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『法然上人行状絵図』
学際的研究の成果発表としてフォーラムを開催!!

『法然上人行状絵図(知恩院蔵)』を色々な視点で見てみよう

平成23年7月2日(土)、総本山知恩院の和順会館を会場に、“国宝『法然上人行状絵図』フォーラム(主催:浄土宗/共催:京都新聞社/後援:総本山知恩院、京都府、京都市)”を開催しました。

会場の様子会場の様子。3月から7月に延期となったものの参加者でいっぱいになりました。
会場の様子会場の様子。
総括で取り上げた「吉水に庵を結ぶ図」の拡大出力紙をロビーで展示しました。総括で取り上げた「吉水に庵を結ぶ図」の拡大出力紙をロビーで展示しました。

本フォーラムは、大遠忌記念事業の“『法然上人行状絵図』デジタル化”が終了し、そのデータ活用の一環として、法然上人の伝記や教学的研究のみならず、平安・鎌倉期当時の歴史や社会がどういうものだったのかをひもとこうと、平成21年9月から、その高精細データを用いて原寸16倍に拡大した出力紙を使用して研究会を実施、その成果発表の場として企画したものです。

当日は、一般の方を中心に約200名に来場いただき、『行状絵図』への関心の高さがうかがえるフォーラムとなりました。

第一部では、研究会に参加した「浄土学」「絵画」「建築史」「仏教説話」「染織史」「中世史」を研究している6 名の先生から、それぞれ研究の成果を発表していただきました。

その後、第二部の総括では、引き続き6名の先生に登壇いただき、『行状絵図』から「立宗-吉水に庵を結ぶ」場面を取り上げ、コーディネーターの栗田順一さん(宗祖法然上人800年大遠忌事務局)の進行で、これまで実施してきた研究会の様子を再現。

栗田さんから、「ここに描かれている庵は今の知恩院のどの辺にあたるのか」「この建物は新たに建てられたのか、移築されたのか」「なぜ、部屋の周りにだけ畳が敷かれていて、中央は板敷きなのか」「たくさんの人が描かれているが、身につけているもので身分がわかるものなのか」「たわしのようなものを履いている人がいるがこれは何なのか」「尼さん姿の方も見てとれるが、当時の女性の出家はどういうものだったのか」などの質問に対して、各分野の先生がそれぞれ意見やコメントを発表する中で、参加者の方々は熱心に耳を傾けていました。時に関心の声や笑いが起こるなど、終始和やかな雰囲気のもとで進み、フォーラムは盛会に終わりました。

中井眞孝さん

研究発表 1

浄土学/『法然上人行状絵図』の浄土宗の位置づけ
佛教大学歴史学部教授 中井眞孝さん

要旨:法然上人の伝記が数多くある中で、その中の一つである『行状絵図』がどういうものであるか、また、その歴史的な位置づけについて研究発表がなされた。発表の中で、法然上人の伝記として、『本朝祖師伝記絵詞』『法然上人伝』『法然上人伝絵詞』『法然聖人絵』『拾遺古徳伝絵詞』『行状絵図』の諸本の成立経緯と特徴を紹介。さらに、諸本に見られる「二祖対面」「頭光踏蓮」の場面をスクリーンに映しながら、その場面の宗史的意味が説明されるとともに、絵の描写の比較や記述の違いが紹介された。

若杉準治さん

研究発表 2

絵 画/『法然上人行状絵図』の絵画様式
京都国立博物館名誉館員 若杉準治さん

要旨:平安時代後期に成立した代表的な絵巻である「源氏物語」「信貴山縁起」「伴大納言絵巻」の描写の違いから、当時、風景の現実感を重視して合理的な景観を描く画家の系譜と、物語の内容を忠実に叙述するために視点を近くとって、人物の行為中心に描く画家の系譜があったこと、『行状絵図』はそのどちらの画風も混在して見られることから、当時の画家が総動員されて製作されたことがうかがえ、鎌倉後期の画壇の状況を知る格好の資料であることが発表された。

川本重雄さん

研究発表 3

建築史/『法然上人行状絵図』に見る建築表現
京都女子大学・京都女子大学短期大学部学長 川本重雄さん

要旨:『行状絵図』から、法然上人の生家や住坊、貴族の家、院の御所などが描かれた場面をスクリーンに映しながら、当時の建築様式や『行状絵図』に見られる特徴について説明がなされた。『行状絵図』は法然上人が亡くなって100年後に描かれていることに言及しながらも、描かれている柱や襖の数、畳の数などから、空間の使い方として「書院造」の特徴が見られ、法然上人在世の時代は、ちょうど「寝殿造」から「書院造」へと家の建築方法が変わっていく過渡期であったことが紹介された。

新間水緒さん

研究発表 4

仏教説話/仏教説話から見た『法然上人行状絵図』
花園大学文学部教授 新間水緒さん

要旨:仏教説話とは、仏教の思想や信仰、高僧の逸話を記したもの。『行状絵図』には、お釈迦様の仏伝や他の高僧伝と比べて、「法難」と「弟子列伝」が記載されていることに特徴があると述べられた。その後、法然上人の「誕生」「往生」の場面に見られる奇瑞の記述や、当時、後生を不安に感じていた漁師や遊女の教化の場面に、その仏教説話的要素が見られることが紹介され、『行状絵図』に独自の手法で仏教説話が取り込まれていると締めくくられた。

山川 曉さん

研究発表 5

染織史/絵画が伝える中世の染織
京都国立博物館学芸部主任研究員 山川 曉さん

要旨:はじめに寺社に現存する鎌倉期の衣服(袈裟・舞楽装束)をスクリーンに写され、その特徴が紹介された。その後、『行状絵図』等の絵巻に見られる衣服の特徴として、当時は衣服の中心が「水干(すいかん)」から「直垂(ひたたれ)」に移行する過渡期であったこと、そして、絵画から「織文様」「繍文様(刺繍)」「染文様」「描絵文様」の染織技法が見られることを紹介。浄土宗の法衣の話では、「頭光踏蓮」「往生」の場面から、法然上人は半素絹の衣を召していて、他の場面に描かれている比叡山の僧侶の衣と形が変わらないこと、そして他の文献も引用しながら、その後、浄土宗の法衣は禅宗系の要素が取り入れられていったのではないかと発表。

平 雅行さん

研究発表 6

中世史/『法然上人行状絵図』と建永の法難
大阪大学文学研究科教授 平 雅行さん

要旨:歴史学の視点により、『行状絵図』から特に“建永の法難”の記述を検証し、信憑性が高いことが発表された。四国流罪を命じる太政官符(当時の公文書)が発布された年とそこに記載されている責任者の官位、さらに当時のことが詳述されている日記『明月記』や史論書『愚管抄』の記述に整合性があることを指摘。さらに、法難時に上人に帰依した九条兼実の配慮とその遺志が見られることが紹介され、四国に流罪が決定したときには、流罪を命じた後鳥羽上皇に穏便な処置を要請し、自らの知行国である土佐で保護しようとしたこと、異母弟(妙香院法印=尊忠)がいる勝尾寺で逗留されたこと、滅後に法然上人の廟堂が破却されたときに、信空上人が妙香院僧正(良快=兼実の息子)と改葬について協議していることなどを挙げ、浄土宗やその後の念仏の教えの存続に大きな影響を及ぼしたことが紹介された。


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