仏事まめ知識 ~ お寺の参拝作法

あらためて知っておきたい

参拝の仕方

いざお参りの時になると「作法はどうするのかなぁ」と、まわりの人をキョロキョロ…。作法ばかりを気にしていてはお寺が本来持つ祈りの空間、静かな時間を味わうことはできません。改めて作法をおさえ、ご本尊さま、そして自分自身と向き合う時間にしてください。

監修:山本 晴雄 (やまもと せいゆう)

1963年東京都生まれ。
浄土宗一級ほっしき教師。大正大学非常勤講師。増上寺式師会、雅楽会に所属。法式(法要儀式に関するきまり)の指導者として僧侶の養成に携わる。東京都港区・西光寺住職

おさえておきたい4つの基本

1. 山に着いたら

多くの寺院には山門(三門)や門構えがあります。いわば人さまの家の玄関にあたります。ここから先の境内は仏さまのいらっしゃる清らかな場所、お住まいになるわけですから、門に着いたら、「お邪魔します」の気持ちで手を合わせ、一礼してから入りましょう。

2. ちょうでは

手水舎と呼ばれる、心身を清めるための場所を境内に設けている寺院もあります。作法の手順を覚えて、清めてからお参りしましょう。

  1. 右手でしゃくを取って水を汲み、まず左手を洗い清めます。
  2. 柄杓を左手に持ちかえ、1. 同様右手を洗い、清めます。
  3. 柄杓をもう一度右手に持ちかえ、左手に水を少量ため、口をすすぎます。直接、柄杓を口につけるのはいけません。
  4. もう一度、柄杓で水を汲み、両手で持ち、柄杓を手前に傾けて柄を洗います。

水が竜の口から出ていることが多いのは、竜が水を司る神さまと考えられているからです。

3. ご本尊へお参り

準備が整ったら、いよいよ参拝。本堂前に着いたら、改めて背筋を伸ばして合掌し、「お参りさせていただきます」の心持ちで軽く頭を下げましょう。堂内に入れる場合は、ご本尊さまの正面に向かい、姿勢を正し、合掌します。合掌の仕方は次の通りです。

  1. 指と指の間をつけて伸ばし、右手と左手の空間をあけず両手をぴったり合わせます。
  2. 胸の前でこぶし1つ分あけ、斜め45度の角度に。お数珠があれば、両親指にかけましょう。
  3. 最後に姿勢を正し、脇を閉じます。そして心を込めて「ぶつ」と10回お念仏をおとなえします。

【お十念のとなえ方】

「ナムアミダブ」と8回となえ、9回目に「ナムアミダブツ」の「ツ」を入れます。最後は「ナームアミダーブー」と少し語間を伸ばしてとなえます。8回まで一息ではきついときは、「ナムアミダブ」を4回、一息入れてまた4回、9回目と最後は上記と同じようにとなえます。

4. お焼香の作法

お寺によってはお焼香ができることもあります。自らを清め、心を落ち着かせる思いでお焼香をしましょう。

  1. 合掌し、ご本尊さまを見つめ一呼吸。右手の親指・人差し指・中指の3指でお香をつまみます。
  2. つまんだまま右手を裏返し、左手をひたい右手の下に添え、額のあたりまでそのまま持ち上げます(写真❶)
  3. おもむろに炭にくべます。(写真❷)
  4. 合掌して軽く頭を下げます(写真❸)。回数に厳密な決まりはありませんが、次のような意味があるとされます。
    1. 1回は一心に供養する心を表す。
    2. 2回は行いを律し、心を静めることを表す。
    3. 3回はむさぼり、怒り、愚かさの3つの煩悩を消滅させる。
      浄土宗で唱える「こう」という経文には「身心がきよらかに、穏やかになるようお香を焚き、あらゆる仏さまを供養いたします」との意味が込められています。参拝の折には、お焼香をして心を整え、静かに仏さまと向き合ってください。

*お参りの方が多い場合は、真心を込めて一度だけするとよいでしょう

自分と向き合う時間・空間

きらびやかなてんがい、静かにともるとうみょう、穏やかなまなざしの阿弥陀さま…。お寺の本堂に入ると、不思議と心が落ち着く——。そんな経験はありませんか?

本堂内のしつらえは阿弥陀さまがいらっしゃる、極楽浄土の世界を表しています。

「我が名前を呼ぶ者は必ず救いとる。」

阿弥陀さまはそう誓ってくださっています。その“我が名を呼ぶ”ことが「南無阿弥陀仏」とお念仏をとなえること。「南無」は「 」を意味し、「どうか阿弥陀さまお願いします」と自身の往生、亡き方の安寧を心から願うのです。

お念仏はいつでも、どこでもできる行です。しかし仕事や家事など日々の生活に追われ、ついつい怠ってしまいがち。だからこそ時に、日常の喧騒を離れ、本堂という異空間のなかで手を合わせることが大切なのです。

静かに、ゆっくりと——。自分と向き合う時間を大切にしてください。

撮影協力:大本山増上寺

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