2021年12月:見上げる空に仏のひかり
あっという間に12月、皆さまにとって、今年はどんな一年でしたでしょうか?
私はコロナ禍の中で新しい趣味を始めました。それは写真を撮ること。カメラ片手にあちこち歩いてみると、いつもの街並みが少し変わって見えました。よく見たらお洒落な街灯、夕方の時間の美しさ、知っているようで知らなかった花の名前。見方を変えてみたら人生に彩りが増えた気がします。
「今夜はスーパームーン」とニュースで聞いたある夜のこと。寒空の下で月を撮影をする中、ふと「月っていつからあるんだろう?」と疑問に思い、調べてみると、なんと約45億年前に誕生したそうです。月が45億年も前からずっと私たちのことを照らしてくれているのと同じように、実は遙か昔から月の光のように、どこにいても慈悲の心で照らして見守ってくれている仏さまがいます。それが阿弥陀さまです。
慈悲とは、「慈」には苦しみを抜いてあげたいと願う「抜苦」という意味が、「悲」には楽しみを与えてあげたいと願う「与楽」という意味があり、合わせて「慈悲」と言います。
これを例えれば、それは子育てです。子どもが体調を崩した時、なんとかその苦しみを抜いてあげたいと願うのが親としての「慈」の心、子どもの好きな食べ物を用意して楽しみを与えてあげたいと願うのが「悲」の心といえるでしょう。
阿弥陀さまは、まさに子どもを思う親のような、慈悲深い心で私たちのことを照らしてくれ、そして南無阿弥陀仏とそのお名前を呼ぶ全ての人びとを、極楽浄土へと導いて下さる。そんな優しい月の光のような仏さまです。目には見えないけれど、私たちが思いを寄せて南無阿弥陀仏ととなえると、この世と極楽浄土でいつも繋がることができる。それがお念仏の教えです。コロナ禍で目には見えないものに恐怖を抱くことも多い今ですが、目には見えない極楽浄土の世界に思いを寄せて、今を生きるための安心感をいただきながらお念仏をおとなえいたしましょう。
「見上げる空に仏のひかり」このように思えると、今まで当たり前のように見ていた月がほんの少し特別なものに見えてくることでしょう。見方を変えてみると人生に彩りが増えるのではないでしょうか。
(北海道函館市 湯川寺 筒井章順)