち孫は進学す高校一年大阪 安藤知明
まさに「歳月は人を待たず」で、会うことが叶わないだけに、作者の感慨はひとしおでしょう。
今一度造幣局の通り抜けの八重桜見たし九十になりて愛知 三澤貞子
久久に深夜便つけサブやんの演歌に合わせ頭で唄う栃木 小峰新平
気忙しき合間をみつけ投稿を済ませ憩いぬ安らぎの刻滋賀 中村ちゑ
学ぶ日を鉄路二時間通い来て点字読む児の指の素早さ秋田 鈴木修一
手を合わせ祈るがごとき木蓮の蕾ふっくら開花も間近神奈川 内田陽子
待ちわびし校庭の梅咲き初めて少年野球の声響きたり宮崎 小野加子
添書きの友の優しさ身に染みて感謝感謝と呟きにけり青森 中田瑞穂
お寺に行き写経をするに墨の匂いお経の響きにまた来月も大阪 林 孝夫
猪は土より出たる筍は味が悪いとグルメな獣奈良 中村宗一
田起しの堰を流るる水光りハウスの苗は青あおと待つ千葉 林 元子
老いの目に涙ひと筋流れたり十年過ぎし東北の海長崎 吉田耕一
若葉透き彩る背後の青空と微風の戯れ老いの目癒す宮城 曽根 務
添削元歌の上句「透ける若葉と背後彩る青空に」

浄土俳壇

坪内稔典 選
投句総数206句

メモになきふきのとうなど買い足して群馬 木村住子
「メモになき」がいいなあ。ずれる、あるいははみ出すこと、それが日々を楽しくする。
あんパンのすきまに春の空気感大阪 津川トシノ
春の空気が隙間にある頃、あんパンが一番うまい。トシノさん、あんパン同盟を結ぼうか。
ツバメ来て見守り隊に名乗り出る奈良 中村宗一
この積極性に共感。私は目下、道端の草にしゃがみこみ、道端の草観察隊を妻とやっています。
食卓に陽ざしの香る春キャベツ東京 津田 隆
牛糞の暖か我にやんわりと佐賀 織田尚子
言葉遅き孫の差し出す春の土埼玉 山本 明
立山連峰どこまでも白と青富山 村井千波
デイケアへ行く妻の背や花の冷え神奈川 藤岡一彌
春宵や玉子一個を分ち合ひ大阪 大内純子
出控への庭隅に摘む蕗の薹岩手 佐々木敦子
山の端のふんわり丸く春の夕長崎 平田照子
お出迎え玄関先の君子蘭秋田 諸澤美佐子
あいづちを打ってくれそう黄水仙兵庫 堀毛美代子
春雷の鳴りはじめたり境界線島根 出川武範
今日も行く新タマネギに追い肥を大阪 橘ミヨ子
畦道の踏むほかはなきつくしかな愛知 横井真人
春一番小石乗せ置く回覧板兵庫 小野山多津子
好きだった仏に二つ桜餅福岡 古賀幸子
本堂の真上に浮かぶ春の月和歌山 福井浄堂
春の宵たまご豆腐のぷるんかな東京 山崎洋子
健やかに面々zoomで春彼岸アメリカ 生地公男
草餅屋ここが始点の旧街道大阪 岡崎 勲
添削「旧街道ここが始点の草餅屋」が原句。語順をかえて草餅屋をクローズアップした。

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