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布施の修行 お施餓鬼(せがき)

2021年07月01日

托鉢する東南アジアの僧侶。托鉢は僧侶の修行だけでなく、お布施をする人にとっても功徳を積むための大切な修行とされる geargodz/ PIXTA(ピクスタ)

7月、8月は全国的に「お盆」が勤められます。この時期にお盆とならび、多くの宗派で行われている法要に「お施餓鬼(せがき)(施餓鬼会)」があります。

仏教には、「あらゆる存在は行いによって6種の世界に生まれ変わりを繰り返す(輪廻(りんね))」という考えがあります。餓鬼の世界はその一つ。そこに生まれたものは、飲食をしようとするたび、それらが炎と化してのどに通らず、常に飢(う)えと渇(かわ)きに苦しむとされます。

お施餓鬼は、文字通りこの世界に住む餓鬼に施しをする法要で、その由来は『救抜焰口餓鬼陀羅尼経(ぐばつえんくがきだらにきょう)』というお経に説かれています。

—あるときお釈迦さまの弟子の一人、阿難尊者(あなんそんじゃ)が瞑想修行をしていると、焰口(えんく)餓鬼という餓鬼が現れ「お前の命はあと3日だ。生き長らえたければすべての餓鬼に食べ物や飲み物を施せ。できなければ、我々のように餓鬼の世界に生まれ変わる」と告げました。

驚いた阿難はすぐにお釈迦さまのもとへ行き、どうしたらよいか尋ねます。すると「仏とその教えと教えを信じる人々を供養しなさい。また少量のお供えでも無限に変じる呪文とその作法を授けます。それを行えば、餓鬼は飢えから逃れ、あなたの命も助かるであろう」と説かれました。阿難がその通りにすると餓鬼たちは救われ、阿難の命も長らえたと伝わります。

では、なぜ私たちはお施餓鬼を勤めるのでしょうか。

お念仏の教えに出会い、念仏行(ぎょう)を実践したご先祖さまは間違いなく阿弥陀さまのお導きによって極楽浄土に往生(おうじょう)されています。その一方で、お念仏に出会えなかったものは、餓鬼の世界に生まれ変わっているかもしれません。

浄土宗のお施餓鬼は、そのような方々とお念仏との縁を繋(つな)ぎ、極楽浄土に往生してもらうため、そして、餓鬼を供養することによって得られる功徳(くどく)を、極楽浄土にいるご先祖さまや大切な方に振り向けるためといえます。

また、私たちがお施餓鬼を勤めることは、〝布施(ふせ)の修行〟ともいえます。

一般的に「布施」というと、お寺や僧侶に対するいわゆる「お布施」を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、本来は人のために、自分にできる行為、あるいは物などを施す行いで、仏教が大切とする実践の一つです。

つまり布施をすることは言い換えれば、他を生かし(利他(りた))、自らを育む(自利(じり))〝思いやり〟の気持ちを育むことです。

菩提寺(ぼだいじ)のお施餓鬼の際には、ご先祖さまへの供養の思い、そして布施をすることの意味を心に掛けつつ、是非足をお運びください。

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