今月の言葉

2024年8月:墓掃除 清められるのは私

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墓掃除 清められるのは私

Cleaning Your family’s grave will make your spirit lighter.

小学生や中学生のとき、本人であれば生徒全員で学校の割り当りあてられた場所の掃除を、当たり前のように義務として行ってきたと思います。しかし、実は世界的に見ると日本のように生徒が学校の掃除をする国は多くありません。

例えば、欧米では大部分の学校で清掃員が掃除を行っています。これは掃除を清掃員に任せることで学生が勉強に集中できるという考え方に基づいており、学生が学校を掃除するべきであるという考え方は主流ではありません。そのため、ゴミが落ちていてもそれは清掃員が拾うべきで自分たちが拾うべきではないと考える生徒も多いようです。

一方、日本人は学生時代から掃除を当たり前のように行ってきているためか、大人になってからも公共の場をきれいに清潔に保とうという意識があり、自分たちが使った場所は自分たちで掃除をしようという意識も自然と備わっています。

数年前、サッカーの国際大会で選手たちを応援していた日本人のサポーターがスタジアムのゴミ拾いをしたり、試合をしていた日本の選手たちも更衣室を掃除していたことが報道されると、世界的に賞賛され、注目を浴びました。掃除は世界に誇れる日本文化の一つと言えるでしょう。

私たち僧侶においても、掃除は非常に大切にされてきました。僧侶の生活は、「一掃除、二勤行、三学問」といわれ、何よりもまず掃除を優先すべきであると伝えられています。掃除をすると、汚れた場所がきれいになるのは当然ですが、掃除には掃除をしている人の心を磨き、清める効果があります。掃除をしていないと場が汚れ、乱れてくる。それがそのまま、心の汚れや乱れとなって現れます。場や心が汚れ、乱れたままでは成すべき事に注力することは難しくなります。ですから、まず事を成す前に、掃除をして場と心を清めることが僧侶の生活では最も優先されているのです。

8月はお盆の時期です、古来、お盆は極楽浄土から先立たれた私たちのご先祖さまがこの世に還って来られる期間と伝えられます。お盆期間中には是非、お墓の掃除に出掛けましょう。掃除をして清められるのはお墓だけではありませんから。

(富山県魚津市 大泉寺 林秀峰)